運動は心身を健康に保ち、頭にも良いというのは有名です。世界保健機関(WHO)によると、成人が健康に生きるためには1週間で150分~300分の中強度の有酸素運動、もしくは75分~150分の高強度の有酸素運動を推奨しています。
しかし、運動のメリットを得るためには、1回に何分くらい運動すればいいのかということは分からないですよね。今回は、「10分のランニングでも認知機能が向上し、気分が良くなるぞ!」というランシット大学らの研究を紹介します。
この研究では、26名の参加者を対象として、10分間の中強度のランニンググループ、休息グループにランダムに割り当て、ランニングが認知機能、主観的な気分、脳の血流に影響を与えているのかどうかを調べています。
中強度のランニングは呼吸が少し速くなるくらいの運動で、認知機能はストループ課題を用いて評価しています。また、気分は二次元気分尺度を使い、脳の血流の測定は脳の活動(脳機能)を視覚化できるfNIRSという装置を使用しています。
その結果は、
- 10分の中強度のランニングは、覚醒度、ポジティブな感情を有意に高めた。
- ランニングは、ストループ課題の反応時間を短くさせ、認知機能が向上した。認知と気分調節に関連する皮質領域を活性化させ、実行機能を高めるという効果もあった。
- ランニングは精神的に負担に感じる努力量が低かった
とのこと。ランニングは気分を良くして、脳の働きを高めるので、朝一の運動はベストなタイミングですね。
研究者曰く、
研究の結果、最もポピュラーなランニング条件である中強度ランニングを行うことで、覚醒だけでなく快感を通じて気分が高揚し、ストループ干渉の反応時間の短縮に見られるように、認知と気分調節に関連する皮質領域が活性化する一方で、実行機能にも影響を及ぼすことがわかった。これらの結果は、適度なランニングは、気分調節に関与する前頭前野の皮質活性化と同時に、気分と実行機能に利益をもたらすという仮説を明確に支持している。(中略)今回の研究では、適度なランニング運動が認知と快感のレベルを高めるという二重の効果を示すことができ、これはストレスを調節する脳に影響を与え、精神的健康につながる可能性がある
だそう。
運動は体の健康にも良いので、心身の健康に役立つということですね。ついでに頭も良くなるなら言うこともないですね。ぜひ、朝に運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。
運動のおすすめ本
・脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方
こちらの本は、ハーバード大学教授のジョン・レイティ先生が運動の科学的な効果を教えてくれます。
運動の様々なメリットを豊富な事例で説明してくれるので、自然と運動したいという気持ちが湧き上がってきます。
運動は心身の健康に欠かせないので、すべての人に読んでほしい本です。