以前に基本的な記憶術「ストーリー法」を紹介しました。
今回の記憶テクニックは、世界記憶力選手権で主に使用される記憶術となっています。
最強の記憶テクニック「記憶の宮殿」を紹介します。
記憶の宮殿とは?
記憶の宮殿とは、事前に決めておいた『場所』に新たに覚えたいものを配置して覚える方法です。
記憶の宮殿は単語や数字など100個以上覚えることができ、上限はないと言われています。
記憶の宮殿は、記憶術の中でも汎用性が高く、単語、覚えたい知識、電話番号、買い物リスト、スピーチなどに使うことができます。
日常生活ではストーリー法、記憶の宮殿の2つの記憶術を使うだけで困ることはないでしょう。
記憶の宮殿のやり方
記憶の宮殿の方法は 次の3ステップから成ります。
ステップ1:コース、ポイントを作る
ステップ2:ポイントに覚えたいものを配置する
ステップ3:コースのポイントを順番にたどって、配置したものを想起する
それでは各ステップを具体的に見ていきましょう。
ステップ1:コース、ポイントを作る
初めにコース、ポイントを作りましょう。
新しいコースを作成するときは、ポイントを思い出しやすいように、自分がよく知っているコースを設定しましょう。
最初は、自宅、学校、職場、好きな散歩ルートなどをコースに選ぶといいでしょう。
今回は自宅をコースにします。
コースを「自宅」、ポイントを「玄関、リビング、キッチン」に設定してみます。
ポイントはいつも巡る道順か、上空から見て時計回りに巡るのがおすすめです。
コースとポイントは覚えたい数に合わせて増やしていくといいですよ。
ステップ2:ポイントに覚えたいものを配置する
次にポイントに覚えたいものを配置します。
覚えたいものは、雪だるま、パイロット、ほうれん草とします。
自宅の玄関、リビング、キッチンにある特徴的なものに覚えたいものを配置します。
私の実家には玄関マットの隅に大きな観葉植物があります。
なので、観葉植物と雪だるまが合体しているイメージを作ります。
あとは同じようにそれぞれのポイントに覚えたいものを置いていくだけです。
リビングには木製のダイニングテーブルと椅子が置いてあるので、パイロットが椅子に座って談笑しているところをイメージします。
キッチンのシンクには、ほうれん草が山のように積まれているというイメージを作成します。
これで下準備は整いました。
ステップ3:コースのポイントを順番にたどって、配置したものを想起する
最後に順番通りにコースを回って配置したイメージを想起するだけです。
自宅の玄関に入ると、目の前には大きな観葉植物と雪だるまがあります。
リビングに歩いていくと、パイロットが楽しそうにお喋りをしています。
キッチンに行くとたくさんのほうれん草が積まれています。
このように脳内でコースを巡って、覚えたいものを取り出しましょう。
覚えたいものを増やしたいときは、ポイントを増やしたり、1つのポイントにストーリー法で2つ配置するなどの方法があります。
イメージや想起のプロセスでは目を瞑ったままでも開けたままでもどちらでもいいですよ。
慣れてくると歩いて移動していたのが瞬間移動できるようになります笑。
記憶の宮殿の効果を上げるテクニックも併せて紹介しておきます。
記憶の宮殿の効果を上げる6つのテクニック
1、自分の好きなコース、ポイントにする
自分の好きなコースを設定してみましょう。
好きなコースを巡ると楽しい気持ちになれるので、記憶の宮殿をより使うようになります。
記憶の宮殿を使ってコース中のポイントにポジティブな体験を配置して巡ると、メンタルが改善します。
メンタルが落ち込んだときにも使えますよ。
2、コース、ポイントをよく知っている場所にする
コースは自分がよく知っている場所にしましょう。
あまり知らない場所だとそもそものコースを忘れるという事態になってしまいます。
しかし、コース自体の現在の状況を正確にイメージする必要はなく、あくまで自分がイメージ作りに迷わないようなものにしてくださいね。
3、同じようなコース、ポイントを使わない
同じようなコース、ポイントは使わないほうがいいです。
例えば、散歩道のコースにある曲がり角をポイントにしておくと、通勤経路のコースにある曲がり角のポイントと混同する可能性があります。
ポイントの特徴が異なっているものを選んで、似たようなコース、ポイントは使わないようにしましょう。
4、バラエティに富んだコースにする
バラエティがあるコースだと、想起時にコースを辿りやすいです。
一つのコース内でも同じような景色や場面が続くコースよりも、景色や場面にバラエティがあるコースのほうが印象に残ります。
バラエティがあるコースだと、自分がコースのどのポイントにいるのか、次のポイントはどこなのかを認識しやすくなりますよ。
日本のメモリースポーツチャンピオンは東京ディズニーリゾートをコースに使っており、100以上のポイントを置いています。
ディズニーなら場所ごとにそれぞれの特徴がありますので、コースにはうってつけですね。
5、印象に残るイメージにする
ポイントに配置するイメージを印象に残るものにしましょう。
おすすめなのは、イメージに動きをつける、イメージを多くするか大きくすることです。
イメージに面白い動きを加えたり、イメージをあり得ないほど大きくしたりしてみてください。
人は感情が動かされた出来事はよく覚えています。
過去の悲しい出来事、心が温まるような経験などです。
驚いた、楽しい、嬉しいなどの感情が動かされるようなイメージにするとさらに覚えたいものを記憶することができます。
6、第一人称で巡る
コース、ポイントは自分の視点で巡りましょう。
覚えたいもののイメージを感情、五感をフル活用して覚えることができますし、自分の動きを加えることで退屈することなくコースを巡ることができます。
イメージに対して、自分の視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を働かせてみてください。
そのイメージを深く掘り下げて、どんな見た目なのか、何か音は出してないか、匂いはしてこないか、触るとどんな感触なのか、食べるとどんな味がするのかなど詳細にイメージすることで覚えやすくなります。
コースを巡るときに、ただ歩くだけでなく、扉を開け閉めしたりする動きを加えようにすると、退屈感が減り、コースとポイントを多種多様なものに設定できますよ。
まとめ:記憶術は仕事、実生活にも活用できる
ストーリー法、記憶の宮殿などの記憶術は実生活でも使えます。
現代では、紙、スマホ、パソコンなどに簡単にメモしていつでも見返すことができます。
それなら記憶術はいらないのでは?という疑問が出てきます。
しかし、人はすべての判断を紙やデジタル機器でのメモ、すなわち外部メモリに依存しているわけではありません。
むしろ、ほとんどは人間の内部メモリを使って、瞬時に判断をしています。
判断するたびにいちいちメモを見るとすると、時間がいくらあっても足りませんし、非効率です。
人からすべての記憶を奪ったら、仕事をすることはもちろん、生活することも困難になるでしょう。
それだけ、記憶力は人が生きるために必要な基本的能力と言えるでしょう。
記憶力を鍛えると、脳内から大量の情報を自由に取り出せるので、アイデアがよく思い浮かぶようになりますし、仕事も速くなります。
自分の脳にこんな力があったんだと驚くことも多く、もっと工夫して覚えられないかなと試行錯誤してさらに記憶力を鍛えるという良いループも生まれます。
記憶の宮殿を実生活、仕事で使ってみてくださいね。
創造性が上がり、タスクを効率的にできるようになりますよ。
参考文献&記憶術のおすすめ本
・記憶に自信のなかった私が世界記憶力選手権で8回優勝した最強のテクニック
こちらの著者は、世界選手権で8回優勝するという素晴らしい記録を持っており、様々な記憶法と記憶力トレーニングを教えてくれます。
世界チャンピオンがどのように日々記憶力を鍛えているのかも紹介しています。
記憶トレーニングの演習もあるので、この本で取り組めば、信じられないほどの記憶力が手に入りますよ。
同時に記憶力競技(メモリースポーツ)の奥深さ、楽しさを知ることもできます。
・世界最強記憶術 場所法
日本のメモリースポーツで日本一になった著者が日本語に対応した記憶法を教えてくれています。
記憶力を上げるために、身近な日本語で記憶法を学びたいという方におすすめです。
記憶術を使うことで、実生活や仕事にどう役立つのかを分かりやすく教えてくれますよ。