「瞑想って何をしたらいいの」
「瞑想は種類が多すぎてよく分からない」
このような悩みを解決します。
瞑想というと何となくスピリチュアルなイメージがありますが、科学研究で集中力の向上、不安やうつに効果的なことが分かっています。その他にも、精神的な健康度が改善されたり、セルフコントロール能力が上がったりと様々な効果があり、Googleやマッキンゼーなどの企業でも瞑想のプログラムを社内に取り入れているほどです。
今回は、「初心者でも分かる瞑想のメリット、実践法」を紹介します。瞑想は注意力のトレーニングで、大別すると集中瞑想、観察瞑想の2つに分かれます。この2つの瞑想の違い、実践法を分かりやすく説明します。
瞑想によって、注意力をコントロールできるようになるので、ネガティブな思考を止めたり、仕事や好きなことに集中したりできます。注意を向ける対象を意識的に選べることは、人生の万能スキルといっても過言ではありません。
それでは、瞑想について解説していきます。
なぜ瞑想は役立つのか
筋力トレーニングで筋肉が鍛えられるように、瞑想は注意力のトレーニングで脳を鍛えることができます。瞑想を続ければ続けるほど、意識のコントロールが上手くなるので、何に集中するか、何に集中しないかを選べるようになります。
物事への意識のオン・オフが自分の意志でできるようになれば、仕事や私生活で役立ちます。昨日のパートナーとの喧嘩を引きずらずに仕事に専念する、未来の不安を考えずに目の前の楽しい体験を心から味わう、といったことができるようになるんですね。仕事の生産性が上がるだけでなく、自分の思考や感情と上手く付き合うようにできるので、人生の満足度や幸福の向上にもつながります。
瞑想をすると、マインドフルネスになりやすくなります。マインドフルネスは今この瞬間に集中している状態で、近年、ビジネスで注目されています。それもそのはずで、マインドフルネス傾向が高い人ほど仕事のパフォーマンスが高く、ストレスや感情的な疲労が少ない、というような効果も確認されています。
人生は一瞬一瞬の注意の積み重ねです。悩むことに人生の大半をささげるのか、自分のしたいことに人生をささげるのかは自分の注意力の高さに関係しています。注意をコントロールできるようになるということは、人生をコントロールすることにもつながります。
瞑想の3つのメリット
瞑想は科学研究により、様々なメリットが確認されています。
面白いのが脳そのものを変える効果で、思考や推論などを司る脳の大脳皮質の厚さの増大、記憶を司る海馬、後帯状皮質、小脳の灰白質の密度増加といった、脳の部位量を増やすことができるんですね。しかも、自分に関するネガティブな思考を生み出すDMNの活動量を低下させるという、脳の神経ネットワークの活動も変えてくれるんですね。
瞑想は脳の構造、神経ネットワークに好ましい変化をもたらします。
主要な3つのメリットを挙げます。
- 注意力を高める:瞑想は呼吸に集中したり、思考に飲み込まれずに観察したりするので注意力を鍛えることができます。数々の研究で瞑想で注意力が向上したと確認されています。注意のスポットライトを自分の望むように調整できるんですね。
- 心配事や不安を減らす:瞑想で何に意識を集中するかをコントロールしやすくなるため、心配事や不安に悩まされることが減ります。ボストン大学の研究では瞑想で不安やうつが減少したということが明らかになっています。
- 幸福度を上げる:瞑想をする人は目の前のことに集中できるので、幸福度が上がります。イェール大学らの研究では、瞑想で「上の空」になることが少なくなり、幸福度が高くなることが分かっています。誰かと遊んでいても何か別のことを考えていたら、楽しめないのは当然ですよね。
瞑想で目の前のことに集中できるし、ネガティブな思考などに囚われにくくなるのが主な効果ですね。瞑想はより良い人生にするためのトレーニングとなります。
瞑想にはモチベーションが上がる、自分の意図した行動を取りやすくなるなどの効果もありますので、ぜひ日常で実践してみましょう。
2種類の瞑想
瞑想には多くの種類がありますが、基本的には以下の2つに集約されます。
- 集中瞑想
- 観察瞑想
集中瞑想はひとつの物事に集中するトレーニング、観察瞑想は自らの思考を観察して切り離すトレーニングです。どちらの瞑想もネガティブな感情や思考への対処として有効です。
瞑想するにあたっては集中瞑想から初めて、徐々に観察瞑想をするとやりやすいですよ。それぞれ説明していきますね。
1、集中瞑想
集中瞑想は1つのものに意識を集中する瞑想です。集中するものを決めて、意識が他のことに逸れたら、再び意識を戻すということを繰り返して、集中力を鍛えます。
集中の対象は何でもよく、呼吸、歩行、会話などに意識を向けるだけでも瞑想になります。もちろん、仕事でも使えますので、日常生活のほとんどが集中瞑想の修練になります。
呼吸がシンプルで一番実践しやすいため、ここでは呼吸瞑想のやり方を紹介します。
- リラックスした姿勢で座り、目を閉じる
- 呼吸をしているときに鼻の鼻腔内に空気が行き来する感覚に意識を向ける
- 呼吸から他のことに意識が逸れたら、呼吸に再び意識を戻す
※鼻腔内のふちあたりに意識を集中するとやりやすいです。
基本的な型を紹介しましたが、意識を一点に向けるというトレーニングなので目を開けたり、姿勢を変えたりしても問題ありません。呼吸瞑想はどこでも実践できて、自然と深呼吸になり、リラックス、ストレス解消効果もあるので相性が良い組み合わせなんですね。
集中瞑想は余計な思考をシャットダウンして、目の前のことに集中できるようになります。特に勉強・学習をしている方、仕事の生産性を上げたい方におすすめです。
2、観察瞑想
観察瞑想は思考を観察して自分から切り離す瞑想です。人の脳内は自動的に思考が思い浮かんでくるようにできています。自動思考にのめり込むのではなく、観察して自分から切り離すことで脳が生み出す思考に気づくという観察力を鍛えることができます。観察力が高いとネガティブな考えに囚われていることに素早く気づくことができ、思考と距離を取ることができるので心理的な負担を軽減することができます。
観察瞑想のやり方は次のとおりです。
- リラックスした姿勢で座り、目を閉じる
- どの対象にも集中せずに意識がさまようままに任せる
- 外の車の音が気になったら、「車の音に注意が向かった」と観察し、再び観察することに意識を戻す
集中瞑想との違いは何らかの対象物に集中せずに、浮かんでくる思考を観察し続けることですね。思考を観察すればいいので、皿洗いなどの簡単な作業をしながらでも実践できます。
観察瞑想はネガティブな思考にハマるのを防いでくれます。もし心配事や不安が出てきたとしても、「今、将来の不安について考えていたな」と客観的に捉えることができるのでネガティブな影響を最小限にすることができます。
瞑想のおすすめの実践法
集中瞑想、観察瞑想はそれぞれ日常のあらゆる場面で実践できます。具体的にどの場面で使うことが有効なのかを紹介していきます。
集中瞑想は1つのことに集中することなので、単純な活動でも複雑な活動でも行うことができます。呼吸などの単純な活動のほうが集中瞑想をしやすいため、集中瞑想をトレーニングする目的なら呼吸瞑想がおすすめです。仕事のタスクにも集中瞑想は向いています。
観察瞑想は意識をあまり必要としない単純な活動が向いています。散歩、単純な家事、お風呂に浸かるなどのほとんど意識を要しないときに思考を観察することができます。そのため、仕事などのせわしなく意識を働かせるような複雑な活動では思考を観察する余裕がありませんので、観察瞑想には向いていません。
以上のことを踏まえて、集中瞑想、観察瞑想のおすすめの実践法を紹介します。私も日常的に使っている手法で瞑想以外の嬉しい効果もありますよ。
- タスク間の休息:目を閉じて呼吸瞑想(集中瞑想)をし、徐々に観察瞑想に移っていきます。休息を取ることで学習や運動のパフォーマンスが上がることが知られており、目を閉じることで記憶力がアップしたという研究もあります。休憩中にスマホを使うと、疲労感が増えるという報告もあるので、スマホ利用を防げるのも大きいですね。
- お風呂、サウナ瞑想:お風呂の心地よいお湯、サウナの熱さを身体の感覚で味わった後、観察瞑想をしていきます。快適な温度のお風呂、サウナの外気浴では副交感神経が優位になるので、深くリラックスすることができます。特にサウナは心拍数を上げることができるので運動と同じような効果を得ることができ、心臓や血流の改善につながるというデータもあります。
- 思考を止める:「面倒くさい」「起きたくない」というように考えて物事に取りかかれないときは、集中瞑想で思考をシャットダウンしてやるべきタスクに集中します。暇なときにネガティブな思考が浮かんできたら、観察瞑想で思考をありのままに見つめるだけで自分から切り離して穏やかに過ごすことができます。
この中でも誰にでも手軽なものは、タスク間の休息に瞑想を取り入れることですね。人は、休憩中に頭や体を使って学んだことを脳に定着させています。瞑想の練習にもなり、タスクへの能力向上が見込めるので一石二鳥ですね。
まとめ:瞑想は現代最強のライフハックであり、生き方
瞑想は「脳のトレーニング」です。
瞑想で脳を鍛えるほど、自分の望む対象に注意を向ける能力、ネガティブな思考に囚われなくなる力、自分を客観的に観察する能力(メタ認知力)が身に付くようになります。これらのスキルを身に付ければ、圧倒的に生きやすくなります。
現代はスマホ、SNS、最新テクノロジーの影響で自分に過度に注意が向いている「自己注目」の状態になりやすく、ひたすら見た目を良くする、人々の注目を集める、経済上の成功を追いかけるといった極端な考え方や行動をしがちです。もちろん、これらだけをひたすら追い求めても幸せになることはできません。
瞑想は生き方に鋭い洞察を与えてくれます。禅の世界では、自我(欲望や執着)を手放し、今この瞬間を生きることの大切さを説いています。思考を遮断して目の前のことに集中する集中瞑想、思考をただ観察するという観察瞑想はいずれも自己注目やネガティブな思考と距離を置く修練になります。学習や運動と同じように、瞑想も日常的に実践することが大切です。
私は昔から瞑想やマインドフルネスの存在は知っていたのですが、スピリチュアルなだけでやるだけ無駄だと考えていました。しかし、瞑想やマインドフルネスに関する知識を科学論文や本で深めていくうちに、むしろ瞑想は頭脳を最大の武器とする人間に最も必要なツールであると思うようになりました。瞑想は注意力をコントロールするという、脳を上手く使いこなすトレーニングになるからです。
個人的な実感としては、瞑想でネガティブな思考に悩ませることがほとんどなくなりましたし、集中力も以前よりも段違いに向上しました。食事、運動、睡眠の他に人生を変えるテクニックは何か?と聞かれたら、「瞑想」と答えます。