「お金持ちになりたいけど、成功できるか分からない…」と思っていませんか。実はお金持ちになるには、特別な才能は必要ありません。
経済を理解すれば、お金持ちになれる可能性がグッと高まります。資本主義社会で生きる我々にとって、経済学は必須の知識です。市場経済のお金、労働、商品やサービスなどの仕組みが分かれば、仕事選びやお金を得る方法などの決断における人生の指針となります。
「経済学でお金持ちになる方法」を『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編』から私見を交えて紹介します。この著者であるティモシー・テイラー先生はアメリカの経済学者でスタンフォード大学やミネソタ大学で講義したり、サンノゼ・マーキュリー紙のメディアのコラムを担当したりしている著名な方です。
経済学から得られる知識は、収入の増やし方、物価高やローンなどから家計を守る方法、政府の政策や経済の見通しなど日常に役立つことばかりです。この記事を読めば、経済学の基本、収入を上げる方法、お金持ちのなる方法を知ることができますよ。
経済学を理解するための4つの基本原則
経済学でお金持ちになるための4つの基本原則を紹介します。これを理解していると、日常生活でも役立ちますし、お金を増やすためのマインドを身に付けることができますよ。
①何事にもトレードオフの関係がある
ものごとには、一方を追求するともう一方を犠牲にしなければならないというトレードオフの関係があります。当たり前のように思えますが、意外にも忘れている方が多いです。
給料アップや昇進を目指すために仕事時間を増やせば、家族や趣味などのプライベートの時間を削らなければいけません。ひたらすゴールを向かって進んでいると、自分が犠牲にしているものには目が向きにくいものです。お金を増やすことに躍起になって、人間関係をおろそかになって後悔するというのはよく聞く話ですよね。
メリットにはデメリットを、デメリットにはメリットを一度考えてみてください。間違ったゴールを目指さなくなりますし、耳障りの良い宣伝文句や都合のいい意見を誘導しようとする手法に騙されにくくなります。
②自己利益の追求が社会の利益になる
個人が社会利益ではなく、自己利益を追求することによって、経済が成り立っています。ほとんどの場合、自己利益を追求するほうが社会の利益を効率的に高められます。なぜなら、人は自らのために努力するときにこそ、最大の力を発揮するからです。
この考え方は、経済学の父と呼ばれるアダム・スミスが著書『国富論』で述べた「(神の)見えざる手」と呼ばれます。売り上げを伸ばすために作った製品が、多くの人の生活を便利にしたというような例は多く、インターネット、スマホなどがその典型です。
人々の利己心を無理矢理抑えつけるではなく、インセンティブなどを与えることで、各個人が自発的に努力するようになります。個人のやる気を世の中を動かす原動力として上手く方向づけができれば、社会がより大きな利益を得ることができます。
③人生は機会費用の積み重ねである
何かを選ぶことはその他のものを捨てることであり、選ばれなかったものの価値は経済学で「機会費用」と言われます。この価値はお金だけでなく、時間なども含まれています。
「1日をスマホゲームで無駄にした」と感じている人は時間を無駄にしただけでなく、本来であれば勉強や人との交流などで得られたものを失っています。経済学で時間を無駄にした場合のコストはゼロではなく、マイナスになります。
「機会費用」はあらゆる選択に適応されるため、特に時間の使い方には注意しましょう。
④価格を決めるのは生産者ではなく市場である
価格を決めるのは生産者のように思えますが、実は「市場の需要と供給」が決定します。
多くの利益を得るために大家が家賃を相場の2倍に設定しても、特別な事情がない限り、契約する人はいません。お金を儲けるためには、市場の適正な価格付近に設定するしかありません。
最初は価格は高くても、買い手が高価格で買い控えたり、売り手が儲けるために供給数を増やしたりするので、価格は安くなっていきます。このように価格はいずれ「需要と供給の均衡点」に落ち着くため、不動産バブルや特定食品の高騰などの一時的な物価の変動に惑わされるのではなく、長期的な視点で冷静に対応をしましょう。
消費者、供給者のいずれかの場合でも市場の「需要と供給」を考えたうえで消費、生産することが大切です。
商品、サービス、労働の価格は「希少性」で決まる
アメリカ、日本、西洋などの国では売り手や買い手が自由に商品を売買するという市場経済を採用しています。市場経済によって、商品の需要と供給がちょうどいいバランスになり、物やサービスとお金が効率的にやりとりされています。
価格は世の中の需要と供給のバランスで決まり、モノの価値は「使用価値」「希少価値」の2つで測られます。使用価値と希少価値の定義はそれぞれ以下のようになります。
- 使用価値:実用的な価値のことで、水や電気などの日常生活で役立つモノのことです。水は生命を維持するうえで必要なので使用価値は高いですが、ダイヤモンドは生命を維持するのに不必要なぜいたく品なので使用価値はほとんどありません。
- 希少価値:供給量に対して需要量が上回っていることで、人がモノを欲しがる量に比べて、提供される量が少ないと希少価値が上がります。水は有り余るほど供給されているので希少価値はほとんどありませんが、ダイヤモンドはわずかな量しか供給されていないので希少価値は非常に高くなっています。
使用価値が高いものは豊富に供給されるため、基本的に価格を決めるのは希少価値になります。商品やサービス、労働力を高く売りたいなら、需要があって希少性が高いものを提供しましょう。ただし、高く売れるものは市場への参入者が多くなるため、差別化できる要因がないとすぐに模倣されるという点に注意です。
独占寄りの市場は提供者に優しい
市場の競争形態は完全競争と独占の間のどこかに位置づけられます。完全競争と独占の間のどこに位置するかによって、競争度、価格決定権が左右されます。
消費者、供給者はどの市場で売買するかによって、安くものを買ったり、高くものを売ったりできます。供給者は商品を売る人や企業を思い浮かべがちですが、商品やサービス、労働を提供する人なので、働く人も供給者です。お金持ちになるには、自分にとって有利な市場でポジションを取りましょう。
完全競争と独占の特徴は以下のとおりになります。
- 完全競争:完全競争の特徴は、市場の価格をそのまま受け入れるという価格受容性があることです。完全競争の製品は数ある選択肢の1つにすぎないので、製品の価格が20%上がったとしたら、消費者はそれを買うのをやめて、似たような低価格の製品に移っていきます。そのため、完全競争において、企業などの供給者は市場の価格を受け入れるしかなく、製品の価格が生産費用にギリギリまで近くなり、低い利益率になります。衣服、農作物、外食などの製造が簡単で差別化ができていないモノは安い価格になります。
- 独占:独占は、1つの売り手が市場の売り上げのほとんどを占めている状態です。独占は他の供給者が市場に入り込めないか、消費者がどうしてもその売り手から製品を欲しいという場合に分けられます。独占していると、売り手は製品の価格を上げても、消費者はほとんど離れることがないため、十分な利益を得ることができます。新薬、トップレベルの専門性などは製造が難しく差別化できている製品は高い価格になります。
売り手の立場では、完全競争は激しい競争に晒されてしまいます。そのため、製品やサービス、個人のスキルの質を高めることで他のモノとの差別化を図って、独占寄りの市場を目指しましょう。消費者にとって有利なのが完全競争市場、供給者にとって有利なのが独占寄りの市場になります。
消費者では完全競争市場で安いモノを買い、供給者では独占寄りの市場で高いモノを売ることがお金持ちになる戦略と言えます。
お金持ちになるための3つのステップ
凡人でも大きな資産を作る方法は、金融資産に投資して複利で増やしていくことです。そのためには、早くからお金を貯めて投資するという戦略が極めて有効です。
お金持ちになるための3つのステップを紹介します。収入が低い人でも貯金さえできれば、お金持ちになることができますよ。
- 貯蓄:支出の無駄を最大限まで削って、できるだけ貯蓄に回しましょう。給料が上がったからといって生活水準は上げずに、本当に必要なものだけにお金を使いましょう。貯蓄するためには、①ミニマリズムを実践する(無駄をすべてカット)、②固定費を減らす(家賃、スマホ代、サブスクなど)、③一番安いものを選ぶ(日用品、食品など)といいでしょう。
- 預貯金:預金は、不動産や株式と違い、困ったときにすぐに現金として使えることが何よりも魅力的です。日常で必要な支出は預金で対応します。目安は生活費の3か月くらいで、生活に応じて100万円や150万円のように決めておくのがおすすめです。預金以外は株式投資に回すので、株式投資を現金に変えなくて済むような預金金額を持っておきましょう。
- 株式投資:世界的な大富豪のほとんどの資産は株式保有によるものです。お金持ちになるには、株式などの資本収益を長期で複利運用することが一番の近道です。米国株のリターンは平均で年率6.8%なので、仮に100万円をNISAの株式投資で運用すると、手取りとして毎月5666円を追加でもらっていることになります。さらに翌年100万円を投資すれば毎月11718円(106.8万円の運用益386円含む)の追加ですし、複利計算なので年数を経ると手取り金額は雪だるま式に増えます。株式に投資する理由は換金性が高く、会社を一部保有できるのでデフレとインフレに強い資産だからです。
お金持ちになる方法とは、生活費をできるだけ少なくし、預金は必要最小限にして、残りはすべて株式投資に回すという戦略です。貯蓄ではなく、ビジネスで大きな成功を収めたい方は、生産性の向上、新たな価値の創造を目指してみてください。
早ければ早いほど、株式投資の複利による効果を得られるので、すぐに始めましょう。
まとめ:経済を学ぶことはお金持ちへの第一歩
経済学を実践すると、お金を稼げるようになるだけでなく、社会にも貢献できます。経済成長による生産性の向上によって、今までよりも多くのモノが効率的に生み出されるので、社会全体が豊かになります。現代人のほとんどが利用している冷蔵庫、洗濯機、スマホ、飛行機などを200年前の人類が見たら、「魔法の道具」のように思うでしょう。
個人で稼ぐためには、貯蓄、所得の増加、株式投資の3点に取り組みましょう。所得を増やすために、労働市場の需要が高く、供給が少ない資格やスキルを身に付けることによって、独占寄りの市場にポジションを取って高い収入を狙うのもいいでしょう。最新のツールを使って、生産性の向上も同時に狙いましょう。
節約はせこせこしている、どこか不幸せそうというネガティブなイメージを抱いている方もいると思います。実は節約に取り組むことは自らを幸せにします。節約して幸福に生きるための方法は以下の記事をご覧ください。
私は資産を預金と株式投資の2つだけに絞っています。管理などの手間を考えると、この2つが一番楽で資産を増やしやすいんですよね。