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ダークチョコレートでネガティブな感情が減少する

2021年10月11日

人の腸内環境には、1000種の細菌からなる100兆個の細菌細胞が含まれています。
そして、人の体内には、人の細胞の10倍の細菌細胞が存在しています。
人の細胞の数よりも腸内の細菌の数のほうが多いとは驚きですよね。

それどころか、腸内環境は脳にまで影響を及ぼし、気分を変えることが分かっています。
うつ病患者の腸内細菌叢を移植した無菌マウスでは、うつ病に似た行動が見られました。
しかし、「健康な細菌叢」のマウスではうつ病に似た行動が見られなかったことから、腸内環境と気分との関連が示されています。

つまり、腸内環境を良くすれば、気分も改善されるということです。
そして、手頃で美味しい食べ物でも腸内環境を整えることができます。

今回は、「ダークチョコレートで気分が改善する!」という研究(R)を紹介します。

この研究では、2種類のダークチョコレート(カカオ分85%と70%)の効果を調べました。
20〜30歳の健康な成人48名を対象にしていまして、カカオ分85%のチョコレート群(n=18)、カカオ分70%のチョコレート群(n=16)、チョコレートを摂取しない群(n=14)のいずれかに無作為に割り当てました。

チョコレート群の参加者には、1回10gのチョコレートを1日3回、毎日同じ時間帯(7:00~9:00、12:00~14:00、17:00~19:00)に3週間わたって食べるように指示しました。
チョコレート無摂取群の参加者には、当たり前ですがチョコレートを支給しませんでした。

実験の前後には、腸内環境を分析し、ポジティブおよびネガティブな感情を測定しました。
また、体組成分析と食生活の評価もしました。

チョコレートの摂取が腸内環境にどのような影響を与え、どんな気分の変化を促すのかを調べた研究になっていますね。
カカオ含有量が2種類に分けられているので、カカオ含有量の違いによる効果も知ることできますね。

結果として、

  • カカオ分85%では負の感情が有意に減少したが、カカオ分70%では減少しなかった
  • カカオ分85%とチョコレートを食べないグループを比較したところ、腸内細菌の多様性はカカオ分85%グループが有意に高かった
  • カカオ85%ではチョコ食べないグループと比較して、腸内細菌の種レベルでの変化が見られた。つまり、チョコレートの摂取が腸内環境の組成変化に影響を及ぼした

となりました。
カカオ85%のチョコは健康効果が高いですね。
カカオ70%のチョコは砂糖が多めに入っていたりするので、納得ではありますが。

チョコレートだけで腸内環境の変化が見られたなんてすごいですね。
毎日の食事が腸内環境に与える影響は大きいので、食事内容はとても大切だと分かる研究です。

研究チームはこのように言っています。

本研究は、日常生活におけるダークチョコレートの摂取が、生理的および心理的な状態に影響を与えるという証拠を示した初めての研究です。 これらの結果は、ダークチョコレートが腸内細菌の多様性と構成を再構築することでプレバイオティクス効果を発揮し、腸脳軸を介してネガティブな気分を改善する可能性を示唆しています。

腸内環境は脳に影響を与えて、気分の状態を変えているんですね。
身体に良い食事を取ることが、結果的に気分も良くします。

カカオ分85%以上のダークチョコレートを毎日食べてみてくださいね。
腸内環境が良くなり、気分も良くなりますよ。

腸内環境を良くするためのおすすめ本
腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方
こちらの本は人間の腸内環境の仕組み、腸内環境を整える効果について、教えてくれます。
腸内環境を整える方法も学べるので、良好な腸内環境による抗炎症作用、不安やうつの軽減などの様々なメリットを受けられるようになりますよ。

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