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われわれはなぜいつも疲れているのか?それは「認知リソース」が足りないから

2023年2月28日

「いつも疲れている」
「精神的に余裕がない」

私はこのような悩みを抱えていたんですが、色々なテクニックを試した結果、ほとんど解決したので紹介します。

私自身、目立った病気がなく健康診断でも異常ありませんでしたが、慢性的に疲労を感じていました。ずっと「どうにかしたい…」と思っていたんですね。
そこで注目したのが、「認知リソース」の理論です。

認知的リソースとは、人が情報処理や問題解決、意思決定などを行う際に必要となる認知的な資源のことです。一言でいえば、「脳を使うと消費するエネルギー」みたいなものです。

認知的リソースは脳を使うと消費されますが、睡眠などで回復することができます。ちなみに認知的リソースは脳が消費するカロリーのことではなく、もっと広い概念だと捉えてください。

我々はなぜいつも疲れているのか?

疲労の原因は、認知リソースを使い切ってしまっているからです。特にスマホなどのデジタル機器によって認知リソースが大量に奪われています。

認知リソースは、人が自己管理やストレス管理、目標設定、問題解決、学習などを行う際にも重要な役割を果たします。リソースが不足すると頭を使う作業が困難になります。他にもイライラしやすくなったり、ネガティブな出来事の影響を受けやすくなったりします。

認知リソースが枯渇する原因は、

  • リソースを無駄に浪費している
  • リソースの使いすぎ
  • リソースの補充ができていない

となります。

現代社会は仕事や娯楽もスマホなどのデジタル機器を使用しています。脳は目の情報処理に多くのリソースを割いてるため、目を酷使すると脳を含めた全身が疲れてしまいます。大脳皮質のニューロンのうち約3分の1が、視覚処理に使われていると言われるほどなんですよ。

認知リソースは常に余裕がある状態を保つようにしましょう。

認知リソースを保つための3つのテクニック

認知リソースに余裕を持たせるための戦略は次のとおりです。

  • 注意の切り替えを減らす
  • 脳をエコドライブさせる
  • 十分な睡眠(7~9時間)を取る

それでは、具体的なテクニックを見ていきましょう。

1、スキマ時間にスマホをいじらない

スキマ時間にスマホをいじらないようにしましょう。

注意を切り替えるたびに認知リソースを消費するというイリノイ大学の研究があります。何らかの活動をするためには精神的努力が必要であり、 認知リソースを使うとのこと。つまり、短い時間に注意を切り替えていると、認知的リソースがダダ漏れになってしまうんですね。

「マルチタスクはどうなんだ?」という疑問がある方もいるでしょう。実は、マルチタスクは物事を同時に処理しているわけではなく、注意を高速で切り替えているだけです。

カルフォルニア大学の研究によると、マルチタスクをする人ほどストレスが高いということが明らかになっています。マルチタスクを良くする人は29秒ごとに、マルチタスクをあまりしない人は75秒ごとに注意を切り替えており、マルチタスクをする人ほどストレスの度合いが高かったとのこと。マルチタスクも認知リソースを浪費させてしまうんですね。

注意の転換が多いと認知リソースを枯渇させるだけでなく、不機嫌になるなど気分の不調にもつながります。

私はスキマ時間を有効活用するために、信号待ちやエスカレーターなど短い時間にスマホで読書していました。信号待ちはただ目の前の信号を見てるだけですが、読書だとスマホを取り出す→本を少し読んで前の文脈を思い出す→本を読む→ときおり信号の変化を見る→信号が変わったらスマホをしまうといった多くのステップが必要になります。これだけでも認知リソースをかなり使いそうですよね。

スキマ時間にタスクの切り替えをすると疲れてしまい、逆に非効率であることに気がつきました。タスクをしょっちゅう切り替えているとやった気分にはなりますが、生産性が下がってストレスが溜まります。

お手洗い、信号待ち、食事中などの時間にスマホをいちいち取り出していると認知的リソースを浪費してしまいます。イメージとしては自動車でも発進時に燃費を一番消費し、いったん走り出すと燃料を効率よく使うことができますよね。短いスキマ時間をタスクで埋めようとするのは、車で言うと、急発進と急停止を繰り返すような非常に燃費の悪い走り方です。人でも急にダッシュして、急に止まるを繰り返すと非常に疲れますよね。

短いスキマ時間は貴重な休み時間としましょう。タスクは時間を決めて行い、細かいタスクは一気に処理するといいですよ。

2、食事中にスマホやテレビを見ない

テレビやスマホの画面を見ていると脳が疲れます。

デジタル機器の使用が原因となる目の疲労はデジタル眼精疲労といい、ドライアイ、目のかゆみ、全身の倦怠感、頭痛などを引き起こします。デジタル機器の画面を長時間見ていると、目が疲れるだけでなく、認知リソースを多く消費させてしまいます。

食事中はデジタル機器の画面を見ないで、食事に集中しましょう。疲労が軽減するだけでなく、食事量が減るというメリットもありますよ。

個人的にも、食事量が減りましたし、食事自体が前よりも楽しめるようになりました。食事中にアニメやドラマを見ていましたが、映像作品も集中して見たほうが楽しめます。

食事と動画視聴のマルチタスクをすることでどっちも楽しめなくなっていたんですね。だらだらと食事しながら動画を見なくなったので、自由にできる時間が増えたのも嬉しい効果でしたね。

3、睡眠時間を第一優先で確保する

総合的なマーケティングの支援を行なう㈱ネオマーケティングの「疲労対策に関する調査」では、疲労の原因は、「睡眠不足」が59.6%との結果が出ています。2位は「加齢」45.7%、3位は「仕事」34.9%となっており、加齢は防ぎようがありませんし、仕事はすぐに改善することはできません。すぐに取り組める「睡眠不足」がいかに大切かが分かりますね。

睡眠時間を調べたデータは様々なものがありますが、日本人の平均睡眠時間は6時間半から7時間半になるようです。しかし、自己申告による睡眠時間は「睡眠のための時間」で実際の睡眠時間は短いことがほとんどです。

夜11時にベッドに入って、朝7時に起きる人の睡眠時間は8時間と考えたくなりますが、夜11時にベッドで横になってから寝付くのにかかった時間が30分なら睡眠時間は7時間半ですよね。寝るまでにかかる時間は通常30分以内ですが、不眠症の人ならもっと時間がかかります。

カルフォルニア大学バークレー校教授で睡眠のエキスパートであるマシュー・ウォーカー先生によると、

  • 人間の大人にとっては、平均して覚醒が16時間、睡眠が8時間が最適なバランスだ。

と『睡眠こそ最強の解決策である』で述べています。

一般的にリスクが低いとされる睡眠時間は7時間半であることも踏まえると、睡眠のための時間は8時間~8時間半を確保すると良いでしょう。ただし、アスリートの方は体を激しく動かしているのでより多くの睡眠時間が必要となる可能性があります。

私は寝付くまでの時間を考慮して、夜10時45分には寝る準備をしてベッドに入って、朝の7時に起きるようにしていますよ。8時間も寝ると目に見えて体と精神の調子が良くなりました。

「寝る時間になってもスマホをいじってしまう」という方はおやすみモードで指定した時間はグレースケール(モノクロ画面)にするのがおすすめです。スマホの魅力が激減し、いじらなくなりますよ。

まとめ:認知リソースは常に余裕を持たせよう

現代はビジネスからエンタメまでほぼすべての活動がデジタルに支配されていると言っても過言ではありません。特にスマホはSNS、アプリの通知、オンライン広告などは人の注意をできるだけ引きつけるようにデザインされています。そのため、次々に新しいコンテンツを見たり、様々なアプリを行き来したりして認知リソースを大量に消費しています。

短い時間で注意の切り替えが頻繁に行われるのは、デジタル機器が登場する前には考えられませんでした。スマホなどのデジタルの過剰使用がストレスや不安や中毒症状、健康問題を引き起こすのももっともなことです。

今の社会は楽しい娯楽が溢れているので、ますます休むことが重要になってきています。空き時間はスマホを使って認知リソースを消費するのではなく、目を閉じて休んだり、体を動かしたりして認知リソースに余裕を持たせましょう。

今回紹介したテクニックで自分に最も効いたのが、スキマ時間を休息に充てることです。外の景色を見たり、飲み物を飲んだり、ぼーっとして過ごしたりしています。頭痛や目の疲れがかなり軽減されました。

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