「容姿を気にし過ぎて疲れた」
「自分がブサイクに感じる」
このような悩みを抱えている方は「ルッキズム」が原因かもしれません。ルッキズムとは見た目で人の価値を決めることです。社会的にも容姿が良い人が優遇されており、現代では多くの人が自分の見た目に悩んでいます。
今回は、
- SNSとルッキズムの関係
- ルッキズムの社会が生きづらい理由
- ルッキズムの4つの対策法
を紹介します。
本記事を読むことで見た目への悩みを減らし、見た目を本質的に良くする方法が分かりますよ。ルッキズムの悪影響やルッキズムとの距離の取り方も知ることができます。
ルッキズムの定義
ルッキズム(Lookism)の定義をまず確認しましょう。
外見的な美醜を重視して人を評価する考え方。容姿による差別をいう。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
見た目で人を判断する考え方のことで、外見至上主義とも呼ばれます。ルッキズムの対象は顔だけでなく、体型、身長、年齢などの幅広く及んでいます。
生後14時間の乳児は見た目が良い人を好むことが明らかになっていますし、見た目で選ぶ傾向は猫などの人間以外の動物にも及ぶことが分かっています。見た目で判断するのは人間の生まれつき備わっているものなんですね。
見た目が良いと得をする?
見た目が良い人は得をします。就職が有利になったり、学業の点数を高くつけてもらったりするんですね。
見た目が良い人は魅力的だと思われるだけでなく、様々なメリットがあるので紹介します。
- 能力や性格が良いと思われる:信頼できそうな人は投資をしてもらったり、会社の代表に選ばれたり、頼りになりそうな顔は高い地位に就きやすくなることがプリンストン大学の研究で明らかになっています。相手の能力や性格は見た目にマッチした印象を抱くんですね。
- 収入と人生の満足度が高くなる:ルックスが良い人は年収が高く、美女は8%、美男は4%ほど平均的な見た目の人より収入が高かったというデータがあります。ルックスが良い人の55%は人生に満足と答えましたが、見た目が良くないと評価された人は45%しか満足と答えませんでした。
- 友人が多く、社会的スキルが高い:魅力的な人は友達が多く、コミュニケーションなどの社会的スキルが高いことが西オーストラリア大学の研究で分かっています。また、周囲から社交的な人だと思われやすいという特徴もあります。
見た目が良い人は他人からの好印象を得られるので、多くのメリットを享受できるんですね。しかし、コールセンター、オンラインでのやり取りなどの相手に顔を見せないような仕事では、顧客に対する見た目のメリットを活かせなくなります。
SNSがルッキズムを増やす
SNSの利用は世界的にも増加しており、日本でも増加傾向にあることが総務省の報告で分かっています。ちなみにX(旧Twitter)・Instagramの利用は全年代でも約42%となっており、10~20代の若者では約70%となっています。
ルッキズムとナルシシズムには自分や他者の外見に異常に執着するという共通点があります。ナルシストはInstagramなどの画像などの視覚重視のSNSを好み、利用していると自己愛が強化されることがスウォンジー大学らの研究で判明しています。
SNSの利用は今後も増えていくため、ルッキズムも加速するでしょう。
ルッキズムの社会が生きづらい理由
他人から外見で判断されるため、見た目に自信がない人は職場や学校などの社交的な場所を避けるようになります。
現代人はスマホで美女やイケメンを当たり前にように見ているので、美しさの基準がとても高くなっています。自分や他人に対して求める見た目のレベルも高いため、「可愛くない」と自分や相手を傷つけたり、様々な問題を見た目を磨くことだけで解決しようとしたりします。
ルッキズムが行き過ぎると、自尊心を高めるために異常に痩せようとしたり、整形を繰り返したりなどの行動を止められなくなります。自分や他人への怒りにつながり、感情的に不安定になります。
女性はルッキズムの対象となりやすいので注意が必要です。男性よりも女性のほうが顔などを含めて身体的に魅力的であることを期待されているというデータもあります。
人を見た目で判断するようになると、人間の価値は見た目だけにあるかのように錯覚してしまいます。そんな社会では生きづらいのは当たり前ですよね。
ルッキズムの4つの対策法
見た目が良いと多くのメリットがありますが、人を見た目で判断するルッキズムに陥ると自尊心が低下し、問題行動を起こしやすくなります。
ルッキズムの4つの対策法を紹介します。
- ルッキズムの本質を知る:人がなぜ見た目を気にするのは、パートナーや仲間としてふさわしいのかを遺伝子、健康などで判断しているからです。そのため、見た目の本質的な対策としては、食事、運動、睡眠を改善して健康的な生活を送り、自分の見た目や服装を清潔に保ちましょう。遺伝子は変えられないと思われがちですが、自らの行動で遺伝子の「オン」「オフ」を切り替えられることが分かっています。
- 比較や評価をしない:自分や他人の見た目を比較や評価しないようにしましょう。他者比較を続けると見た目が良くなってもさらに上を目指すことが続き、完全に満たされることはありません。他人との比較や他者の容姿を評価するのではなく、自分の成長にフォーカスしてみてください。
- 他人の評価を無視する:他人の評価をいくら気にしても、自分ではどうすることもできません。どんなに良い人でも「良い人だから」という理由で誰かには嫌われます。他人の「いいね」「高評価」「返信」を気にするのではなく、自分の好きを追求してください。
- SNSを見ない:Instagramなどのビジュアル重視のSNSは見た目へのこだわりを増大させるので、見る時間を減らすか見るのをやめましょう。SNSをやめられない方は良い見た目を自慢するような投稿を見ない、自分の投稿への評価を見ないことが大切です。自分の自尊心を高めることにSNSを使わないようにします。
ルッキズムの問題点は人を容姿で評価することなので、その癖をやめるようにすればいいんですね。多くの人が無意識にやっているので、普段から注意しながら取り組んでみてください。自分や他人を見た目で評価しないようになれば、生きやすくなります。
SNSをやめる方法については以下の記事で紹介していますので、見てみてくださいね。
まとめ:ルッキズムとは適切な距離を取ろう
人の苦痛は、自分の考え方によるものが大半です。ルッキズムは容姿にこだわる考え方をやめられないのが原因です。
見た目を武器にするモデルや芸能人のようなルックスを目指すのではなく、運動や食事で良好な健康を保ちつつ、見た目、服装を整えて、それ以上は気にしないくらいがちょうどいいでしょう。見た目を気にする時間は無駄になります。
ルッキズムに悩んでいる方は、コントロールできるものとできないものを切り分けできていない可能性が高いです。コントロールできるかどうかの有無を判別できるようになると圧倒的に生きやすくなります。詳しくは以下の記事でご覧ください。