最強の古代の記憶法「アボリジニ式記憶法」とは？

オーストラリアのアボリジニは5万年以上前から文字を使わずに厳しい生活環境に必要な情報を物語、歌、芸術、工芸品などで長い間伝承してきました。
しかし、これらの物語や歌がない場合、アボリジニが新しい情報を覚えるときは、アボリジニ式記憶法を使っています。

今回は、「アボリジニの記憶法って本当に効果あるの？」を調べた研究（R）を紹介します。

76名の医学生が対象で「記憶訓練なし」、「記憶の宮殿」、「アボリジニ式記憶法」の３つのグループにランダムに振り分け、記憶力テストを受けてもらいました。
記憶力テストの内容は、10分間で20種類の蝶の名前が書いてある単語リストを覚えるというものです。
１度目のテストは基準値を計測するために行い、２度目のテストはそれぞれの記憶法を教えた上で行い、その結果を比較しました。

記憶の宮殿は、
慣れ親しんだ場所に覚えたいものを配置して記憶する方法です。
具体的には、自分の部屋の机に覚えたいもの（例えば、リンゴなど）を配置して記憶します。複数個を記憶したい場合、場所は自宅全体を使って、玄関から入って、浴室、キッチン、リビング、寝室などを順番に巡り、各部屋にある特徴的な物（浴室だったら洗濯機）と覚えたいものを関連づけて覚えるというものです。場所は、あくまで精神上のイメージなので、はっきりとしたイメージが思い浮かべば、幼少期の家でも構いません。

アボリジニ式記憶法は、
実際に歩いた場所と覚えたいものをストーリー仕立てにして記憶する方法です。
実験では、実際にキャンパス内のロックガーデン（庭みたいなもの）を歩きます。その後、歩いたロックガーデンの様子を思い出してもらい、ロックガーデン内の特徴的な岩や植物などと蝶の名前を関連づけてストーリー仕立てにして覚えるというものです。実際に歩く必要がありますが、記憶の宮殿とやり方は似ていますね。

このテストの結果は、
・記憶法を教えた後の２度目のテストの結果では、すべての単語を完璧に思い出す人の数が、訓練なしは1.51倍、記憶の宮殿は2.03倍、アボリジニ式記憶法は2.82倍になった
・アボリジニ式記憶法についての学生の反応は、とても好意的で、機械的な暗記に比べて楽しく、幅広い分野に応用できて有用との意見が多かった

記憶の宮殿ではよく自宅の家、子供の頃の部屋などに覚えたいものを配置するように推奨されます。
今回の研究結果で見たように、アボリジニ式記憶法で実際に歩いたルートを使えるならば、様々な場面に応用できます。
例えば、学校、仕事先への道筋、好きな散歩ルートなどが使えます。
ただし、アボリジニ式記憶法でもルートを詳細に思い浮かべる必要があるので、慣れ親しんだ分かりやすい目印があるルートを選ぶと良いですね。

私は知識で必ず覚えておきたいものは、記憶の宮殿で覚えています。
みなさんもぜひ記憶の宮殿で覚えたいものを記憶してみてくださいね。

おすすめ本
・記憶に自信のなかった私が世界記憶力選手権で8回優勝した最強のテクニック
こちらはタイトル通りに素晴らしい記録を持った著者が記憶法と記憶力トレーニングを教えてくれます。
記憶トレーニングの演習もあるので、しっかり取り組めば、みんなよりも格上の記憶力が手に入りますよ。

・世界最強記憶術 場所法
日本のメモリースポーツで日本一になった著者が日本語に対応した記憶法を教えてくれています。
記憶力を上げるために、身近な日本語で記憶法を学びたいという方におすすめです。