「誤った判断をしてしまう」
「重大な決断で失敗したくない」
このような悩みを解決します。仕事や私生活でも重大な場面で正しい判断ができる人になりたいですよね。
それでも間違ってしまうのは、「利用可能性バイアス」の影響を受けている可能性があります。利用可能性バイアスは、物事の頻度を思い出しやすさで判断するという心理的傾向です。人が時にどうしようもないくらい不合理に見える理由の1つとも言われています。
利用可能性バイアスの性質のせいで集団がパニックに陥ったり、誤った考えを植え付けられたりします。このバイアスを対策できるだけで、日々の生活の質が向上するようになりますよ。
今回は「利用可能性バイアスの特徴、対策法」を解説していきます。
私は利用可能性バイアスの存在を知ってから、ニュースで悲観的にならなくなったり、他者と比較したりすることがかなり減りました。現代の生活で強い悪影響を及ぼすバイアスを知るだけでも悲観的な考え方を正しくできるので、主要なバイアスを学んでおくと良いですよ。
利用可能性バイアスとは?
利用可能性バイアスとは、出来事の発生率を推定するときは、その出来事が頭に思い浮かびやすいかどうかで判断する傾向のことです。心理学者のエイモス・トヴェルスキーとダニエル・カーネマンによって名づけられました。
人は世界の景気は良くなっているかを考えるときに、最近見た経済ニュースなどの思い浮かびやすい情報を基に判断しています。物価高騰、中小企業の倒産、株価の下落などのニュースを次々と思い出して、「これだけの事例がすぐに思い浮かぶということは景気が悪いんだ!」と結論を出すわけですね。このプロセスでは、わざわざ景気の情報を検索して調べ上げる必要がないので、すぐに答えを出せます。
利用可能性バイアスを利用すると、たいていは正しい判断をするので役に立ちます。しかし、情報自体が偏っていたり、感情を揺さぶられるようなことや何度も繰り返されたりすると間違った判断をしてしまいます。
利用可能性バイアスのメリット
利用可能性バイアスのメリットは、以下のようになります。
- 労力がほとんどいらない
- 思考をショートカットできる
- 素早い判断で精度は低くない
大きなメリットとしては、素早い判断で労力がいらないということですね。「ペットとしてよく飼われている動物は?」と聞かれたときに、外や他人の家でよく見る猫や犬と答えておけば、大体正解しています。
日常生活での数多くの決断をいちいち検索していたら、とてつもない時間がかかります。利用可能性バイアスを使わないとまともに生活を送ることも難しいでしょう。
使う場面を見極めれば、利用可能性バイアスは有用です。
利用可能性バイアスのデメリット
利用可能性バイアスのデメリットを紹介します。
- 精度が高いわけではないので、事実を見誤る
- 個人の経験・受け取る情報によって、判断が左右される
- 大きなインパクト・感情を揺さぶる・繰り返しで過大に見積ってしまう
利用可能性バイアスの大きなデメリットは個人の経験・受け取る情報に大きく左右されることです。自分が見たり、聞いたりした経験の場合は、判断に大きな影響力を持っており、簡単には無視できません。
しかも、各個人が違う体験をしているため、意見が全く噛み合わないこともあります。お酒を好きな人がお酒を飲まない人に対して、「人生の半分は損してるよ」と言うような場面は典型的です。お酒好きな人はみんなで楽しく飲んでいる場面がすぐに思い浮かぶため、お酒を飲まない人はそのような楽しさを逃しているように感じられるんですね。
利用可能性バイアスのデメリットを避けるために、情報源を両極端にならないようにしたり、自分の認知の歪みを考慮したりする必要があります。
利用可能性バイアスへの4つの対策
利用可能性バイアスは会話や仕事などの日常のあらゆる場面で見られます。場面に応じた対策法を使うようにしましょう。
1、重要な局面は直感とデータを使う
ミスしたときのリスクが大きい場面では、直感とデータの両方を使いましょう。精度を高めるために様々な角度から検討する必要があります。
熟考するならデータだけで判断したほうがいいのでは?と感じる方もいると思いますが、直感は記憶の中で活性化しているが、意識的に取り出せていない情報を利用できます。「なんとなくこっちのほうがいい」という判断も言語化できないだけで無意識のプロセスで処理した結果というわけなんですね。
直感や体の感覚は意識せずに目にした大量の情報なども上手く活用できるのです。データだと自分の能力・好みや得意分野が活かせないため、判断には直感も組み込むことをおすすめします。
最近疲れていると感じたら、「週2休んでいるから大丈夫」と思わずに、体が発している疲労のサインなので無理せずに休みましょう。素直に体の感覚に従って、理性で無理やり体の感覚を無視しないようにしましょう。
直感、データのどちらにもメリット、デメリットがありますので、使い分けましょう。
2、バイアスとバイアス増幅器を知る
バイアスを知るだけでもバイアスに対処しやすくなります。バイアスを増長させるものを見つけて、対策するとさらに効果があります。
知らず知らずのうちにバイアスに陥ってしまっていたとしても、バイアス自体の存在を知れば、避けることは難しくありません。まさに「知識は力なり」ということですね。
現代はごく少数の成功者がより多くの人に影響を与え、ネガティブなニュースがより多く発信されています。トップレベルの成功者と自分を比較し、世界中のネガティブなニュースに触れることが当たり前になっています。世界で一番失敗している人や一番幸福な出来事などは発信されません。
SNS、ニュースを見ていると、トップレベルの金持ちやモデルが当たり前のように感じられ、ネガティブの割合が増えて、認知が歪みます。バイアス対策として、そもそもSNSやニュースを見ない、日常生活の中でも例外な事例だと認識し直すといいでしょう。
3、偏ったメディアや情報源は避ける
視聴するメディアによって自分の行動は変わります。何の出来事をどのように発信しているかで、自分の認知に影響を受けるからです。
メディアはインパクトが大きなもの、人の感情をあおるようなセンセーショナルなもの、何度も発信することで強く印象付けることができます。逆に報道したくないものは大きなニュースの裏で小さく扱って人々の注意を逸らすということも可能です。
メディアはメリット、デメリットの両面を伝えるものを選ぶといいでしょう。どのようなメディアを選ぶかによって、自分の考え方が変わります。
4、自分の知識レベルを把握する
物事を判断するときは自分の知識レベルを考えましょう。プロや専門家のほうが一般人よりも多くの場合で正しい決断ができます。
自分があまり知らないことはインターネットや本などで調べたほうが正確に判断できます。しかし、多くの場合、データに裏付けられた専門家の主張よりも自分の経験が正しいと感じてしまうときがあります。
私は本を読んでいるときに著者の意見を「うさんくさいな…」と感じても、時間を置いて読み返すと正しかったものが多くありました。一見すると非常識に見えても時間が経過すると常識になるものがあります。最初、瞑想やマインドフルネス、冷水シャワーなんかの効果は半信半疑でしたね。今では怪しい手法でも客観的なデータがあるものはとりあえず試すようにしています(笑)。
答えを出すときは、自分は「どれくらい詳しいだろうか?」と自問してみましょう。ただの思いつきで答えない謙虚さが重要です。
まとめ:利用可能性バイアスを対策して、合理的な判断をしよう
利用可能性バイアスはニュースやSNSが盛んな今の時代においては人の判断を誤らせやすく、日常的に陥りやすいバイアスの代表格です。対策するだけでも正しい判断ができるようになりますよ。
確証バイアスなんかも人の認知を歪めて合理性を失わせてしまうので、当ブログ記事の「確証バイアスで合理的な判断ができなくなる!デメリットと対策方法を解説」を読んでいただければと思います。利用可能性バイアス、確証バイアスは人を非理性的にする主なバイアスなので事前に予防しておきましょう。
私は日頃から自分の認知を歪めるものとは取るようにしています。私はニュースを見なくなり、悲観的な考え方が減りました。さらにSNSをやめたら、他者比較による焦りがほとんどなくなりましたよ。
バイアスに関するおすすめ本
・人はどこまで合理的か
こちらは合理的に考える手法を教えてくれます。
合理的な思考を妨げるバイアスも教えてくれるので、客観的で正しい情報を推論したい、伝えたいという方は読んでみるといいですよ。
・ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?
この本は人がエラーをしやすい場面を教えてくれます。
エラーの原因を知ることで正確な判断を下すことができるようになります。
意思決定する人やミスしたくない人におすすめの本ですね。