知的謙遜という言葉を知っていますか?
知的謙遜はGoogleなどの企業も重視する能力で、知的謙遜とは自分の知っている知識と知らない知識を理解しようとする姿勢のことです。
再考は、自分の考えや行動を考え直すことです。この定義から、再考は知的謙遜を行動に落とし込んだものと言うことができます。
現代は流行っては廃れていくのサイクルがとても早く、変化の激しい時代になっています。新しい変化に適応できないとすぐに周りに突き放されてしまいます。
目まぐるしく変化する加速の時代に必須なのが「再考する力」です。再考することで個人や組織に新しい思考や行動を促すことができるからです。
今回は、再考のメリット、3つの実践法を解説していきます。
私は再考する能力はトップレベルに重宝しています。自分自身を高める上でも再考は必要ですよ。
再考のメリット
成長スピードが早くなる
再考することで圧倒的に成長することができます。再考は意図的な練習と同じようなプロセスを経るからです。
意図的な練習はチェスのプロとアマチュアの差を決めることがフロリダ州立大学らの研究で分かっています。チェスの上手さは意図的な練習をどれだけこなしたかがポイントとなるんですね。意図的な練習とは、自らが上達できるように目標と行動を定めて練習することです。
再考では、現在の状況を見直して、現状よりも高い目標を掲げて、具体的な行動をします。現状よりも2kg痩せるために、夕食に食べるご飯の量を減らす、ヨガに週一通う、睡眠時間を8時間に増やすといった具合ですね。
人は新しい変化を受け入れられずに現状に甘んじてしまうという現状維持バイアスがありますが、再考でこのバイアスの影響を受けにくくなります。再考することで日常のあらゆる活動に成長を望めますよ。
知的謙虚さが身につく
再考には「自分が知らないことを知っている」という知的謙虚さが必要です。再考することで自分の知らないことを意識するようになり、知的謙虚さを高めることができます。
知的謙虚さというと生まれ持った性格のように思えますが、訓練することで習得できることがカルフォニア大学らの研究で明らかになっています。学生に自分の無知を自覚するメリットの記事を読んだもらったところ、苦手な分野で助けを求める確率が上がり、自分と異なる意見に耳を傾けて学ぼうするようになったとのこと。
知的謙虚さは学び続ける上でも大切となります。学業試験の点数を伸ばすためには解答を修正するかどうかを検討する姿勢が大事だとする研究もあります。確かに自分には十分な知識があると思いこんでしまうと学ぶ意欲がなくなってしまいますよね。
知的謙虚さを身に付けると、新しい知識を欲するようになります。
正しい判断・行動ができる
再考できる人は間違った知識を持っていたとしても、自分の知識に疑いを向けて、正しい知識に修正できます。自分の誤った考えや行動に固執しません。
ペンシルベニア大学らの研究によると、見解を頻繁に改めることは正しい予測をするのに重要な要素であるとのこと。選挙や経済などの予測を専門とする世界トップレベルのフォーキャスターは好奇心を忘れずに、自分の判断を客観的に見直して、考えをしきりに変えているのだそう。
さらにテストでは答えを考え直して修正すると点数が上がることがイリノイ大学らの研究で分かっています。学生が答えを修正した箇所を数えたところ、50%が誤りから正解で、25%が正解から誤りでした。テストで答えを修正したいと思ったら、答えを書き直したほうがいいということですね。
考え直す癖を身につけることで自分の悪い習慣に気づいて、変えやすくなります。未知のものや反対意見を頭から否定せずに受け入れやすくなるというメリットもあります。日常においても再考は役に立つんですね。
再考する力を高める3つの実践法
1、バイアスを知る
バイアスは無意識に再考させる力を奪います。バイアスは人が陥りやすい心理的傾向のことです。
無知の知は「無知であることを知っていることが重要である」という考え方で、知的謙虚さと似た概念です。バイアスを知ることで人が誤りがちなミスを見つけて対策できるんですね。
それでは主要なバイアスを紹介していきます。
- 早まった一般化:少ない事例から一般的な結論だと考えること。少しそっけなくされただけで自分のことが嫌いなんだ、元カレは信用できなかったから男はみんな信用できないと思い込む。
- 利用可能性バイアス:想起しやすいものをよくあると思い込むこと。物騒なニュースばかりだから世の中は悪くなっているなど。
- 確証バイアス:確証バイアスとは、自分の考えが正しいという証拠ばかりを探して、反対するものには目を向けないこと。ネットで自分が信じているものを証明する証拠だけを探すことが典型例。
利用可能性バイアス、確証バイアスについては、過去にも紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。
・利用可能性バイアスを知るだけでもミスや失敗を減らせる
・確証バイアスで合理的な判断ができなくなる
「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」などの認知バイアスを紹介している本を読んでもいいでしょう。
バイアスを知ることで、自分の誤りに気づいて再考するきっかけになります。
2、日記を書く
自分に起こった出来事や行動を振り返る機会を作りましょう。日記はフェードバックの役割を果たし、改良・改善すべきところが見えてきます。
スポーツ、仕事などのスキルを向上させるためにはフィードバックが不可欠です。実際、スポーツやチェス選手のパフォーマンスを大きく左右する意図的な練習はフィードバックが大切な要素として位置づけられています。フィードバックが欠けていると、具体的にどの部分を改善すればいいのかがわかりませんからね。
寝る前にGoogle カレンダーなどで一日の行動を振り返り、次に向けて改善するポイントを書いておきましょう。これだけでも日常の問題を解決する能力が向上していくはずです。
3、未知のものに触れる
自分の知らないことを学んだり、新しい体験をしたりしてみましょう。
知らないことを学ぶほど自分に知識がないことが分かり、さらに学ぶようになります。
ドイツの物理学者で「相対性理論」を提唱したことで有名なアルベルト・アインシュタインは次のような言葉を残しています。
学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる。
おすすめなのは読書、新しい体験を増やす、海外旅行などですね。ファッション業界の一流デザイナーを調査したところ、海外に長期間、滞在している人ほどよりクリエイティブな作品を生み出したという研究もありますよ。最もオリジナリティが高い人の作品は35年も海外勤務経験があったそうです。
いままで触れたことのないような考え方や文化を体験してみましょう。再考のきっかけになりますし、創造的な解決策が思いつくかもしれません。
まとめ:再考は思考や行動をアップデートさせる最高のツール
人は思った以上に自分の考えや行動を変えたがらないものです。そもそも変えるという発想自体がなかったり、深く考えずに続けていくうちに習慣になったりします。
再考する姿勢さえあれば、内省をして自らを変えるチャンスになります。再考し続けることで正しい答えに近づく可能性が上がりますよ。挑戦してみてくださいね。
個人的にはGoogle カレンダーで一日の行動を振り返って改善点や改良点を書いています。Google カレンダーで日記をつける方法は下記をご覧ください。
再考のおすすめ本
THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す
・THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す
「GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代」で有名なペンシルベニア大学の心理学者のアダム・グラント先生の本です。
再考する力を身につけるために、バイアスを打ち破り、どのように学び続ければいいのかを教えてくれます。
成長しつづけたい全ての人におすすめの本ですよ。
人はどこまで合理的か
・人はどこまで合理的か
こちらは合理的に考える手法を教えてくれます。
合理的な思考を妨げるバイアスも教えてくれるので、客観的で正しい情報を推論したい、伝えたいという方は読んでみるといいですよ。