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拒絶感受性が人間関係を壊す!デメリットとその克服法

2023年11月15日

「人に頼み事がしにくい」「困ったときに助けてくれる人なんていない」と感じることはありますか。もしこれらの思いが強くて仕事やプライベートに支障があるなら、拒絶感受性が高いせいかもしれません。

拒絶感受性は「他人から拒否されることが嫌だと思う度合いのこと」で、拒絶感受性が高い方は人付き合いが苦手だと感じます。人間関係の問題以外にも、仕事のパフォーマンスの低下、孤独や不安に悩まされるといったマイナス面があります。

今回は、

  • 拒絶感受性の特徴
  • 拒絶感受性のデメリット
  • 拒絶感受性への3つの対策

を紹介します。

自分の拒絶感受性のレベルを知って対策することで人付き合いが以前よりも楽になりますよ。

拒絶感受性って何?

拒絶感受性とは「他人に断られることを怖がること」で、拒絶感受性が高い人ほど「頼んでも断られる」「信用できるのは自分だけ」と考えてしまいます。

拒絶感受性が高い人は他人から拒否されるのをとても不快に感じ、自分の意見を言わなかったり、自分のやりたいことを我慢したりしまいがちです。周囲から誤解を受けやすく、他人から拒絶されていると思い込んでしまいます。

拒絶感受性が高いと他人の顔色を窺いやすくなるので、自信のない人、魅力のない人という印象を相手に与えます。それによって、さらに自分への不満や人間関係への不安を増大させていくんですね。

拒絶感受性の高い人の特徴

拒絶感受性は、「相手の反応に不安を感じるか」「相手の好意的な反応を予想できるか」の2つの要素から判断することができます。

お金を借りるなどの「頼み事」、ちゃんと反応を返してくれるといった「コミュニケーション」、良い関係を築くことの「人間関係の構築」の3点について、以下の方々に対する「不安」や「好意的な反応の予想ができるか」を考えてみてください。それぞれについて、とても不安~まったく不安がない、(好意的な反応を)まったく予想できない~とても予想できる、で評価してみましょう。

  • パートナー
  • 家族
  • 友達
  • 職場
  • 他人

これらの質問で不安、予想できないが多い人は拒絶感受性が高い人と言えます。職場の人だけに対する不安が高い場合は付き合い方を見直してみるといいですよ。

拒絶感受性のデメリット

拒絶感受性が高いと、自分への評価を気にするあまり拒絶に対する恐怖が増大し、自分に集中しすぎてしまうため、他者視点で考えられなくなります。他人に断られるのが嫌だと思うほど、自己中心的になり、視野がどんどん狭まるというのは皮肉な話ですよね。

拒絶感受性が高いと、以下のようなデメリットがあることが分かっています。

  • 人間関係で大きな問題を抱える:ウーロンゴン大学のメタアナリシスによると、拒絶感受性が高い人ほど、人間関係や恋愛の満足度、親密さが低く、人間関係への不安や対立が多かったそう。また、嫉妬心が強く、自分の感情を抑えつける傾向がありました。
  • 正しい判断ができない:ウォータールー大学らの研究によると、人間関係のトラブルで賢い判断ができない人は拒絶感受性が高いことが分かっています。拒絶感受性が高いと自分のことだけを考えてしまいがちなので、他人視点を取り入れて問題を解決することが難しくなります。
  • メンタルに悪い:2017年に発表されたメタアナリシスでは、拒絶感受性が高いとうつ病、不安、孤独になりやすく、感情が不安定で、自らの身体上の欠点に固執してしまうことが明らかになっています。

人間関係への恐怖や不安があると様々なところに悪影響が出てきてしまいます。次からは拒絶感受性の対策を見ていきましょう。

拒絶感受性の3つの対策

1、マインドフルネス瞑想

拒絶感受性にはマインドフルネス瞑想が有効です。

ブラウン大学の研究では、マインドフルネス傾向が高いと拒絶感受性によるネガティブな感情(敵意、悲しみ、罪悪感、恐れ)を和らげるとの結果が出ています。マインドフルネス傾向はマインドフルネス瞑想で高めることができるので、日頃から実践するといいでしょう。

メイン大学の調査では、マインドフルネス傾向が高い人はストレスやうつ、不安が少なく、無関係な情報を無視して、タスクに集中できることが判明しています。拒絶感受性が高い人が陥りがちな不安を減らしてくれるんですね。

マインドフルネスには拒絶感受性がもたらすネガティブな感情を軽減するとともに、その感情に気づいて対処できるという能力を高めることができます。人間関係を良好にするという効果もありますので、拒絶感受性にお悩みの方にはぜひ試していただきたいテクニックです。

マインドフルネス瞑想の実践法は下記の記事で紹介していますので、参考にしてください。

2、コントロールの二分法

コントロールの二分法とは、自分でコントロールできるものとできないものを分けて、コントロールできないものは放っておいて、コントロールできるものだけに集中することです。ローマ時代のストア派の哲学者エピクテトスによる考え方です。

コントロールの二分法には2つのメリットがあります。

  1. 自分のコントロールの外にあるものを見極めることができれば、それを変えようと時間とエネルギーを浪費しないようになります。コントロールできないものをありのままに受け止めて、コントロールできることに注意が向くようになります。
  2. 自分のコントロールの範囲内(信念、価値観、行動など)にあるものを見極めて、時間とエネルギーを集中投下できます。対象を絞ることで、効率よく効果的に成長できます。

2022年の研究では、コントロールの二分法は幸福度、繁栄を向上させ、ポジティブな感情を増やして、ネガティブな感情を減らすことが分かっています。繁栄とは人生に喜び、意味や目的を抱くことであり、前向きに成長している感覚のことです。

日常生活でもコントロールできるものとコントロールできないものに分けて、コントロールできるものだけに取り組みましょう。

3、本音で生きる

拒絶感受性の高い人は自分の本音を隠すことで、人間関係や自分自身に悪影響を与えています。自分の感情や思考を他人に徐々に表現していくことが大切です。

本音を出すコツは、自分の本音を土台にして、他人視点を加えることです。上司に理不尽なことで怒られる、パートナーが家事をしない場合、感情任せにしてその場でカッと怒る、嫌な感情を我慢しても上手くいきません。「事前に対処できないことについて不満を述べられているようなので理不尽に感じます」「自分も仕事で疲れているから皿洗いをやってくれないかな?」と自分の本当の気持ちを大切にしつつ、相手に配慮して相手に伝えましょう。

本音を出すと他人から嫌われると考える方もいらっしゃると思いますが、本音を隠すほうが嫌われます。感情を抑えている人は、率直な気持ちを表現する人より好感度がとても低くなり、嫌われるという研究もあります。辛いことがあったら、自分を思いやるセルフコンパッションが有効ですよ。

本音で生きるための詳しい方法については以下のブログ記事をご参照ください。

まとめ:人に嫌われないようにするのではなく、自分を好きになれるように生きよう

本当に人望のある人というのは、
けっこう人に嫌われています。
好かれることも嫌われることもあるけれど、
嫌いな人よりも、好きな人のほうがたくさんいる。
または、好きな人からは、絶対的に好かれている。
そういう人のことを、人望のある人というのです。

秋元康/放送作家、プロデューサー

「拒絶されるのは嫌だ」という気持ちは社会で生きるうえで必要ですし、誰にでもあるものです。ただし、その気持ちが強すぎると生きづらいと感じたり、人間関係が嫌になったりしてしまいます。

大切なことは拒絶感受性のレベルを自分が生きやすいようにコントロールすることです。拒絶感受性への対策法を使って、自分らしく振舞いつつ、他人に配慮するようにしましょう。

対人不安の原因としてコミュニケーションの取り方が分からない人も多いと思います。コミュニケーションに不安を感じている人は「誰でもコミュ力を鍛えることができる!科学的に効果のある手法を解説」をご覧ください。

私は拒絶感受性が高いほうでしたが、マインドフルネス瞑想やコントロールの二分法で拒絶されることへの恐怖が軽減され、誰からも拒絶されないことは不可能と思うようになりました。以前よりも自分らしく生きることができ、生きづらさを感じることが少なくなったように思います。

高い拒絶感受性に悩んでいる人へのおすすめ本

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために
この本はストア派の哲学者エピクテトスの教えがまとめられていますが、コントロールの二分法、リアプレイザル、期待効果、メタ認知などの現代でも役に立つテクニックの基礎となる考え方が満載です。
経済的な成功、高い地位、人気がなくても、本当の自由を享受して幸福に生きる方法を知ることができます。
生きづらい、自由でありたいと思っている人におすすめです。

才能の科学 人と組織の可能性を解放し、飛躍的に成長させる方法

才能の科学 人と組織の可能性を解放し、飛躍的に成長させる方法
こちらの本は才能というものを科学的に考察してくれています。
本当に才能というものはあるのか、どのようにしたら自分を変えることができるのかを分かりますよ。
「人は変わらない」という固定マインドセットを持っている方におすすめの本です。

拒絶感受性を対策するためのおすすめ体験

入浴瞑想

マインドフルネス瞑想は効果が高いですが、瞑想する時間を捻出できない方も多いと思います。
そこでおすすめなのは入浴瞑想です。やり方は簡単でお風呂に入ったら、温かいお湯、水の感触、全身がぽかぽかする、体が浮く感じといった気持ちのいい感覚に意識を集中させます。
もし考え事などに意識が逸れたら、入浴の感覚に意識を戻します。
お風呂で呼吸に意識を向ける呼吸瞑想をするのもおすすめですよ。
お風呂で体をリラックスできるため、入浴瞑想を習慣化してみてはいかがでしょう。

何でも日記

私は「何でも日記」を寝る前に書いています。

日記の内容は

  • 1日の出来事の感想を書く
  • 進捗と今後の成長案
  • 感謝すること
  • 翌日の新しい挑戦

です。エクスプレッシブライティング、内省、前進の感覚、感謝、新しい挑戦といったラインナップになっています。

詳しいやり方や効果は以下の記事でご覧ください。毎日がイキイキとするようになりますよ。

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