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「多様性」が個人と組織に成功をもたらす!効果、高める方法を紹介

2021年12月12日

一人の力では限界を感じる
どうしても解決したい問題がある

このように感じている方におすすめの方法があります。

それは「多様性を高めること」です。

今回は「個人と組織に成功をもたらす多様性」を紹介します。

なぜ多様性が大事なのか?

現代社会の複雑な問題は、ほとんどすべてがチームで解決に当たっています。
なぜなら、個人で取り組むには問題が難しすぎるからです。
そこで集合知を活用する必要があります。

集合知とは、多数の人の知識を集めて体系化して、さらに高度な知性に発展させることをいいます。
1人の力で解決できない難題も、集合知を使うことで解決しているんですね。
Wikipediaなんかも辞書や百科事典を凌駕していますからね。

難解な問題解決の役に立つ高い集合知を得るために、多様性が重要な要素となります。
異なる考えを持つ多様性のある集団は、同じ考えを持つクローンのような集団よりも高い問題解決能力があります。

実際に多様性のメリットは実験で確認されていますので紹介します。
コロンビア・ビジネス・スクールの実験では、被験者を以下の個人、特定のグループに分け、複数の殺人事件を解決するという課題を与えました。

  1. 個人
  2. 4人の友人
  3. 友人3人とまったくの他人

個人、各グループには、証拠やアリバイ、目撃者の証言や容疑者のリストなどの資料が渡されました。
その正解率を測定した研究となります。

その結果は、

  1. 個人の正解率44%
  2. 4人の友人の正解率54%
  3. 友人3人と他人の正解率75%

趣味や思考が似ている友人よりもただの他人を入れて、多様性を高めたほうが正解率は高くなりました。
特筆すべきなのは、友人だけのグループの話し合いは回答に自信があり気持ちよく話し合いができたと感じていましたが、他人を含めたグループでは多様な議論で反対意見も多く出たため話し合いが大変だったと答えています。

また、友人だけのグループは盲点を指摘されることなく、それに気づく機会がありませんでした。
画一的な集団では自信を持ちながらも重大な過ちをしてしまいます。

集団の例を挙げましたが、個人でも多様性を高めることができます。
多様性を取り入れることで問題解決能力を向上させることができます。

多様性の効果

多様性は問題解決能力を高める以外にも様々な効果があります。

  • 有益なアイデアが出る
  • 問題解決の幅が広がる
  • 生産性が高まる
  • 多様な視点で盲点を見抜ける

一例を挙げますと、ノーベル賞を受賞した科学者とその他の科学者を比較したところ、ノーベル賞を受賞した科学者は、その他の科学者に比べて楽器を演奏する者が2倍多いことが分かっています。
さらに絵画や彫刻をする者は7倍、詩や戯曲、一般向けの本を執筆者は12倍、アマチュア演劇やダンス、マジックをする者は22倍多い結果となりました。
起業家や発明家を対象にした調査でも似たような結果が出ています。

多様性は問題解決力や生産性向上、有益なアイデアが出るなど現代でも必須といえる能力を伸ばせるんですね。

多様性を高めるために2つの必須要素

多様性を高める2つの必須要素を紹介します。

  1. 認知的多様性
  2. 能力

高い集合知を得るためにはこの2つの要素は両方とも必要です。
認知的多様性が高くても個人の能力がなければ駄目ですし、個人の能力が高くても認知的多様性がなければ集合知は得られません。

認知的多様性と能力はどちらとも必須です。
それぞれを詳しく説明しますね。

1、認知的多様性

多様性にもいくつかの種類があります。
性別、人種、年齢、信仰などの違いを表す人口統計学的多様性が一般的です。
高い集合知を得るためには、視点や考え方が異なっている「認知的多様性」を高めることが重要になってきます。

人口統計学的多様性が高いと認知的多様性が高くなります。
しかし、人種が違っても経済状況や住んでいる場所などの環境が同じだと、人口統計学的多様性はありますが、認知的多様性は低いということになります。

純粋な日本人でもアメリカ人の家庭で育ち、アメリカの学校に通っていれば、認知的にはアメリカ人と変わりありません。
異なった視点や考え方を持つためには、性別や人種、年齢だけでなく、多様な経験、背景、学習分野が欠かせません。

認知的多様性が高いと複雑な問題に対して、様々な視点で解決策を考えることができます。
1人では気づかないようなアイデアも異なるバックグラウンドを持った人にとっては当たり前だったりするわけです。

注意点としては、解決したい問題に関連する認知的多様性が必要なことです。
ひも理論の解明にプロ野球選手、マラソン選手を集めても高い集合知は得られません。

集合知を得るために問題に関連する認知的多様性を取り入れましょう。

2、能力

高い集合知を得るためには、各個人の高い能力が必要です。
能力とは、知識、判断力、分析力、想像力、コミュニケーション力、セルフコントロール力などを指します。

能力は幅広いので、自分が解決・達成したいことに必要な能力を身につけることが重要です。
個人の能力として認知的多様性を高めることも可能で、幅の広い知識を学んだり、様々な経験を積んだりすることで多角的な視点と思考力を鍛えられます。

個人の能力を最大限に高めることで、さらなる高みの集合知を目指しましょう。

個人で多様性を高めるための実践法

個人で多様性を高めるための方法を紹介します。
どれか1つでもいいので、できるものから実践してみてください。

1、知識の幅を広げる

1 つ目は知識の幅を広げることです。
新しい挑戦を日常的にするようにしましょう。

新しい挑戦をすることで、自分の好みや適正の把握、問題解決能力の向上などの効果を享受できます。

新しい挑戦は散歩ルートを少し変える、外食で新しいメニューを頼むなどの小さなことでもOKです。
おすすめなのは、新しい体験をする、様々なジャンルの本を読む、生活習慣を改善することですね。

新しい挑戦をすることで、自分の中の多様性を高めることができます。

2、バイアスを取り除く

バイアスは、自分では気づかないうちに持っている不合理な思考や判断のことです。
先入観や偏見に近い意味になりますね。

歪んだ思考や考え方は自分のチャンスを潰すだけでなく、他人のチャンスまでも潰しかねません。
採用面接や人事評価において、相手の能力を性別や人種などに囚われて誤って判断するなど多様性を無意識に排除することもあります。

バイアスは無意識に発生するために防ぐのが難しいですが、様々なバイアスを学ぶ、if-thenプランニングで事前に計画を立てることで対策できます。
バイアスは色々な本が出版されているので、好きなのを選ぶといいですね。

バイアスを対策して、多様性を高めましょう。

3、社会的交流に多様性を持たせる

交流する人に多様性を持たせましょう。
似た者同士だけで付き合うのではなく、多様性を意識した付き合いをしましょう。

いつも同年代や同じ職場の人と交流しがちな人は、年上や年下、違う会社の人と交流して友達に幅を持たせることが肝心です。
異なった視点や考え方をする人と交流すると意見の違いなどがありますが、今までにない経験や知識に触れる機会が増えます。

スポーツ、筋トレ、歌、アート、読書、カメラなど自分の趣味を通じて、新しい人と交流するのもいいでしょう。
普段会話しない人にちょっと話しかけるだけでもいいですよ。

様々な人と交流することで、仲間の輪を広げて多様性を持たせることができます。

組織で多様性を高めるための実践法

組織で多様性を高めるための方法を紹介します。
個人の場合と同じで取り入れられそうだと思ったものから試してみましょう。

1、多様な人材の確保

認知的多様性を意識して、人材を確保しましょう。

アメリカの経済学者チャド・スパーバーの調査によると、司法、保健、金融の業務において、職員の人種的多様性が平均から1標準偏差上がると、生産性が25%以上高まるというデータ(R)があります。
職場に人材の多様性を取り入れることで高い集合知が得られるんですね。

先程も述べたように人間にはバイアスがあります。
過去の経験からこんな人材は役に立つと毎回同じような人を職場に配置すると、多様性がなくなります。
特定の先入観を排除して、多様性を高めましょう。

特定のバイアスに囚われずに、考えることが大切です。

2、心理的安全性を高める

「心理的安全性が高い環境」とは、他者の反応に怯えることなく、自分の考えや気持ちを安心して発言できる環境のことです。
言いたいことがあってもこの場で発言するとみんなから冷たくされるのではないかといった心配がない環境のことですね。

Googleは特定のチームが優秀な成績を出す要因を特定するため、社員を対象に大規模な調査をしました。
その結果、チームのパフォーマンスを高めていたのは心理的安全性であることが分かりました。
心理的安全性が高まることで多様な意見がやりとりされて、パフォーマンスを向上させることができるんですね。

心理的安全性を高める方法として、会議では地位の高いものは最後に発言する、無記名でアイデアを出して投票をする、若手が意見を述べる場を設ける、一対一でミーティングをするなどの方法があります。

心理的安全性を作るために、それぞれの組織で有効な手法で試行錯誤してみてくださいね。

3、ギバーを奨励する

ギバーを後押ししましょう。

人間の相互関係には、ギバー、マッチャー、テイカーがいます。
それぞれの意味は以下のとおりです。

  1. ギバー
    受け取るより多くを与えようとする人
  2. マッチャー
    与えることと受けとることのバランスをとろうとする人
  3. テイカー
    与えるより多くを受け取ろうとする人

ギバーは与える姿勢があるため、協力的でチームワークを高めます。
ギバーがいると知識が広く共有されるため、周囲にも良い影響が波及します。

人々は場面ごとにギバー、マッチャー、テイカーを使い分けています。
与えることを奨励する風土を作ることでギバーを増やすことができます。

与えることを奨励することで知識の多様性を高められます。

まとめ:現代で成功するには多様性が必須

人は集団の力を使うことで真価を発揮します。
1人だけの知識では解決できなくても、集団の知識なら解決できます。

現代ではインターネットで他人とつながることが容易になっています。
個人でもインターネットを通じて、他者から知識を得たり、力を借りたりすることで多様性をさらに高められます。

個人、組織でも新しいことに試行錯誤しながら挑戦することが大事です。
常に試行錯誤を続けられるようにプランニングしましょう。

個人や組織で多様性を高めてくださいね。
想像力、パフォーマンスが高まり、自らの力を劇的に伸ばすことができます。

多様性を高めるためのおすすめ本

多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
多様性の効果と実践法について、実例を交えて教えてくれます。
実例がCIA、Google、飛行機業界などイノベーション、大きなミスがないことを求められる組織で参考になります。
個人、組織問わずに多様性を高めて成長したい方におすすめの本です。

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる
こちらの本は、自分の能力の幅を広げることにより、仕事や趣味などの物事との相性を知り、どのようにしてパフォーマンスを高めるのかを教えてくれます。
フェデラー、ゴッホなどの世界的にも有名な人がどのような多様な経験をして、パフォーマンスを上げたのかを説明しているので、読み物としても面白い本となってます。
新しい挑戦をすることのメリットも詳しく説明してくれていますので、人生の目的がない、これから何かに挑戦したいという方におすすめですよ。

GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代
こちらの本はギバー(与える人)の強み、どのように与えると成功するのかを教えてくれます。
ギバーであると人間関係が無数に広がり、長期的に見ると成功に導く良い評判と人間関係を得ることができます。
周りに親切にしながら成功したい、与えることは損だと感じてしまう人に読んでほしい本です。

参考文献
・多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
・GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代
・無理なく限界を突破するための心理学 突破力

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