座り過ぎによる悪影響は「座位時間を減らすだけで健康になる」といった過去のブログ記事でも紹介しています。座り過ぎは全死亡、心血管疾患死亡、がん死亡、心血管疾患発症、がん発症、2型糖尿病発症のリスクが上昇するといった恐ろしいものとなっています。座り過ぎの害は「甘く見られているよなー」と思っております。
長時間の座った姿勢が体に悪いことは知られていますが、「どれくらい座ってもいいのか?」は中々調べられていなかったりします。そこで今回は1日の最適な過ごし方を調べたスウィンバーン工科大学らの研究を紹介します。
座る、立つ、睡眠、運動の1日の最適な比率
この研究では、心臓病、脳卒中、糖尿病のリスクを最大限減らすために座る、眠る、立つ、運動の理想的な時間配分を調べてくれています。対象者は2388人で、研究の開始時に、参加者は腹囲、血糖値、インスリン感受性を測定しています。
太ももに装着した電子デバイスを装着して7日間の行動データを収集分析した結果、心臓病のリスクと血糖値との関連性が最も低いと思われるモデルを作成しました。1日をどのように過ごせば、血管や血糖に良いのかを調査してくれているんですね。
その結果、理想的な行動の時間配分は
- 座位:6時間
- 立位:5時間10分
- 低強度運動:2時間10分
- 中高強度運動:2時間10分
- 睡眠:8時間30分
であった。
座っている時間が6時間ということは仕事中にずっと座っている人はそれだけでアウトですね。他にも睡眠、運動に必要とする時間が多く、普通のサラリーマンが実践するのは難しそうですねえ。
この研究はとても具体的な時間まで明らかにしてくれているので、理想に近づけるように生活を改善していくのいいでしょう。それではこの研究から理想的な1日の過ごし方を考えていきましょう。
1日の理想的な時間配分
日本人の座位時間は420分と世界で一番と長く、厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」では睡眠時間が7時間未満が73.7%と高い数値になっています。座位時間が長いと寿命も短くなり、睡眠時間の不足はその人の魅力を下げたりすることも確認されているので、日頃から気を付けておきたいところです。
研究結果から最適な1日の過ごし方を見ていきましょう。
- 座位:日常生活では食事、スマホ、テレビなど、多くの時間を座って過ごしています。暇な時間はスマホを使いがちなので、代わりに運動をして座る時間を減らしてみてください。
- 立位:日常生活で立つ時間を増やしましょう。簡単なのは1日の大半を占める仕事中に立つことです。仕事が座り仕事ならスタンディングデスクを使ってみましょう。スタンディングデスクの作業によって生産性が上がることがテキサス A&M大学の研究で明らかになっています。
- 睡眠:睡眠は8時間以上を目指して、最低でも7時間以上とるようにしましょう。スタンフォード大学の実験では、参加者に好きなだけ寝かせたところ、睡眠時間は8時間15分に落ち着きました。睡眠時間が増えたことで参加者の気分や活力は上がり、幸福感も増していました。
- 低強度の運動:皿洗いや掃除などの家事、散歩は低強度の運動になります。家事に時間を積極的に使い、散歩する時間を増やすといいでしょう。外に出るだけで気分が良くなりますし、散歩は10分くらいでもメンタルが改善するという研究結果もあります。
- 中高強度の運動:中高強度の運動はランニング、スポーツ、筋トレがあります。運動強度の目安としては数分~数十分でキツイと感じられる運動ですね。週に数回はスポーツやジムなどで思いっきり身体を動かしたり、屋外をランニングやサイクリングしたりするといいでしょう。
定期的に座っている時間を中断して、軽い運動を入れると効果的なことが分かっています。1時間仕事をしたら、15分は立つ、歩くと自分なりのリフレッシュ方法を決めてみてください。
まとめ:座る時間を減らして、アクティブに動いて、ぐっすりと眠ろう
今回の研究をまとめると、「座る時間を減らせ!運動と睡眠時間を増やせ!」という結論になります。座位時間を減らすことは「WHO身体活動・座位行動 ガイドライン」でも重要なメッセージとして挙げられています。座り過ぎは心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高めるとのこと。座る時間を減らして、身体活動を行うことが推奨されております。
座位時間に加えて、デジタル機器のスクリーンタイムを減らすことも大切です。スクリーンタイムと座る時間には関連がありますし、スクリーンタイムが増えるほど、よく眠れなくなり、心身の疲労に悩むことが北京大学の研究で分かっています。スクリーンタイムを減らす方法については以下の記事をお読みください。
仕事でスタンディングデスクを使える人は少ないと思いますので、その場合は家で導入してみましょう。PC作業、読書、スマホなどを立ちながらすると姿勢だけでなく、気分も変えられます。集中力UPや眠気の予防にもいいですよ。