従業員のパフォーマンスを上げるために考えられるのが年収を上げたり、ボーナスを増やしたりする金銭的インセンティブが主流です。他にも社会的インセンティブとして、優秀な業績を収める、会社に貢献した社員を表彰する社員表彰式があります。
金銭的なインセンティブでモチベーションが上がることは想像できますが、社会インセンティブって効果があるのか考えたことはありませんか?賞状では何かを買うことすらできませんからね。
今回はそのような疑問を解消するため、「表彰するだけでもパフォーマンスが上がるのか?」を調べた研究を紹介します。
この研究の参加者は150名の学生で、約37ドルの報酬を渡す代わりに2時間のデータ入力をしてもらいました。これらの学生を平均9.4人のグループにして、
- 優れたパフォーマンスの人を表彰するグループ
- 表彰なしグループ
をランダムに分けています。
表彰式では上位2名を表彰し、データベースソフトに名前が表示され、代表が直接お祝いとお礼に伺うと説明しています。また、学生には賞自体に何の価値もないことを理解してもらうために、組織の署名入りお祝いカードを見せました。表彰の有無でデータ入力のパフォーマンスが上がるかどうかを調べているんですね。
学生には様々な団体の連絡先や代表者などの情報を検索してデータで入力し、手紙で寄付を募るという目的でデータ入力をしてもらうと伝えました。パフォーマンスはデータを多く入力できたか、寄付の目的に沿った貴重な情報(団体の代表者など)を集めたかという2点を考慮して点数を付けました。
その結果は、
- 表彰グループは、パフォーマンスが平均で約12%上がった
- 表彰は受賞の可能性が高い個人に対して特に強い効果があった
- 業績向上は品質に悪影響を及ぼさなかった
となりました。品質に影響しないというのはグッドですね。論文でも表彰が量と質のトレードオフのない効果的な手段となり得るを示すと述べられています。
研究者曰く、
全体として、我々の実験における象徴的な賞の効果の大きさは相当なものである。最近の実験では、賃金上昇に対する生産弾力性は0.16~0.38であると報告されている。したがって、研究で観察された約12%の業績向上は、32~75%の仮想的な賃金上昇の効果に相当する。
とのこと。表彰にも意外と効果があることに驚きでした。確かに社会的な地位を周囲に知らしめることができる効果的なステージとなりますもんね。
さらに、
本論文の目的は、地位や社会的認知だけでは、賞の存在によってエージェントの努力を増大させる強い動機付けになりうることを示すことである。この結果は、労働関係における象徴的報酬の重要性を裏付けるものであり、金銭的インセンティブよりも優れている場合がある。本論文の主な主張は、社会的認知が重要であり(ポジティブにもネガティブにも)、組織の代表はこれを考慮に入れたほうがいいというものだ。一方で、金銭的インセンティブが重要でない、ということではない。それどころか、社会的地位と金銭的側面は互いに強化しあい、最適なインセンティブは金銭的要素だけでなく社会的要素の組み合わせだと考えられる
と言っておられます。組織では昇給や表彰といったものを組み合わせることで個人のパフォーマンスやモチベーションが上げられることができそうですね。
個人でもお金だけでなく、社会的地位も意識すると、意欲が沸くかもしれませんね。私はいつか本を出版したいなぁ。
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