サウナ入浴は、フィンランドでは何千年も前から伝統的に行われてきた活動で、娯楽とリラクゼーションの目的で使用されてきました。世界で人気が高まっていまして、ハーブをスチームしたり、集団でも寝ながら入ったりと国ごとに独自の特徴があり、面白いですよね。
そんな中、「サウナとはなんぞや?どんな効果があるの?」という疑問に答えるためにサウナの科学的な知見をまとめた、フィンランドのユヴァスキュラ大学の研究を紹介します。この論文では、2018年2月24日までの観察研究、ランダム化比較試験、非ランダム化比較試験の結果に基づいて、フィンランド式サウナ浴、心血管やその他の効果を説明してくれています。
フィンランドサウナの特徴とは?
フィンランドのサウナは、高温(80℃~100℃)で短時間入ることが特徴です。80℃から100℃の温度設定のサウナヒーターの熱い岩に水をかけることで、温度と湿度を上げることができます。
サウナは丸太や木でできていて、入浴者の頭の高さで80℃から100℃、床面ではそれよりも低い温度になっています。サウナ室では効率的な換気を行っていまして、サウナ入浴者にとって快適な状態を保つように設計されています。
サウナ室での滞在時間は通常は5~20分程度で、サウナ後は水泳やシャワーなどのクールオフタイムを楽しみます。サウナ入浴の頻度は、一般的なフィンランド人は少なくとも週に1回、平均して2~3回はサウナに入っているとのこと。
サウナに入っていると、心拍数は120~150拍/分まで増加することがあり、これはウォーキングなどの中・高強度の身体活動で生じる反応に相当します。ただし、サウナ入浴は運動とは違い、筋肉の活動的な動きはありません。つまり、筋肉が増えることはありません。
サウナ入浴の様々な効果
運動は健康的になる手法として万人が認めています。サウナ入浴では運動した時のような状態を引き起こして、健康にさせるんですね。運動は心理的なハードルが高いですが、サウナなら簡単に実践にできますね。
それでは、サウナの効果を紹介します。
- 血管を健康にする:サウナに入る男性(4~7回/週)は、高血圧の発症リスクが約47%減少することが判明しています。また、1628人の男女を対象に15年間追跡調査した前向きコホート研究において、サウナ浴を定期的に行うこと(4~7回/週)は、1回/週と比較して、脳卒中発症リスクを約62%低下させることを明らかになっています。
- 脳の病気になりづらくなる:健康なフィンランド人男性2315人を対象に行った集団の前向きコホート研究では、サウナ/週4~7回の男性は、サウナ/週1回の男性に比べて、認知症とアルツハイマー病のリスクがそれぞれ66%と65%減少していることが確認されました。慢性緊張型頭痛にお悩みの方に対しては、定期的なサウナ入浴か8週間のアドバイスと教育に無作為に割り付けたところ、サウナは頭痛を大幅に改善させました。
- 肌が綺麗になる:フィンランドサウナに定期的に入浴することによって、表皮のバリア機能の安定性、角質層の水分補給の増加、水分喪失と皮膚pHの上昇の両方の回復の速さなどの皮膚の保護効果を持つことが研究で示唆されています。サウナ入浴が乾癬患者にとって、皮膚の角質層の除去を容易にするため、有益である可能性もあります。
- 風邪になりづらくなる:喘息や慢性気管支炎の患者においてサウナに入ると呼吸が改善したという過去の研究があります。サウナグループ25人とコントロールグループ25人を対象にした試験では、サウナ浴により、試験期間後の3ヶ月間にサウナ群の風邪の発生率が半分になることが観察されました。
- 全死亡リスクが低下する:以上の様々な健康効果から全死亡リスクも低下します。フィンランド人男性2315名を20.7年間追跡調査した前向きコホート研究において、サウナ入浴の頻度と時間が高いほど、全死因死亡のリスクに逆相関になっていることが確認されています。
サウナには、他にも喘息や慢性気管支炎患者の呼吸機能の改善、全身の血圧低下、自律神経を整える、血液中の脂質マーカーの改善、リラックス効果、ストレス軽減などの多くの効果があることが分かっています。
サウナのおすすめの入り方と効果を高めるポイント
この論文ではサウナの詳しい入り方まで言及されていなかったので、科学的な見解と私自身の体験も含めて、ご紹介します。
基本的なサウナの入り方を説明しますが、大切なことはサウナに気持ちよく入り、続けることです。そのため、自分自身でさらに快適になるように時間や順番などはアレンジしていただいて構いません。
サウナの基本的な入り方は以下のとおりになります。
- 水分補給
- サウナ(6~12分、心拍数が120bpmくらい速くなったら出ると良い)
- 水風呂(30秒から1分)
- 外気浴(5~15分)
- 1~4を3セット行う
深部体温が38度を超えるとHSP(ヒートショックプロテイン)という特殊なたんぱく質が活性化されます。HSPは主に細胞を修復する働きをしており、他にも日焼けの予防や疲労や筋肉痛の軽減、皮膚や血管のアンチエイジングにも効果があることが分かっています。
サウナ入浴のセット数を重ねるごとに体の深部が温まるのでサウナの効果を最大限得ることができます。ちなみに、サウナ室は70~90度なので入った瞬間に顔などの皮膚表面はHSPが出るので、美容効果の恩恵をすぐに受けることができます。
サウナの効果をさらに高めていきたい人や長く続けていきたい人向けにテクニックも挙げておきます。
- 手っ取り早く効果を得たいなら上段に座る:下段は70~80度、上段のほうが90度くらいなのでサウナの効果を手っ取り早く得たい型は上段に座りましょう。
- 水風呂にいきなり入らない:冷たい水を脚から頭にかけて、体を慣らせてから水風呂に入りましょう。体にあまり負担をかけたくない方は冷たいシャワーだけでも構いません。
- サウナ中は瞑想するのがおすすめ:サウナ室に基本的にスマホは持ち込めないのでゆっくりと休むことができます。ただし、心配事や不安を考えてしまうと脳が余計に疲れてしまいます。呼吸に集中する呼吸瞑想をしてから観察瞑想に移っていきましょう。
※瞑想の詳しいやり方について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。 - 水分補給はミネラルが入ったモノにする:健康志向なら糖質が入っていないミネラルウォーターがおすすめです。汗と一緒に排出されるミネラルを補給することができます。
- 週に2回以上入る:ヒートショックプロテインはサウナ後の1~3日間は活性化した状態になるため、2日ほど空けてからサウナに入りましょう。
まとめ:サウナはライフスタイル
サウナは運動と同じような効果があり、リラックスできて、誰でも手軽に実践しやすいのが魅力です。お風呂と違い、サウナ室全体の温度が高いため、時短で温熱効果を得ることができるので、忙しい現代人にとって魅力的です。
サウナはスマホを持ち込めないため、脳を疲れさせないで休息したり、自分を見つめ直したりするのにもうってつけです。サウナブームで人気になっているのも頷けますよね。
私はサウナに週2回通っており、日常として定着しています。休息時間、瞑想タイム、そして、サウナ、水風呂、外気浴自体をただ楽しんでいます。サウナの外気浴中は心地よい水の音が聞こえてくるので、本当に癒されるんですよね。
サウナのおすすめ本
・医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?
サウナ―の医師がサウナの入浴方と科学的な効果を教えてくれます。
サウナにすで入ってる方にも、サウナや水風呂を出るタイミングや体全体を効果的に暖める方法など知らなかった知識を学べますよ。
サウナ初心者やサウナを趣味にしてみたい方におすすめの本です。
・サ道
サウナ大使である作者がマンガでサウナの楽しみ方や色々な施設を紹介してくれています。
マンガでサウナの「ととのう」感じ、どう楽しむのかを視覚的に表現してくれています。
サウナの楽しさ、楽しみ方が分からないという方におすすめですよ。