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朝食は食べたほうがいい?メリット・デメリットから科学的に解明します

2024年4月12日

朝食は食べたほうがいいと言われますが、その理由が分からずにモヤモヤしていませんか。

国でも「朝食が大事!」と朝食を食べることを推奨しています。脳の活動にはブドウ糖が欠かせないんですが、朝食を食べないとブドウ糖を摂取できないので、脳のエネルギーが不足するとのこと。

一方で、人類はほとんどの期間を狩猟採集民として暮らしており、朝食を食べるようになったのはごく最近。人類の体は朝食は食べるようにできていないという主張もあります。

朝食についてはいまだに議論があるので、結局、「朝食は食べたほうがいいの?」と疑問を持つ方もいらっしゃると思います。

朝食の必要性について、結論から申し上げると「朝食は食べたほうがいい」になります。

人間の体内時計には2つの種類があり、外の光で調整する「主時計」、食事などで調整する「末梢時計」があります。朝食を食べないことで主時計と末梢時計がズレてしまい、「朝食時差ぼけ」の状態になります。時差ぼけは「何となくだるい」「寝不足」「学校や会社に行きたくない」という不調を引き起こします。

今回は、

  • 朝食のメリット・よく言われるデメリット
  • おすすめの朝食
  • 朝におすすめの活動

を紹介します。16時間断食との考え方、朝に適している活動などもお伝えしますよ。

朝食を食べることで、体が、気分が悪いといった体の不調が改善し、朝から気分よく最高のパフォーマンスを発揮できるようになります。朝から良い気分で過ごしたい、毎日のパフォーマンスを上げたいといった方におすすめです。

朝食はなぜ食べたほうがいいのか

朝食は健康に良いだけでなく、体内時計の乱れを防ぐ効果もあります。

人間には1日周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっています。体内時計は、日中は身体を活動状態にして、夜間は休息状態にするなど、体の活動状態を切り替えてくれています。体内時計は自律神経やホルモンを調整する役割を担っています。

人に備わっている主な2つの体内時計には脳の中心部にある視床下部に存する「主時計」、胃腸・肝臓・筋肉などの末梢組織に存在する「末梢時計」があり、これらが実際の時刻と合っていないと、いわゆる時差ぼけの状態になります。時差ぼけというと海外旅行を思い起こしますが、朝食の欠食でも発生することが分かっています。

朝食を食べないことで日中の眠気、疲労感を感じ、成績の低下やイライラ、うつを引き起こしやすくなることがデータで判明しています。朝食を食べるとこれらの悪影響を防ぐことができます。食事には朝昼夕と様々なタイミングがありますが、体内時計の同調効果を考えると、朝食が一番大事です。

朝と夜に同じものを食べても朝のほうが血糖値が上がりにくく、肥満になりづらいですし、心身にも良い影響があります。認知や運動のパフォーマンスも上がるので、全世代の人に朝食は必須と言えますね。

朝食を食べるメリット

朝食には体内時計、心身を整えて、パフォーマンスを上げる効果があります。それらの他にもたくさんのメリットがあるので、まとめて紹介します。

  • 覚醒度が高まる朝食に低GIの食品を食べるとスッキリと目覚められることがカリフォルニア大学バークレー校の研究で明らかになっています。GI値が高いほど血糖値が休息に上がりやすく、GI値が低いほどゆるやかに血糖値が上昇します。高GIの食品にはパン、白米などがあり、低GIの食品にはオートミール、玄米、リンゴ、ブルーベリーなどがあります。
  • 体温が上がる:食事で体が温まる「食事誘発性熱産生」という仕組みで体温が上昇します。人間の運動能力は体温と密接に関連しているので、体温が上がると運動パフォーマンスが良くなります。
  • 便秘解消:朝食を食べるほうが夕食を食べるよりも腸内細菌の多様性が多くなり、便通が良くなります。就寝中は完全に絶食なので、朝食で腸内細菌に餌を与えつつ、胃の蠕動運動を促進させられます。
  • 入眠が良くなる:朝にタンパク質に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンを摂取すると睡眠が改善されたとの報告があります。トリプトファンは豆腐や納豆などの大豆製品、ヨーグルト、牛乳などの乳製品、卵などに多く含まれています。朝食に豊富なタンパク質を摂ることでメラトニンの分泌量が増えて、入眠しやすくなります。

これだけの効果があるので、食べない理由がありませんね。朝食は1日を左右するので、しっかりと時間を取りましょう。

朝食のデメリットはあるのか

朝食はこのようにメリットが多いですが、時間がかかるなどのデメリットが挙げられます。
ここではよく言われるデメリットについて、見ていきましょう。

  • 時間がなくなる?:朝食を食べないと朝の時間が節約できるという考え方です。しかし、朝食には1日のパフォーマンスを上げて、心身を整える効果があるので、デメリットよりもメリットのほうが大きいです。時間を節約したい方は昼食、夕食の時間を減らしましょう。
  • 胃腸が休まらない?:断食で胃腸を休める時間が必要という主張がありますが、これはよくある誤りです。腸内環境を整えるうえで大切なのは食物繊維やプロバイオティクス(ビフィズス菌、乳酸菌などの善玉菌)の摂取です。むしろ、断食などで食物繊維を十分にとっていないと腸内細菌が小腸の粘液を食べるので防御機能が衰えて炎症が起こり、腸内環境が悪化してしまいます。
  • 眠くなる?:朝食を食べると眠くなるというのもよく言われます。しかし、眠気やだるさの原因は血糖値の急激な上がり下がりであり、低GIの食品を食べれば、眠気も少なくなります。むしろ、朝食に低GIの食品を摂ると目覚めが良くなります。
  • 人は朝食を食べない生き物?:「狩猟採集民は冷蔵庫のような保存技術がなかったので朝食を食べていない、人間の体には不要だ」という考えもありますが、食事内容やタイミングは文化や地域によって異なります。狩猟採集民は食料がいつ手に入るか分からないので、空腹であれば食べるという暮らしをしていた可能性が高いです。そのため、狩猟採集民を見習って、朝食を食べないというのはやめたほうがいいでしょう。

「プチ断食」「16時間断食」はカロリーが自然と減り、長寿になるということで実践している人も少なくありません。これらの食事法では、朝食抜きを推奨されやすいですが、朝食は食べましょう。カロリー制限は寿命を伸ばす効果では断食とほとんど変わらないので、朝食の代わりに昼や夜を抜く、食べる量を事前に決めて制限するといいでしょう。

おすすめの朝食

朝食を食べてもバランスや質の悪い食事だと不調の原因となります。活動性が低くなる、目覚め感が悪い、食欲がないなどですね。

朝食では「炭水化物」「タンパク質」「食物繊維」の3つの栄養素が取ることが大事です。その理由とおすすめの食品を紹介します。

  • 炭水化物:炭水化物はインスリンの分泌を促し、体内時計を朝に合わせる合図になってくれます。低GI値のさつまいも、キャベツやトマトなどのサラダ、バナナやブルーベリーなどのフルーツがおすすめです。
  • タンパク質:タンパク質は体温を上昇させ、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌量を増やすため、睡眠が改善します。納豆、牛乳、卵、肉、魚などを食べましょう。
  • 食物繊維:食物繊維を摂取すると体内時計を調節し、腸内環境を改善してくれます。わかめやのり、アーモンドなどのナッツなどがいいでしょう。炭水化物で紹介した低GI値のさつまいもなどにも食物繊維が豊富に含まれています。

ちなみに私の朝食の内容はプロテイン、ゆで卵、ミックスナッツ、アーモンドフィッシュ、バナナを食べています。時間があれば、野菜の入った温かい味噌汁、カフェインレスのコーヒーなどを飲んでいます。

朝におすすめの活動

ここまでは朝食をメインとして、体内時計を朝に合わせる方法を説明してきました。

体内時計は朝食以外でも調節できます。体内時計は脳、臓器、筋肉などにあるため、それぞれの体の部位に応じた活動をすることが大切です。

体内時計を現実の時刻に合わせるために、朝におすすめの活動を見ていきましょう。

  • 日光浴:日光は脳の主時計を調整してくれます。朝起きたら、部屋のカーテンを空けて日光を取り入れましょう。日光はやる気を上げるといった効果もあります。
  • 食事:食事は胃、腸、栄養を取り込む肝臓などの臓器の末梢時計を調整してくれます。炭水化物、タンパク質、食物繊維を中心に朝食メニューを考えてみてください。
  • 運動:運動は筋肉、呼吸に関連する肺に働きかけて、体内時計を調節します。ただし、運動パフォーマンスのピークは午後のため、朝の運動は軽めにしましょう。「飛ばないバーピー」がおすすめです。

上記の3つの要素を意識すれば、体内時計を実際の時刻に合わせることができます。つまり、朝に光を浴びて、朝食をしっかりと摂り、軽い運動をしましょうということですね。

まとめ:朝食は1日の最高のスタートダッシュ

朝食は食事の中で最も大切です。朝から気持ちいい気分で過ごせて、高いパフォーマンスで1日をスタートできます。

朝食を食べるために早起きしたくないという方もいらっしゃると思いますが、朝の時間は自分のパフォーマンスを最大限発揮できる時間です。早起きのメリットやおすすめの活動は以下の記事をご覧ください。

私は朝食を抜いていたときはジムの筋トレでパワーが出なかったり、空腹でイライラしたりすることがありました。朝食を食べるようになってから、そんなことはなくなりましたし、シンプルに気分を上がるので楽しい気持ちになります。今後も朝食はしっかりと食べようと思います。

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