知識を検索

Wellness

愛着スタイルで分かる、パートナーとの幸せな関係の作り方

2023年7月10日

「パートナーと上手くやっていきたい」「自分に会うパートナーを選びたい」と悩むことはありませんか。その原因は自分と相手の愛着スタイルを知らないことが原因かもしれません。

コロンビア大学の発達神経科学室長のアミール・レバイン博士が書いた「異性の心を上手に透視する方法」から愛着スタイル、良い恋愛関係を築く方法を紹介します。愛着スタイルはアタッチメント理論に基づいており、子どもから大人まで当てはまることが分かっているものです。書籍のタイトルにそぐわず、中身は研究に基づいた正統派の本です。

自分とパートナーの愛着スタイル、良い関係を築く方法を知れば、恋愛が上手になりますよ。

すべての人は3つの 「愛着スタイル」のどれかにあてはまる 

人の愛着スタイルは、安定型(Secure)、不安型(Anxious)、回避型(Avoidant)という3つがあります。愛着スタイルによって、パートナーとの関係で親密さをどのように理解し、反応するかが違います。

すべての人が、これらの3つのタイプのどれかにあてはまります(たまに不安型と回避型の両方を持っているという人もいます)。3つのタイプの特徴は以下のようになります。

  • 安定型(Secure):相手と親密になることは自然なことと捉えて、温かく愛情深い。感情は安定しており、自然に愛情表現ができる。どの愛着スタイルの人とも上手くやっていける。
  • 不安型(Anxious):パートナーとの親密さはなくてはならないものと考え、相手に夢中になりすぎたり、相手が愛してくれないのではないかと不安にさいなまれたりする。 相手と常につながっている感覚がとても重要で、相手との関係が生活の最優先事項になる。回避型との相性は悪い。
  • 回避型(Avoidant):自分の自由を第一優先にし、交際している相手がいても、一定以上の親密さを避けて常に距離を置こうとする。独立心が強く、相手から親密さを求められると窮屈に感じる。不安型との相性は良くない。

一般的には、人口の50%の人が安定型、20%が不安型、25%が回避型、そして5%が不安型と回避型の両方となっています。 愛着スタイルを理解すると、恋愛関係における相手のふるまいを理解しやすくなります。

アタッチメント・タイプを見分ける 黄金のルール 

自分や相手の愛着スタイルを知ることで、パートナーの選び方やより良い関係構築に役立ちます。自分や相手の特徴や行動が予測できれば、対処法を考えるのは容易になります。

愛着スタイルを見分ける5つの黄金のルールを紹介します。 

  1. 親密さを求めているかどうか:この質問に「いいえ」という答えであれば、回避型です。「はい」であれば、安定型か不安型になります。パートナーを家族や友達に合わせるなどのお互いの関係を深める行動を取るかどうかが判断するポイントになります。
  2. パートナーへの執着や不安が強い:パートナーへの言動に傷つきやすかったり、浮気するのではないかと心配したりしているのであれば、不安型である可能性が高いです。
  3. 一度きりの言動ではなく、パターンを探す:愛着スタイルを見極めるためには、言動のパターンを良く観察する必要があります。たった一度のサインだけで判断するのではなく、多くのサインを総合的に考慮して、スタイルを判断しましょう。
  4. 率直な気持ちを打ち明ける:自分の素直な気持ちを書いたり、相手に打ち明けたりすることで愛着スタイルを効果的に見分けることができます。相手のスタイルを知りたいのであれば、自分の気持ちを打ち明けることは相手があなたのニーズを満たしてくれる人かどうかを試すリトマス試験とも言えます。
  5. 言わないこと、しないことを考える:自分や相手が言わないこと・しないことも愛着スタイルを見分ける重要な情報です。二人の将来について話しても、相手が反応しないなどの反応があったら、相手は回避型である可能性が高いです。

相手との親密さを避けているなら「回避型」、相手との関係に執着や不安を抱きやすいなら「不安型」、自分の気持ちを素直に表現してパートナーに思いやりを持って行動できるなら「安定型」というように考えるといいでしょう。

不安型(Anxious) ──交際相手に振り回される人 

不安型はアタッチメント・システムがオンになりやすいという特徴があります。アタッチメント・システムとは、パートナーとの関係が良好なのかを常にモニターするという脳のメカニズムです。

「ふたりの関係が揺らいでいる」と少しでも感じると、アタッチメント・システムがオンになり、「ふたりの関係は大丈夫」とパートナーから明確に示されるまでは、そのまま警告音を発し続けます。安定型や回避型でもアタッチメント・システムがオンになることはありますが、不安型ほど敏感なセンサーではありません。 不安型は他人の感情にとても繊細です。

そのため、不安型は愛情表現をしっかりとしてくれる「安定型」と一緒にいると幸せになりやすくなります。しかし、不安型はある思い込みを持っていると、安定型よりも相性の悪い回避型を魅力的だと思ってしまいます。

不安型は自分の不安を相手にしっかりと伝える方法を身に付けることで、アタッチメント・システムをオフにしやすくなりますよ。

不安を「ときめき」と勘違いすると不幸になる

「不安型の女性は回避型の男性と交際する傾向がある」という研究結果があります。なぜ親密さを求める不安型が、距離をとりたがる回避型に惹かれるのでしょうか? 

それは「不安をときめき」だと思ってしまうからです。不安型が回避型と付き合ったときのことを考えてみましょう。回避型が親密さを避けたり、翻弄したりする行動を取ると、不安型の人はアタッチメント・システムがオンになり、不安になって相手の言動を気にするようになります。不安型は、この悪い意味でドキドキして、相手を気にする状態を「ときめき」だと勘違いしてしまうのです。

不安型がパートナーに求めているのは、「親密さ」です。不安や心配をときめきだと誤解していると、本当の愛情を与えてくれる安定型の人をつまらない人というように一蹴してしまい、あとで後悔することになりかねません。

また、不安型が回避型と付き合う可能性が高い理由は、回避型はすぐに恋愛関係を終わらせて恋愛市場に戻ってくる一方で、安定型は長期の恋愛を続けることが多いからです。

不安型は安定型と付き合うと、パートナーとの穏やかで安定した愛情を心から楽しめるようになります。そのためには、恋愛の高揚感にはまり込んだり、こちらを翻弄するような相手の言動でオンになったアタッチメント・システムの状態を恋だと勘違いしないことが重要です。

回避型(Avoidant) ──恋愛関係では満たされない人

回避型は、恋愛関係に期待すること、相手と親密になったときの意味付け、パートナーへの振る舞いなどが、他の愛着スタイルの人と違います。シングルでも恋人、結婚相手がいても、常に距離を置こうとしているのです。また、回避型は感情を押し殺す傾向があり、何を考えているのかが分かりにくいという特徴があります。

回避型は、人と親密なつながりを持ちたいという気持ちがまったくないのでしょうか?実験では、回避型は通常時には 「別れ」「ケンカ」「喪失」という言葉に対するは反応が遅い(気にかけていない)ということが分かっています。しかし、別の作業をさせるなどの気が散るようにすると、「別れ」「喪失」「死」などの言葉に他のアタッチメント・タイプの人と同じ速さ(気にかけている)で反応しました。

つまり、回避型は通常時は自分自身を抑え込んで親密さを避けているが、無意識レベルでは親密さを求めているということです。実際に、パートナーとの離婚や、生まれた赤ちゃんに重い障害があったなど、大きなストレスのかかる出来事があると、回避型の人の防御壁は壊れ、不安型と同じように振舞うことが、研究で明らかになっています。回避型の人が一人を好むのはそのように見えるだけで、本当は身を守るための戦略に過ぎません。

回避型は、身を守るために自分が人を避けているということに気づいていないことが多いです。そのため、回避型は恋愛や人間関係で非生産的な結果になり、たとえ恋人やパートナーがいても孤独に感じられるのです。

回避型は変われるのか? 

回避型は、人間に本来備わっている人への愛情欲求を抑え続けています。恋人に対して非現実的な理想を抱き、「運命の人がいない」と心の底から信じており、相性の良い相手と出会えていないのは自分のせいだと気づきません。不満の理由を自己分析しないことも一因となっています。

回避型は孤独に苦しめられたり、大きな事故に遭ったりするなど、人生が変わるような経験をしたときにだけ、思考パターンを変えるきっかけになることが多いです。以下のアクションを取ることができれば、親密な関係を築くことができます。

  • 自分が回避型であることを認識する:思いつきで行動しないようにしましょう。夢中になっていたのに急に気持ちが冷めてしまったときには、いったん立ち止まって、回避型のせいかと自問自答してみてください。最初に相手のことを素晴らしい人だと思っていたのであれば、距離を置くことであなたが失うものも大きくなります。 
  • 自立にこだわるのをやめて、お互いに助け合う:お互いに必要なときに助け合えると感じていて、あなたも相手との距離を保っておく必要を感じなければ、大切なことにもっと目を向けることができます。 
  • 安定型のパートナーを見つける:安定型と一緒にいることで、安定型に近い思考になっていきます。安定型と交際して相手を言動を参考にすれば、徐々にけんかや言い争いが少なくなり、穏やかに過ごすことができます。 
  • 批判するのではなく、感謝する:パートナーに批判的であることは、その関係に悪い影響を及ぼします。自分の批判的な部分に気が付き、相手の良いところを探しましょう。寝る前に相手への感謝を書き出すことも有効です。

まずは、自分と向き合い、他人と親しくなろうとしないような思考パターンが自分にはある、ということを知ることから始めます。そこから、徐々に人との距離を縮めるようなアクションを取ってください。

次に安定型から良い恋愛関係を築く方法を学びましょう。

安定型(Secure) ──パートナーに最適な人

安定型は親密な関係を恐れず、駆け引きせず、信頼でき、相手に応じて適切な対応ができるというパートナーとして理想的です。安定型の特徴を詳しく見ていきましょう。

安定型はちょうどいい「鈍感力」を持っています。「パートナーは自分に愛情を持って接してくれる」という期待感を持っており、不安型のように人間関係が上手くいかないかもしれないと不安になったり、回避型のように愛情を避けたりすることが少ないんですね。この良い「鈍感力」が以下のように人間関係のあらゆるところに影響します。

  • 平和主義──ケンカをしても、防御的になったり、攻撃的になったりすることがないので、早く仲直りできる。 
  • 柔軟な考え方──批判されてもそれほど深刻にとらえず、自分の言動を振り返り、必要があれば自らの信条を見直す。 
  • 素直──相手に自分の気持ちを正直に伝えられる。そのため、相手を翻弄したり、駆け引きをしたりしない。
  • 親密──不安型のように拒絶を恐れていないし、回避型のように距離を取ろうとしない。相手と物理的にも心理的にも深く関わることは、自然だと思っている。
  • 寛容──相手は自分のためによかれと思って行動していると信じているので、すぐに許せる。 
  • 相手への敬意──安定型の人と友達になると、とても大切に扱ってもらえる 。
  • 自信──自己肯定感が強く、関係をより良いものにできると思っている。 
  • 責任感──相手が幸せであるかどうかは自分の責任でもあると考えている。 

安定型の人と付き合っていると、2人の親密さが時とともに育っていきます。2人の関係が近づいたと思ったら、離れるといったことはありません。

安定型のパートナー選び 

安定型は、自分を幸せにしてくれる人に自然に惹かれる傾向があり、自分の心理的なニーズを満たしてくれる人と一緒にいることを選びます。そのため、もし相手がニーズを満たしてくれる人かどうか確信が持てないときには、素直な気持ちを伝えて相手の反応を見て決めています。

安定型の人がパートナーを選ぶ際に無意識に行っていることを紹介します。みなさんも参考にしてみてください。

  • 相手が駆け引きをしている証拠を見つけたら、付き合うのはやめて次にいく 
  • 最初から自分のニーズをきちんと伝える 
  • 自分を幸せにしてくれるパートナー候補はたくさんいると信じている 
  • 相手の思いやりのない行動に対しては自分のせいだとは考えずに、その行動をした本人がどんな人かを示すものだと考える 
  • 相手に尊敬と愛情を持って接してもらうことを期待する

安定型は自分さえ見失わなければ、不安型や回避型とも良い関係を築くことができます。でも、もし相手に引きずられて不安になり始めたりしたら要注意です。

もしあなたが安定型である場合には、注意点があります。それは、安定型は相手の幸せも自分の責任であると考えるため、相手が困っていたり、自分に悪い影響を及ぼしていたりしても、支え続けてしまうという点です。相手が自分にふさわしくないと思っても、ずるずると付き合い続けてしまいます。

安定型は誰でも上手くやっているからといって、自分に不幸をもたらすような相手と付き合い続ける必要はありません。様々なことを試したうえでダメだったら、別れてもいいということを覚えておいてください。

安定型は普通の人と見られがち

安定型は精神的に安定しているため、不安型のように情熱がある、回避型のようにドキドキさせられるわけではなく、普通の人と見なされがちです。しかし、パートナーが不安型の場合には自分が疲れていたりしても相手が満足するまで愛情を示し続けなければいけませんし、回避型の場合には肝心なときに頼ることができないかもしれません。

幸せになりたいのであれば、安定型を表面だけを見てつまらない人として見るのではなく、「パートナーに最適な人」として認識を改める必要があります。安定型の人も自分の能力は素晴らしいと気づき、自信を持つことが大切です。

実際に付き合ってみると、安定型は率直で素直であるため、新しい視点や多くのアイデアを持っている楽しい人だと分かるはずです。

恋愛を成功させる方法

それぞれの愛着スタイルを知ったところで恋愛を成功させる方法を見ていきます。恋愛関係で大切なのが、親密さレベルのすりあわせです。これが上手くいくかどうかでパートナーの関係が決まります。

  • 「親密さのレベル」で妥協しない: 相手に対する愛情があっても、お互いに満足できる親密さのレベルを見つけることができないと片方が不満を抱えることになります。そして、結婚や引っ越し、子どもの誕生などのライフイベントが親密さの欲求の違いを浮き彫りにして、話し合いができないなどの問題が山積みになり、関係が終わりに向かいます。パートナーを選ぶ際には、親密さのレベルが一緒か、すりあわせることができるかを確認してください。
  • 安定型になる:安定型になるには、安定型だと思う人の行動をまねてみましょう。ロールモデルは過去に会った人や有名人、フィクション内の人物でもかまいません。安定型の考え方を知って行動することで、安定型に近づくことができます。 
  • 別れるどうかの判断方法:別れるべきかどうか決めかねている人は、宝物のように大事に扱われているか、それとも敵のように冷たくされているかを自問自答してください。敵であれば別れるべきです。もし別れるのであれば、家族や友達などの自分をサポートしてくれるネットワークを用意し、セルフコンパッションで自分に優しくしてあげましょう。
  • 自分のニーズを率直に話す:自分のニーズをはっきりと伝えることで、パートナーは無駄に悩んだり、勘繰ったりすることなく、あなたの欲求を満たすことができます。お互いが自分のニーズを満たしあうことができるので、満足のいく関係になりやすいです。 ただし、伝え方は相手を傷つけることのないようにアサーションを使いましょう。

これらを実践すれば、恋愛を以前よりも成功させることができます。ぜひ意識してみてください。

まとめ:自分と相手の愛着スタイルを知れば、良い関係を築ける

パートナーシップで大切なのは、「親密レベルのすり合わせ」「お互いのニーズを満たすこと」です。

パートナーとどれくらいの頻度で一緒にいたいか、連絡したいかという親密レベルを合わせることは非常に重要ですので、関係に不安を感じたら相手に確認してみてください。パートナーとの交際前でも交際後でも、お互いのニーズを満たせるように自分磨きは忘れないようにしましょう。付き合ったり、結婚したりして関係が安定したと思ったら、見た目を気にしなくなる、どんどん太る、マンネリしたデートの繰り返しなど胡坐をかくことのないようにしましょう。

仲の良い関係を築くには「価値観のすり合わせ」も大切です。価値観をすり合わせる方法については、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。パートナーの性格特性から選び方は『パートナー選びと恋愛で大切なこと』をお読みください。

個人的には愛着スタイル、親密レベルを知ることで、今までの恋愛の失敗の原因(相手が回避型だったなど)が分かるようになり、役立ちました。お互いの連絡や会う頻度、どのように一緒に過ごしたいか、お互いの理想のカップルが合わなかったら、後々に苦しみますもんね。

恋愛関係のおすすめ本

異性の心を上手に透視する方法

異性の心を上手に透視する方法
こちらの本は恋愛における自分やパートナーの愛着スタイルを知ることができます。
どのようなパートナーを選べばいいのか、お互いのニーズの満たし方を知ることができます。
パートナーが欲しい、パートナーとの関係に悩んでいる方におすすめです。

夫婦・カップルのためのアサーション: 自分もパートナーも大切にする自己表現

夫婦・カップルのためのアサーション: 自分もパートナーも大切にする自己表現
自分の考えを述べるときや頼みごとに役立つのが、「アサーション」です。
アサーションとは、自分の感情、思考を素直に適切な方法で相手に伝えることです。
アサーションを学べば、相手を怒らせることなく、自分の頼みごとや意見を言うことができますよ。
こちらの本は夫婦関係の問題にまつわる解決法についても教えてくれるので、夫婦、カップルの方にもおすすめですよ。

-Wellness