「幸せになりたい」
「不幸だと感じる」
このような思いがありませんか。世間では「幸せになることが人生の目標」とよく言われていますよね。それ自体は間違いではありませんが、幸せを追い求めていることで自らを不幸にしている可能性があります。
幸せになるための方法を一言で表すと、
- 幸せを追い求めてはいけない。今この瞬間の人生（プロセス自体）を楽しもう
になります。
今回は「幸せを追い求めると不幸になる罠、自然と幸福になる方法」を説明します。幸福を追いかけるとなぜ不幸になるのか、幸福になる具体的なテクニックなどを紹介します。
幸福を求めるのではなく、人生を能動的に楽しむことで幸せな気分になり、充実した活動や意義を感じることができますよ。
幸せという欲望ループ
幸せをひたすら追い求めていると、「まだ足りない、もっと欲しい」という感覚に陥ります。困ったことに人の欲求には際限がありません。何かを手に入れて一時的に幸せになったと思っても、すぐに次の幸せを追いかけます。
幸せは個人的な主観で、幸福になったという明確な線引きがないため、無限に追求できます。つまり、幸福の追求には終わりがありません。キリがないという点では、お金がほしい、モノがほしいと求め続けることと同じですね。
幸せになりたいという思いは、「自分は今不幸せだ」という意識づけを暗に行っています。自分の幸せに過度に集中しやすくなるため、視野を狭めることにもなります。人間関係は幸福度に重要な要素ですが、ないがしろにしやすくなるんですね。
幸せ自体を追求対象とするのはやめましょう。
幸せを追い求めると不幸になる理由
幸せを求めると不幸になる理由をさらに詳しく見ていきましょう。
まず第一に、幸せは非常にあいまいな概念で無限の選択肢があり、何かを選択しても結局は不満感に悩まされるということです。コロンビア大学らの研究によると、多すぎる選択肢は人に大きな労力を強いて、モチベーションを下げ、後悔や不満を引き起こすということが明らかになっています。1つを選んでも、もし他の選択肢を選んでいたら…と考えてしまうんですね。
人の幸せは様々なものがあり、そこに至るためには数えきれないほどの選択肢があります。幸せへの意欲が強い人は、「別の職種にしていれば…」「あの人と付き合っていれば…」と過去の選択を後悔したり、「転職したほうがいいか」「別の人と付き合ったほうがいいか」と別の選択肢を考え込んだりしてしまいます。
第二に、幸せになりたいと考えている時間が、今この瞬間を生きていないという問題があります。家族と過ごす時間、何かの活動に打ち込んでいるときに「もっと幸せになりたいな」と思っている人は、今生きている瞬間を軽視してじっくりと味わうということをしていません。目の前の喜びを感じるのではなく、なぜ自分の人生はもっと楽しくならないのかと思いあぐねています。
第三に、自分の幸福度を心配することで、ネガティブな感情を生んでしまうことです。「今の自分は幸せではないのでは？」と自分が幸福かどうかを逐一チェックするという行為自体が、ネガティブな気持ちにさせ、人生の満足度をガクンと下げます。デンバー大学らの研究によって、人は幸せを重視すればするほど、今の生活により不満を覚えることが分かっています。
幸せの追求は自分は幸せではないという意識を植え付け、手に入れても「はい、次」と終わりがありません。幸せを目的とすることなく、幸福になる方法を見ていきましょう。
幸せを追い求めずに、幸せになる４つの方法
これまで幸せの追求が不幸になると述べてきました。幸福という捉えどころのない概念を追求するのではなく、行動しているうちに幸福になっている状態を目指しましょう。
幸福になる方法としては、
- どんな状況でもプラスに捉える
- 今この瞬間に集中する
- あるものに感謝する
- ただ楽しむことをする
があります。
幸福は身に付けて伸ばせるスキルです。これらの方法は意識して実践すればするほどその能力を鍛えることができますので、日常の習慣にしましょう。
メイン：リアプレイザル
数学のテストで70点を取っても、それ自体はただの事実であってポジティブ、ネガティブでもありません。この70点を「もっと勉強して点数を伸ばそう」とポジティブに捉えるか、「自分はなんて馬鹿なんだ」とネガティブに捉えるかはその人次第です。出来事の受け止め方で自分の感じ方や行動に影響を及ぼすことが知られており、前者の考え方は嫌な感情やストレスが少なく、パフォーマンスが上がっていきます。
このように物事をプラスに捉えることを「リアプレイザル」といい、日本語では認知的再評価と言います。ベルリン大学の研究によると、リアプレイザルでポジティブな気分と幸福度が向上し、ネガティブな気分や感情、ストレス、苦痛が減ったということが判明しています。同じ出来事でも、どのような見方をするかによって物事の良し悪しを決められるというわけです。
ビデオカメラの前で10分間のスピーチをするという緊張する場面でも、リアプレイザルによって心拍数上昇を和らげ、不安減少に効果があることが分かっています。リアプレイザルで体の反応を変えるなんてすごいですよね。
どんな状況でもポジティブな人がいますが、リアプレイザルで物事をプラスに捉える習慣を身に付けているんですね。何でもネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに捉えてみましょう。今よりは人生が楽しくなるはずです。
メイン：マインドフルネス
今この瞬間に注意を払っている状態をマインドフルネスといいます。マインドフルネスになっているときは雑念に囚われていないので、目の前のことに集中できます。
マインドフルネス傾向が高い人ほど、タスクに集中でき、ストレスやうつ、不安が少なく、無関係な情報を無視する能力に優れていることがメイン大学の研究で明らかになっています。余計なことに振り回されずに、人生をしっかりと味わうことができるようになるんですね。
マインドフルネス能力を高めるには瞑想が有効です。呼吸に意識を向けて、他のことに意識が逸れたら、再び呼吸に意識を戻すのが、瞑想の定番ですね。詳しいやり方については、以下の記事を参考にしてみてください。
サブ：感謝
人は手に入れたものを当たり前だと思い、持っていないものばかりに注目してしまいます。これでは不満をいつも抱えることになり、人生がつまらなく感じられます。
手に入れたものに大切に思うことで今の状態に満足することができます。しかも、感謝を続けることで、ないものについて考えるのではなく、あるものに喜びを感じやすくなります。
トゥウェンテ大学らの研究によると、1日15分の感謝のトレーニングを6週間行なった参加者は10〜20％ほど幸福度が高くなり、この効果は6カ月後まで続いたとのこと。感謝のトレーニングの内容は、感謝日記、感謝の気持ちを伝える、「今の生活が当たり前でなくなったら？」と自問する、といったものでした。
感謝は持っていないものではなく、すでにあるものに視点を向けることでポジティブになれるんですね。
サブ：趣味
毎日の生活を楽しんだり、リラックスしたりできる趣味を取り入れてみましょう。
人は楽しむこと、自由であると感じられることが好きです。趣味はこれら２つの要素を兼ね備えており、幸福度を上げることが研究で判明しています。そして、達成を優先する人は幸福度が低いことが分かっています。
趣味は動画鑑賞、ネットサーフィンなどの受動的なものだけでなく、運動、好きなものを発信するといった能動的なものにしましょう。受動的な趣味だけだと飽きやすいですが、能動的な趣味はずっと楽しめますし、自分でコントロールでき、成長を感じられるといったメリットがあります。
幸福度に大きな影響を及ぼすのは、喜びをもたらす活動の頻度です。1日の中で楽しいことが多くあるほうが毎日を幸せに過ごせるので、好きな活動を増やしていきましょう。
まとめ：幸福を追い求めずに、一瞬一瞬を楽しむ
日常の楽しみを増やして味わうには、「リアプレイザル」「マインドフルネス」が有効です。これらを毎日実践すれば、副産物として幸せに感じられるでしょう。
幸福を減らすような活動にも注意してください。ニュースのようなネガティブなもの、SNSのような他者比較して落ち込みやすくなるものは距離を取ってください。また、お金やモノを最重要視する物質主義の考え方にも気を付けましょう。
自分が何を楽しんでいることが分からないという方は「ジャーナリング」で自分の思考や感情を書き出してみてください。ジャーナリングの詳しいやり方、メリットは以下の記事で紹介しています。
最後に、「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」などの超名作の映画に主演し、ハリウッドで大活躍した女優オードリー・ヘップバーンの人生に関する言葉を紹介します。
何より大事なのは、人生を楽しむこと。幸せを感じること、それだけです。
みなさんも毎日を楽しんで過ごしてみてくださいね。
幸福になるためのおすすめの本
無（最高の状態）
・無（最高の状態）
こちらの本は人生の苦しみについて瞑想で対処する方法を教えてくれます。
そもそもなぜ苦しみが生じるのか、その対処法として瞑想をどのように実践すればいいのか、瞑想で得られる「無我の境地」を掘り下げて、紹介してくれています。
何度も読み返すことで苦しみを緩和し、幸せを感じられるようになりますよ。
シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント
・シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント
こちらの本は富の築き方や幸福になる方法を教えてくれます。
人生をより良く生きるためにどのような考え方や行動を取ればいいのかを本質的な観点から知ることができます。
何を読むか迷ったら、まずはこの本から読んでみてください。