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自然音は仕事と休憩の両方に使える!集中力アップ、リラックスに最適

2024年10月7日

自然音の効果は集中力やリラックス効果があることを以前に紹介しました。しかし、ここで「集中とリラックスって矛盾してないか?」と感じる読者も少なくないと思います。

そこで、自然音によって注意力とその後の回復効果の両方を調査した2023年の研究を紹介します。自然音による認知タスクへの影響、さらにその後の休息に役立つのかを調べてくれています。

研究の参加者は大学生26名(平均年齢21.5±1.9歳)で、赤外分光法(fNIRS)という近赤外光を用いて脳血流の変化を識別する装置を付けてもらい、認知テスト、休息をしてもらいます。認知テストの点数によって注意力と脳の血流量や心拍数などによって副交感神経の活性度を測定しています。自然音は川のせせらぎと鳥のさえずりを使い、都市の音(比較対象)は道路の交通音を使用しています。

詳しい実験の手順は以下の通り。

  1. 脳血流の変化を識別する装置を付けてもらう。
  2. 実験前の休息として、目を閉じて 1 分間休憩する。
  3. 自然音か都市の音を 1 分間聞きながら、注意テスト(ハリス&ハリスグリッド)をやる。 
  4. 目を閉じて、同じ音を 1 分間聞きながら休む。
  5. 主観的な心理的な評価(気分など)を記入する。
  6. 5分間の休憩の後、このプロセスを繰り返し、自然の音を聞いていた参加者は今度は都市の音を聞き、その逆も同様にした。

ハリス&ハリスグリッドとは、白い正方形に描かれた10 × 10のマス目に0から99までの数字がランダムに配置され、参加者は特定の数字を昇順に探して、できるだけ多くの数字を見つけるという注意力を測るテストです。一定時間内に見つかった数字が多いほど集中力が高いと評価されます。

それでは結果を見ていきましょう。

  • 注意テストの結果に有意差は見られなかったが、自然音を聞いた場合のスコアはわずかに高くなった
  • 自然音を聞いた場合、都市の音を聞いた場合よりも酸化ヘモグロビン濃度と心拍数が低く、副交感神経活動が優位になった。また、自然音を聞いたほうが、ただ休息するよりもリラックスしていた。
  • 参加者が自然の音を聞くと、都市の音を聞いた時よりも、よりリラックスして、緊張や不安、気分の沈み、怒り、疲労のネガティブな気分が減り、活力などのポジティブな気分が増えた。

自然の音を聞くことは、作業効率を高めるだけではなく、日常生活のストレスやネガティブな気分を軽減する可能性があるということですね。作業、休憩時にも川のせせらぎなどをBGMとして流しておけばいいので楽ですね。ちなみに、酸化ヘモグロビン濃度と心拍数が低くなるほど、リラックスしていると考えられます。

自然の効果については、『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方』を読むのがおすすめです。科学的な効果だけを紹介するのではなく、著者が自然を研究する科学者のもとで実験に参加した体験記もあるので読んでいて楽しいですよ。

個人的にはYouTubeなどで自然映像を見るのもおすすめです。デジタル画面の自然を見るだけでもストレスが減少するという研究があるので、視覚と聴覚の両方で癒しの効果を得られますよ。

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