人は自分、他人、仕事などの様々なことに期待をしています。
「あんな仕事に就けたらいいな」
「お金持ちになれば人生バラ色」
このように考える人は多いですが、期待による理想と現実のギャップが苦しみを生みます。しかも、人の抱える理想にはキリがありません。
今回は、
- 期待するだけ無駄な理由
- 期待しないメリット
- 有意義に生きるための3つの方法
を紹介します。
期待をやめるだけで受け身な毎日から抜け出せ、自由を手にできます。自らの行動に重点を置くと人生は自らの手で変えることができ、より良くしていけるという感覚を得られます。「自分はできる」との思いがさらなる努力をするモチベーションの源泉となります。
期待の定義とは
期待の定義から見ていきましょう。
あることが実現するだろうと望みをかけて待ち受けること。当てにして心待ちにすること。「—に添うよう努力する」「活躍を—している」「—薄」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
期待は他人の行動の結果を当てにするといったニュアンスがあるんですね。行動するのは主に自分以外の人なので、人頼みで受動的な印象を受けます。
期待するだけ無駄な理由:期待は苦しみを生み出す
現代では「好きなことで生活しよう」などの価値観の変化があり、「全世界で大絶賛のアメリカ映画」「人気の韓国アイドル」といった最高水準の作品やパフォーマンスがいつでも見れるようになりました。現代は様々な物事への期待が高まりつつあり、求められる水準も上がっています。つまり、高い期待が「当たり前」になっています。
この「当たり前」となった理想と現実との大きなギャップが苦しみを生み出します。しかも、期待がもたらす結果は他人に依存するため、自分ではコントロールできません。
自分が思い描いた理想と現状を比べて、「こんなはずじゃなかった」と感じてしまうんですね。過剰な期待は苦しみを自ら作り出しているのと一緒です。
過度な期待を寄せたり、それに応えようと必死になるのはやめましょう。他人や他者からの評価は自分の思い通りにならないですし、すべての人の要求には応えられません。
期待で苦しむ3つの主な要因
期待で苦しむ3つの要因を紹介します。これらは生活に密接しており、高い期待を持ちやすくなっています。
- 人間関係:他人に期待すると、イライラしたり、落ち込んだりします。「あの人は自分を好きではないのか」「なぜこんな簡単なことができないのか」と人間関係を悪くし、減点主義で相手を評価するようになります。そのうち、他人の欠点ばかりが目につくようになります。
- 仕事:仕事に対する過度な期待を持っていると現実のギャップを強く感じられて、バーンアウトしやすくなります。「綺麗なオフィスで和気あいあいとした職場」「自分の好きなことでやりがいのある業務」を当たり前だと思っていると仕事が苦痛になります。
- 自分:お金持ち・有能・モテるといった理想の自分をそうあるべきものと思い込むと精神的にツラくなります。自分には足りないものがあると強く認識して自信がなくなり、完璧ではない今の自分をネガティブに捉えるようになります。
特に人間関係については、やってくれて当たり前と思い込みやすく、対人問題やコミュニケーションに支障が出るので注意しましょう。他人への期待値が高い方は、意識して直してください。
何も期待しない3つのメリット
期待は高くても低くても、ネガティブな結果をもたらします。
大きな期待を持っていると実際とのギャップに失望しやすくなりますし、期待が小さいとネガティブな先入観に囚われてしまいます。期待しないというのは期待を極限まで小さくするという意味ではありません。期待を大小問わずに手放すことです。
何も期待しない3つのメリットを紹介します。
- 喜びが増える:期待をしないことで物事の体験への喜びが増えます。オハイオ州立大学の研究では、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の映画を見る前に期待度を調べたところ、期待値が高くても低くても鑑賞後の喜びが減ったことが明らかになっています。期待せずに映画を楽しんだほうがいいということですね。
- 高いパフォーマンスを発揮できる:他人の顔色を気にする人は認知能力が下がり、仕事に悪影響を及ぼすことが研究で判明しています。これは仕事に費やすべき集中力を他人からの評価に向けなくなるために起きます。良い成績を出そうとすると短期的な視点になり、結果的に良いパフォーマンスを出せなくなります。
- ラクになる:他人や自分への期待を手放すだけでラクになります。期待せずにいると他者の言動に一喜一憂することが減り、他人からのプレッシャーが軽くなります。他者の期待に過度に応える傾向は完璧主義とも関連しており、メンタルに良くないことがオンタリオ大学らの研究で分かっています。
何事にも期待せずに、「実際にやってみないと分からない」というスタンスで望むといいでしょう。
有意義に生きるための3つの方法
期待で他者に依存するのではなく、アクションを起こしましょう。行動なら自分次第なので、工夫したり、やり方を変えたりできて、改善も思いのままにできます。
有意義に生きるための3つの方法を見ていきましょう。
・受容:物事に対して感情的に反応せずにありのままを受け入れましょう。ネガティブな感情に対して「なくなればいいのに」と抵抗するのではなく、受容することで不安感が減り、気分や人生の満足度が向上しやすいことがトロント大学の研究で示されています。嫌なことから目を逸らしたり、怒りを向けたりするのではなく、受け入れたほうが苦しみは少なくなります。
・感謝:何かを期待するのではなく、やってくれたこと、すでにあるものに感謝してみてください。感謝できない人はやってくれたこと、一緒にいてくれることを「当たり前」だと思っています。感謝をすると幸福度を上げたり、人間関係を良くしたりする効果があります。
・進歩:進歩は行動の大きなモチベーションとなります。目標を決めたら短期的な結果を気にせずに、1つずつ改善してスキルを高めていきましょう。やる気が一番高まるのは前進しているときだということがハーバード大学の研究で分かっています。些細なことでも良いので進歩を実感できる活動をしてみてください。
他人を変えるよりも自分の考え方や行動を変えたほうが有意義に生きられます。社会で生き抜く力も向上させられます。
まとめ:期待するのでなく、希望を作り出す
期待は理想と現実のギャップを生み、自分を苦しめます。期待は動く必要がないのでラクですが、自分が成長する機会が失われます。その結果、他人任せの人生になってしまい、己の力で決断できなくなります。
期待するのではなく、行動を起こしましょう。行動の積み重ねによってのみ、自らの意志で人生を変えられます。大事、楽しいと思える活動を日常に増やすことで、気分を改善するという研究もあります。
相手にどうしても期待してしまう、行動にがっかりするという方は「瞑想」が役に立ちます。以下の記事で瞑想について紹介していますので、ご覧ください。他にも、望む行動を継続するテクニックの環境デザイン、習慣も案内しています。
期待を手放すと行き急いだり、イライラしたりこともしなくなるので、以前よりものんびりと過ごせますし、日常が楽しく感じられます。私は理想の自分を手放すことで生きるのが大分ラクになりました。