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人は心ここにあらずの状態になりやすく、幸福度を下げてしまう原因にもなる

2021年11月10日

人間は、他の動物とは異なり、未来や過去の出来事を考えることに多くの時間を費やしています。
今している活動に集中せずに別のことを考えてしまうことを「マインドワンダリング」といい、別名「心ここにあらずの状態」、「心の迷走」と呼ばれます。

宗教的伝統では幸せはその瞬間を生きることによって得られると教えるものがあり、修行者は心を迷いの状態にするのではなく、「今、ここにいる」ように訓練されています。
修行者にとっては、日々の掃除なども心を整える修行の一環となっています。

確かにお坊さんは丁寧に掃除しているイメージがありますね。
そうなると、今この瞬間を生きることは幸福につながるのか?という疑問が出てくるわけです。
日常生活におけるマインドワンダリングによる幸福度の影響はほとんど分かっていないんですね。

今回紹介する研究(R)では、「マインドワンダリングは幸福度を下げるのか?」を調べてくれています。

この研究では対象者に対して、ランダムな時間にiPhoneのアプリで幸福度や心の迷いに関する質問を投げかけて、その回答を調べたものとなっています。
対象者は成人2250人(男性58.8%、平均年齢34歳)となっています。

具体的な質問事項としては、

  • 幸福度に関する質問
    「今の気分は?」という質問には幸福度を0から100の範囲の中から選んで回答
  • 現在の活動に関する質問
    「今何をしていますか?」
  • マインドワンダリングに関する質問
    「今やっていること以外のことを考えていますか?」という質問には「いいえ」、「はい、楽しいこと」、「はい、中立のこと」、「はい、不快なこと」という4つの選択肢の中から1つを選んで答えてもらいました。

アプリを使って幸福度とマインドワンダリングを調べるというのは、日常生活における幸福度と心の迷いの関係が分かっていいんじゃないでしょうか。
対象者は2250人と大規模なものとなっており、さらに良いですね。

その結果は、

  • 46.9%の人々の間でマインドワンダリングが発生しており、性行為を除くすべての行動中に少なくとも30%の人々の間でマインドワンダリングが発生していた。
  • 心の迷いがあるときは、心の迷いがないときよりも幸福度が低いことが明らかになった
  • 楽しいことよりも現在の活動のことを考えているときのほうが、有意でないが幸福度が高かった
  • 中立的なことや不快なことは、現在の活動について考えているときより幸福度がかなり不がった
  • 「何の活動をしているか」よりも「何を考えているか」の方が、幸福度の予測因子として優れていた

かなりの確率でマインドワンダリングが起きていますね。
現在の活動に集中しているほうが幸福度は高いということは、お坊さんの修行は効果があると言えそうですね。
いくら楽しい活動をしていても、マインドワンダリングの状態でいると幸福度が下がってしまうというのは恐ろしいですね。

研究チームいわく、

結論から言うと、人間の心は放浪の心であり、放浪の心は不幸の心である。起きていないことを考える能力は、感情的な代償を伴う認知的な成果である。

今回の研究では、マインドワンダリングは、不幸の結果ではなく、一般的に原因であることを強く示唆していました。
マインドワンダリングが起こると幸福度が下がりますが、不幸になるとマインドワンダリングが起こるわけではなかったんですね。

マインドワンダリングの対策をすれば、幸福度が上がります。
そのため、現在に集中するマインドフルネスは有効です。

マインドワンダリング対策として、マインドフルネスを実践してみてくださいね。
心の迷いが減り、人生を有意義に使えますよ。

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