やることをすぐにやらずに、ついつい先延ばししてしまうのよくあることです。しかし、先延ばしには以下のような大きな代償があることがパムッカレ大学の研究で分かっています。
- 罪悪感の発生
- ストレスの増加
- 自尊心の低下
- 生産性の低下
先延ばしはパフォーマンスが落ちるだけでなく、心身が疲れて、自分が嫌になってしまいます。先延ばしは人生全般に関わる問題なので、対策は必須です。
私の実体験と科学的な知見から「すぐにやるメリットとその理由、すぐにやる方法」を紹介します。すぐにやることができない人、先延ばしする人におすすめ内容となっています。
やることを頭の中で滞留させない
やることを頭で覚えていようとすると、ワーキングメモリの容量を圧迫して、作業効率が下がります。
ワーキングメモリとは作業に必要な情報を一時的に保存し処理する能力のことで、作業記憶とも呼ばれます。ワーキングメモリで数字、やることを一時的に記憶して、考えて実行しているので、容量に余裕がないと情報を効率的に処理できなくなります。
頭でたくさんのやることを覚えていると、他の知的な作業に使えなくなります。パフォーマンスが低下するだけでなく、最悪の場合、やることを忘れてしまいます。
デスクに多くの書類が散乱していると、欲しい情報が取り出しにくくなったり、書類を紛失したりと仕事がスムーズに進まないですよね。やることが溜まっていると、頭の中でも同じ状態になっています。
生産性が上がるだけでなく、心身にも良い影響が!
すぐやると生産性が上がるのに加えて、自らの心身にも良い効果があります。すぐやることには以下のメリットが挙げられます。
- パフォーマンスが向上する:ワーキングメモリの容量に余裕があると、知的な作業効率が上がることがウォータールー大学などの研究により分かっています。すぐやることで脳への認知的負荷を軽くして、未完了や中途半端のタスクがあると気になってしまうという「ツァイガルニク効果」を防ぎ、集中力が持続します。重要なタスクに多くのリソースを注ぎ込めるので、パフォーマンスが上がります。
- モチベーションが高まる:人は物事を完了させるとドーパミンが分泌され、モチベーションや集中力が上がります。そのため、次のタスクにも良い影響を与えて、最終的な成果が上がることがハーバード・ビジネス・スクールの研究によって明らかになっています。簡単なタスクを達成してもこの効果を得られます。
- 貴重な情報が得られる:タスクに素早く取りかかる人は、多くの情報を得ることができます。タスクの実際の所要時間や難易度が早い段階で分かるので、スケジュールの調整や事前準備を十分に行える時間があります。多くの人からアドバイスを求められるので、様々な事例に触れたり、コミュニケーションを取ったりして、さらに情報が入ってきます。自分の専門分野に関しては早く手を付けるといいでしょう。
- 管理コストが0になる:管理する手間がなくなり、タスクを忘れる心配がありません。先延ばしをするには、タスクとその内容を覚えるために、メモを取って、期限や重要度、いつ取り組むなどを書かなければいけません。すぐやれば、これらの手間が0になりますし、タスク自体を忘れるといった最悪のケースを避けることができます。
- 自信や自己肯定感につながる:先延ばしをすると自己嫌悪に陥り、自信がなくなります。反対に、すぐやる癖が身についていると「ちゃんとできた」という自己効力感が培われて、自分に誇りが持てるようになります。すぐやる人は仕事ができ、周囲からの好感度も高いため、自信や自己肯定感が自然と高まっていきます。
すぐやる人は仕事ができる、人間関係が良くなる、自信や自己肯定感が高まるといった効果があります。これなら、先延ばしをやめて、すぐやったほうがいいですよね。
すぐやるには──即実行・即スケジューリングがカギ
すぐにやるようになるための方法を紹介します。
1日のタスクを優先順位をつけて、順番に完了させていきます。突発的なタスクは5分以内にできるものはすぐに処理し、5分以内にできないものはいつやるかを即スケジューリングします。スケジューリングはカレンダーなどに記入しておくといいでしょう。
このすぐやる手法の利点は、目の前の仕事に全力で集中できることです。やるかやらないかに関わらず、その場で処理するのでタスクを全く覚えなく必要はありません。やることをすぐに終わらせたら、事前のスケジュール通りにただ仕事をこなすだけでいいので、精神的にも余裕ができます。
すぐやる基準の5分という時間はあくまで目安です。自分の中でちょうどいい基準を設けましょう。
アウトプットの質・量を高められる
すぐにやるからといってすぐに終わらせる必要はありません。
アウトプットの質を上げたいなら、すぐに着手して、締め切りまでクオリティを高めていきます。アウトプットの量を増やしたいなら、すぐに終わらせて、多くの量をこなします。このような柔軟な対応が可能なのは、即実行しているからです。
すぐにやることはこのように多くのメリットがありますが、注意点もあります。以下に気を付けてください。
- タスクをどんどん詰め込まない:すぐにやる人は優秀なので、仕事がどんどん集まってきます。そのため、締め切りまで時間がある場合は、あえてリラックスしながら参考資料をリサーチしたり、休暇を入れたりして、十分な時間と精神的な余裕を持たせましょう。
- 重要なタスクを後回しにしない:すぐやることだけを考えると、重要なタスクに手を付けなくなりがちです。重要なタスクは優先順位や時間を決めて、必ず取り組みましょう。もし重要なタスクに取り組めないと感じるなら、タスク量を調整してください。
- スピードだけでなく、質にもこだわる:スピードと質のどちらも意識して向上させます。スピードだけを求めるのではなく、スピードと質のどちらも上がるように試行錯誤しましょう。
すぐにやることの目的は後回しを無意味にすることではなく、人生を有意義にして、より良く過ごすためです。すぐやること自体が目的とならないように注意してください。
まとめ:すぐやると人生もスイスイ進む
行動を起こさないで、迷ったり逡巡したりしている時間は意外と多いものです。結論を出さずに、グルグルと考えるだけでは本当に「時間の無駄」ですよね。つまらないですし、気が滅入るだけで、良いことは全くありません。
すぐやる手法は脳に無駄な負担をかけずに、タスクに集中して取り組めるので、物事が円滑に進むようになります。また、余裕ができるので、機嫌よく、楽しく過ごせます。
タスクは取り組む順番を変えるだけで、モチベーションが上がり、パフォーマンスが上がることが分かっています。詳しい方法については以下の記事をご覧ください。
私はすぐやる手法を実践してから、「後でこれをやってから、次に…」と頭で覚えてなくていいので、精神的にとても楽になりました。頭の中にやることが一杯だとストレスが溜まるんですよねー