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安全域のメリットは負けなくなること!その他の利点や実践法を解説

2022年9月6日

サイコロジー・オブ・マネー――一生お金に困らない「富」のマインドセット」を読んでいて、安全域(誤りの余地)という概念が非常に使えるぞ!と思いましたので紹介します。

投資家ベンジャミン・グレアムの提唱する概念で、安全域とは失敗してもいい余地を作ることです。安全域は誤りの余地とも呼ばれていまして、失敗を気にしなくてもいい状況を作ることで自分のリソースを他に向けることができます。

仕事などで「ミスしてたらどうしよう…」と考えることで、目の前のことに集中できずに、さらにミスをしてしまうといったことを防げるんですね。安全域を作るには、失敗しても立ち直れるように対策をしておくことが大切です。

サイコロジーオブマネーでは安全域のメリットをこのように述べています。

グレアムの「安全域」とは、目の前の世界を、黒か白か、予測可能か、偶然の産物かで捉える必要はないという単純な提案だ。グレーゾーン、つまりさまざまな結果が許容される範囲内で物事を進めることが、賢明な方法なのだ。

この安全域は様々な領域で応用できます。まずは安全域の多くのメリットから見ていきましょう。

安全域のメリット

不安が減る

安全域を設けることで不安が減ります。注意力が不安に向くことを防げるんですね。

ウォーリック大学らの2013年の研究では、お金の心配がIQを9~10ポイント下げることが明らかになっています。貧困への懸念が精神的なリソースを消費して、他の作業への割り当てが少なくなってしまうとのこと。

お金以外にも時間がないと感じていると判断を誤りやすくなるという研究があります。時間貧乏な人は理屈に合わない行動や短期的な思考に陥りやすいということが分かっています。

人は食べ物などの資源がないと生存の危機に直面するため、心配や不安が私達の考えや動きに大きな影響を持っているのでしょう。安全域を設けることで、心配や不安を軽減させることができます。

失敗を恐れなくなる

変化の激しい現代では未来の予測ができない中で生き抜かなければなりません。成功するには新しいことに挑戦することも必要でしょう。そこには失敗が伴います。

未知に対処する方法は、失敗してもまた挑戦できる余力を残すことです。投資家ベンジャミン・グレアムは「安全域を設ける目的は、予測を不要にすることである」と言っています。安全域を設けることは不確実な世の中で生き抜く効果的な方法です。

当たり前ですが、一回失敗したらやり直しが一切できない状況よりも何度も挑戦できるほうが試行回数が増えますよね。ミスしても他の選択肢があるほうが精神的な負担も軽くなります。

健康、お金は常に余力が残るように良好なコンディションを保つようにしましょう。安全域はただの守りの姿勢ではなく、安心して挑戦し続ける攻めの姿勢です。

持続できる

成功するためには、市場から退場しないことが大事です。卓越した能力を得るにはどの分野でも長い時間をかける必要があります。

仕事で働き過ぎるなどしてストレスが溜まると、燃え尽き症候群やうつなどに陥りやすくなります。全財産をギャンブルや投資、起業に回してしまって、お金がなくなることもあります。このように大きなリスクを取るとしばらく再起不能になる確率が上がってしまいます。

持続可能かという視点は自分に新たな考えを与えてくれます。一時的には成功しても、長い目で見ると失敗するような戦略は再考を迫られるからです。

安全域を作ることで途中退場しなければならない可能性を減らすことができます。市場から退場しない限りは勝機があります。逆に言えば、市場から退場した人にチャンスはありません。

着実に自分の能力を伸ばせる

安全域では失敗する余裕が持てるため、集中できる体制が整います。自分の抱えている不安要素が大したものではないと分かっているからこそ、物事に専念できるのですね。

トップレベルのスポーツ選手や専門家になるには、膨大な時間がかかります。スポーツ選手、音楽家、医者などの一流のパフォーマーを調べているフロリダ大学の心理学者のアンダース・エリクソン先生によると、「パフォーマンスは練習の量と質が大きな影響を及ぼす」と述べています。

IQと音楽的技能の相関は経験年数が増えるほど小さくなり、大学の音楽専攻の学生やプロの音楽家の間ではIQと技能には相関が見られなくなるという研究があります。プロ音楽家になるには生まれ持った才能よりも練習時間が大切ということですね。ただし、練習の質をおろそかにすると成長しなくなるので注意しましょう。

安全域を事前に決めておけば、1つのことに長期的に集中できます。卓越した成績を残すために、良好なコンディションで長期的に努力することが大事です。

安全域の作り方

安全域は様々な分野で適用できます。ここでは実生活で私が意識している安全域を紹介します。自分の安全域を作ってみてくださいね。

お金

お金の安全域を作りましょう。貯蓄は最低でも月収の3ヶ月以上が一般的に推奨されています。3ヶ月では不安な方はご自身の状況に応じて増やすといいでしょう。

貯蓄を増やすには支出を減らしましょう。かなり当たり前な結論ですが、それには理由があります。収入はコントロールしづらいですが、支出はコントロールしやすいからです。

収入は会社で昇進、起業は周りの状況や運に大きく左右されますし、即時性はありません。アルバイトという方法もありますが、フルタイムに加えて仕事をするには健康リスクや勉強などの将来への投資時間が減るというデメリットもあります。

支出を減らすことは状況次第ですぐに可能です。家賃が安いところに引っ越す、外食を減らす、大きな買い物をしないなど自分がコントロールしやすいからです。

アメリカのロナルド・リードさんは37歳から投資を始めて、92歳で亡くなるまでに8億円以上の資産を築き上げました。仕事はガソリンスタンド店員、清掃員として働いており、月収が30万円以上を上回ったことがなかったそう。

リードさんが8億円以上の巨大な富を得た理由は質素な生活と株式投資の長期運用です。収入が少なくても、節約と大きな資産を手にすることができました。夢があっていいですねー。

私は心配性なところもあるので、月収の6ヶ月分は現金で確保するようにしています。

安全域を意識して、お金を長期的に運用すれば、大きな資産を築くことは夢ではありません。

仕事

収入、体調の悪化、人間関係、会社の業績悪化、定年延長などで人生で仕事を辞めなければならない場面はありえます。もし、そのような事態になっても、すぐに独立、転職できるなら問題ないでしょう。

仕事においての安全域は、自らが価値を提供できる存在になることです。そのためには、需要の高いスキルを身につけたり、自分の得意分野を極めたりして、第三者に分かるようにアウトプットする必要があります。複数の分野で価値を提供できれば、1つの分野で失敗しても他の分野があるので安定します。

英語、プログラミング、コミュニケーション能力を磨く、興味ある分野で副業を始める、といったことを始めてみるといいでしょう。副業は本業や副業へのモチベーションやパフォーマンスが高くなることが研究で明らかになっていますよ。

人間関係

信頼できる人間関係を作りましょう。日頃から協力して、助け合うことができます。

良好な人間関係は様々な場面で安全域になります。結婚相手であればお互いの収入をカバーしたり、職場の同僚であれば仕事のフォローしたり、親しい友人であれば悩みを相談したりすることができます。

良い人間関係を作るためには、会話でアクティブリスニング、相手が聞きたい話をするなどの会話テクニックを使いましょう。コミュニケーション方法やテクニックを試行錯誤して、体系化することが大切ですよ。

友人を作るには、意識的に一緒に過ごす時間を増やしましょう。一緒の時間を共有すればするほど関係性は深まり、親密な友人と言えるまでに200時間ほどかかるという研究があります。友人になりたい人とは共通の趣味や目的があるといいですね。

まとめ:安全域の確保は成功につながる

現代は急速に変化し、確実な予測は不可能です。流行にすべてかけるのは大きなリスクとなりますし、何もしないで取り残されるのもリスクになります。

安全域は最初からリスクを想定しておくことで 、新しいことに果敢に挑戦することができます。サイコロジー・オブ・マネーから安全域についての言葉を紹介します。

もっとも重要な計画は、計画通りに進まない可能性を想定した計画である。

安全域を実践するために、本命のプランAだけを進めるのではなく、バックアッププランB、Cを用意しておくことが大切です。バックアッププランがあることで、予期せぬトラブルが起こっても、損害を少なくしながら目的を達成することができます。バックアッププランの計画方法、プランCまで必要な理由については、以下をご覧ください。

私は安全域を生活の様々な場面で使っていまして、失敗しても常に何らかの手を打てるように日々努力しております。このブログもその一環ですね。

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