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内向型が楽に生きるための戦略──『静かな人の戦略書』

・多人数とのコミュニケーションが苦手
・他人といると疲れてしまう

これらの悩みを抱えている人は内向型かもしれません。内向型は外的な刺激に敏感であるため、人付き合いや自己主張が苦手な傾向があります。

現代社会では「コミュニケーション能力が大事」「積極性を持て」と言われるため、外向的な人に比べて、内向的な人の価値は低く見られがちです。外向型重視の社会では、内向型は自分らしさを活かしながら、適応していく必要があります。

内向型の人が外向型重視の社会で生き抜くために、「内向型が自分らしく生きるための戦略」を『静かな人の戦略書』より紹介します。著者のジル・チャンは内向型人間ですが、自分なりの強みを活かすことで、華やかな業界であるプロスポーツ、アメリカ州政府で働き、テレビ番組に出演したり、講演を行ったりするなどの活躍を見せています。

内向型でも自分の個性に合わせた工夫をすることで、外向型に負けないコミュニケーション能力を手に入れることができます。「人と関わる仕事はできない」「良い人間関係を構築できない」といった悩みを抱える内向型の人間でも、自分の可能性を狭めることなく、本来のポテンシャルを発揮できるようになりますよ。

戦略を持つことの大切さ

「今の自分が嫌だから」といって、急に外向的になろうとしても、うまくいきません。自分なりの戦略を立てましょう。

「あいつはつまらない」「他人に興味がない人だ」と過去に他人から貼られたレッテルのせいで、自分はできない、無能だと思い込む必要はありません。大切なのは、本当の自分を見失わずに、自分らしくあることです。

長所しかないと思える特性も必ず短所があります。たとえば、外向型の「社交的」という特性は、「時間やお金がかかる」「人付き合いに疲弊する」「周りの価値観に流される」といった短所があります。一方で、内向型の「一人が好き」という特性は、裏を返せば「才能や好きなことを追求できる」ということですし、「心配性」は「リスク管理能力が高い」とも捉えられます。長所と短所は表裏一体の関係になっていますので、意識的に強みの部分を活かしましょう。

内向型のネガティブな面ばかりを見るのではなく、ポジティブな面を見ましょう。そして、自分の強みである集中力や粘り強さを活かした戦略を考えることが大切です。個人の能力は使えば使うほど伸びますので、意図的に磨きたい能力を高めることができます

「信頼」が一番大切

人間関係は相互の信頼が大切です。

人生の充実度や幸福度は人間関係の量ではなく、質で決まることが研究で分かっています。表面上は仲良くしていても裏では悪口を言うような人とは、良好な人間関係を築くことができません。困ったときにお互いに助け合える信頼関係が必要です。

内向型は相手と深くじっくりと付き合い、思いやりを示すことが得意です。このような姿勢で人と接していれば、相手や周囲からの良い評判が広まっていきます。もし転職や人間関係で悩んでいたとしても、周囲から「力になりたい」と手を差し伸べてくれるでしょう。

人間関係においては、信頼ほど価値あるものはありません。静かな内向型でも多くの仲間を作ることができます。

一人ひとりと仲よくなる

良い人間関係を作るには、一人ひとりと仲良くなりましょう。

新しい環境では周囲を観察して、親切で愛想のいい人を見つけて、頼りましょう。一人でも友人ができれば、新しい環境でも苦ではなくなっていきますし、さらに新しい友人を作ることも簡単です。一人ずつ仲良くなって、仲間をどんどん増やしていきましょう。

内向型が仲間を増やす方法は以下の通りです。

  • 大人数より一人に話をする:大勢の人が集まる飲み会よりも、ランチやちょっとした雑談などで個別に話をしましょう。お互いによく知るには、少人数で深い会話をしてください。
  • ちょっとしたことでも質問してみる:自分から周りに助けを求めることは、仕事のパフォーマンスを上げるだけでなく、交流のきっかけにもなります。自分が思っているよりも他人は手助けをしたいと思っていますので、迷惑だと考えずに積極的に質問してみてください。
  • 歩き回って個別に話す:オフィスでは歩き回って、同僚などと個別に話をしてみてください。会議やメールよりも、直接話したほうがお互いに打ち解けることができます。短時間の雑談を高頻度ですることがポイントです。

内向型のコミュニケーション戦略

内向型はコミュニケーションが苦手だと考える人が少なくありません。内向型の人は積極的に話したり、即座に対応したりするのが得意ではないからです。

しかし、内向型の人には高い感受性があり、思慮深く的確な受け答えができるという強みがあります。相手のわずかなサインに気づき、きめ細やかな配慮をすることも得意です。

内向型独自の強みを活かして、コミュニケーションにおける戦略を持ちましょう。以下におすすめの戦略を挙げます。

  • 傾聴できる能力を活かす:人は自分の話を聞いてもらい、理解されたと感じるときに喜びを感じます。そのため、人は話し手よりも良い聞き手を好む傾向があります。大人数やおしゃべりな相手と接する際には、話すスキルよりも聞くスキルが重要です。相手の話に真剣に耳を傾け、関心と思いやりを持って聞きましょう。相づちや言葉でしっかり反応を示すことで、相手に「話をちゃんと聞いている」という良い印象を与えられます。
  • 相手のニーズに答える:相手が求めている話題を話しましょう。相手の好みに合わせて、雑談のネタをあらかじめ用意しておくといいでしょう。プロのスピーチライターやお笑い芸人が使うように、良い反応がなかったネタは捨て、良い反応があったネタはストックしておいて、柔軟に使い回すと効果的です。
  • 入念に準備する:内向型の人は突発的な質問や想定外の状況が苦手ですが、計画性を活かして入念に準備することで対応力を高められます。スピーチ内容や話題、想定される質問に対する答えを前もって用意しておくと、自信を持って対応できます。
  • 落ち着ける時間や場所を作る:どんなに事前準備をしていても、とっさの対応を求められる時があります。その際は焦らずに「確認しますので、10分後にあらためて電話いたします」など、時間をもらう提案をすることで、冷静に対応する時間を確保しましょう。仕事中に動揺することがあれば、外に出てリフレッシュするなど、自分を落ち着けるための方法や場所を用意しておくことも大切です。

まとめ:自分らしさで弱みを克服する

自分自身を理解すること。だが、それに縛られないこと。自分をよく知ることによって、自分の限界を意識的に超えられるようになる。内向型、外向型というレッテルで自分の可能性を狭める必要はない。

アダム・グラント/心理学者

ほとんどの内向型は、家庭や職場など「社交性や積極性をもっと持つように」と社会から圧力を受けてきました。内向型は外向型に比べて、劣っているわけではありません。外向型に無理になろうとするのではなく、内向型でも自分なりに訓練すれば、優れたコミュニケーションスキルを身に付けられます。

会社に出社しなくても、在宅勤務、制作や創作、YouTubeやインスタの情報発信などの仕事があります。内向型は粘り強い努力、深い思考、共感を得意とするため、質の高いコンテンツを作るには抜群の能力があります。弱点の克服ばかりに注力するのではなく、今ある強みを活かすような仕事をするのもいいでしょう。

内向型がコミュニケーション能力を上げるためには、会話で重要なポイントを押さえておくと楽です。NGなコミュニケーション方法、コミュ力を鍛える方法を以下の記事で紹介していますので、お読みください。

私はとっさの対応が苦手ですので、事前に想定質問を作ったり、雑談のネタを仕込んだりしています。苦手のシチュエーションがあったら、自分なりの対策を考えて実践することで克服していますよ。

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