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セルフコンパッションとは?効果と実践法を分かりやすく解説!

2021年11月6日

ミスや失敗で自分をずっと責めていませんか?
目標を達成するまで人生は楽しめないと考えていませんか?

このような悩みを抱えている方は、「セルフコンパッション」が役に立ちます。

今回は、「セルフコンパッション」を紹介します。

セルフコンパッションとは?

セルフコンパッションとは、自分への思いやりのことです。

セルフコンパッションで他人を思いやるのと同じように自分を思いやることによって、幸せと安らぎを得ることができます。
自分をずっと責めて時間を無駄にすることなくミスや失敗から頭を切り替えて、今を楽しんだり、自分がやりたいことをしたりできるんですね。

ミスや失敗をしたときに「自分はなんて駄目な奴なんだ」と自分を厳しく責めるのではなく、「誰にでも失敗はあるよ」と自分に優しくすることがセルフコンパッションです。

注意点として、セルフコンパッションは現実逃避したり、ただ自分を甘やかしたりすることとは違います。
セルフコンパッションはネガティブな経験を受け入れて、自分の価値観に沿った行動を動機づけることを含んでいるからです。

セルフコンパッションは、ネガティブな経験をありのままに受け入れて、自分に優しさを与えることでレジリエンス(精神的回復力)を高めます。
そして、自分の価値に沿った行動を起こすことができます。

セルフコンパッションは人生の苦しみに直面したとき、自分に優しくして大切なことをするという概念になりますね。

セルフコンパッションの3つの構成要素

セルフコンパッションの核となる3つの要素を紹介します。

1、自分への優しさ

1つ目は自分への優しさです。
セルフコンパッションのイメージの代表的な要素ですね。

セルフコンパッションは、他人に対して思いやるのと同様に自分に対しても思いやりを持つことです。

まず自分に優しく接し、自分を理解することで、自分自身を癒せるようになりましょう。
心身ともに余裕がないと他人を思いやる行動も減ってしまいます。

自己批判は時間の無駄であり、自分や他者のためにもなりません。
自らを傷つけるのではなく、自分に優しくしましょう。

自分へ思いやりを持って充分にケアすることが大切です。

2、人間の共通性

2つ目は人間の共通性になります。
人間の共通性とは、人間に共通して見られる性質や体験を認識することです。

人は誰しもミスや失敗をしたり、不幸な瞬間があったりします。
そんな時は「自分は他の人より劣っていて不幸だ」などと考えてしまい、他の人も失敗をしたり、悩み苦しんでいることに気がつきません。
自分と他人を完全に切り離して考えてしまうわけです。

このような考えの不合理性は考えてみればすぐに分かります。
人は誰でも過去に幸福な時間や成功した経験がありますし、後悔するような行動をしています。

自分も含めて人はポジティブやネガティブな体験や性質を共通して持っています。
このことを念頭に置いておくと、失敗をしても「過ちは誰にでもあるものだ」と考えられるようになります。

人間の共通性を意識すると、ネガティブな体験を受け入れて、他者とのつながりが感じられるようになります。

3、マインドフルネス

3つ目はマインドフルネスです。
マインドフルネスとは、今この瞬間に注意を払うことです。

人は生まれつきネガティブな思考や感情が思い浮かびやすくできています。
特に過去や未来の思考は対処が難しく、嫌な思い出や将来への不安を何度も再生してきます。

ネガティブな思考に囚われると、仕事や会話をしていても、そのことばかり考えてしまい、心がここにあらずの状態になります。
最終的にはネガティブな思考がグルグルと繰り返され、自分をさらに落ち込ませるというループに陥ってしまいます。

マインドフルネスは今この瞬間に注意を払うため、ネガティブな思考が思い浮かんでも、のめり込むことなく冷静に観察することができます。
不安や後悔などを観察して距離を取りながら、今この瞬間に注意を払うことで目の前のことに集中することができます。

マインドフルネスでいることで、ネガティブな思考や感情を減らし、現在に心を置いて楽しむことができるようになります。

セルフコンパッションの効果

セルフコンパッションは、

  • ネガティブな経験をありのままに受け入れて、レジリエンスを高める

という効果があります。
他にも、研究で報告された様々な効果を紹介します。

・成長意欲向上(R
・ポジティブな気分向上(R
・ネガティブな気分減少(R
・物事を先延ばしにしなくなる(R
・偽りがない上に自律的に生きるようになる(R

全体的に前向きになれるという効果が目立ちますね。
自分に優しくして現在に集中することで、後ろ向きな考えが少なくなるんでしょうね。
人が如何に自分に優しくないのかが分かりますね(笑)。

自分に厳しい人ほど自分に批判的なので、セルフコンパッションの恩恵をより受けることができますよ。

セルフコンパッションの実践法3つ

1、思いやりのある優しい友人からの声かけ

思いやりのある優しい友人からの声かけです。
これは自分が落ち込んだり、不安になったり、悲しくなったり、腹が立ったときに使いましょう。

具体的な方法を紹介します。

ステップ1 思いやりがあって優しい理想的な人物を想像する

思いやりがあって優しい理想的な人を想像します。
その人は親切で寛大で無条件の愛に溢れています。

その人は家族、友人、知人、良く知られている人、架空のキャラクターになることもあります。
人ではなく、ペットや動物、形を持たないものでも構いません。

高校の恩師、職場の先輩、昔飼っていたペットなどを思い浮かぶ人もいるでしょう。

あなたに優しい声かけをしてくれる理想的な人物を思い浮かべましょう。

ステップ2 1で想像した人物がどのような声をかけてくれるかを考える

1で想像した人がどのような声をかけてくれるかを考えてみましょう。
具体的な言葉、声の調子などをイメージしてみてください。

あなたが不安、心配、苦しみなどのネガティブな気分になっているとき、その人物はどんな言葉をかけてくれるでしょうか?
口調はどんな感じですか?
この人物があなたが変えられそうな点を提案するとしたら、その深い理解と愛情を込めて、どのように提案してくれるでしょうか?

自分でしっくりとくるイメージにすることが大切です。

ステップ3 想像した人物に声をかけてもらう

実際に想像した人物に声をかけてもらいます。
その人物の優しい表情や動作などをイメージに加えても構いません。

ステップ4 味わう

思いやりを存分に味わいましょう。

思いやりにあふれる言葉、声の調子はどのようにあなたに響くでしょうか?
あなたを大切に思う気持ちが伝わってきますか?

何も感じなかった場合は、自分を優しくハグして、自分はここにいていいのだと認めましょう。

思いやりに充分に浸ることが大切です。

2、セルフコンパッション日記

セルフコンパッション日記をつけましょう。
この手法は、セルフコンパッションの核となる3つの要素をすべて含んだものとなります。
そのため、セルフコンパッションの初心者にはおすすめですよ。

手順は以下の通りになります。

ステップ1 苦痛の原因となった出来事を書き出す

まずは、苦痛の原因となった出来事を書き出しましょう。
書くタイミングはいつでもいいですが、就寝前がおすすめです。

ネガティブな出来事は思い浮かんだものをそのまま書き出します。

何もしていないのに電車で舌打ちされた、上司に理不尽な理由で怒られたなどの苦痛を感じたことを書きましょう。

何も考えずに苦痛だと思ったことを全て書き出すことが大切です。

ステップ2 マインドフルに自分の思考や感情を書く

ステップ1で書いた苦痛の原因となった出来事に対して、マインドフルに自分の思考や感情を記入します。
主にネガティブな出来事への自分の率直な感情や思考に気づくプロセスになります。

舌打ちされて悲しくなったがその後に少し怒りの感情が湧いた、上司に怒られた理不尽なことに憤りとストレスを感じたなどと書きます。

出来事に対して、判断を加えたり、恨みつらみになったりしないようにしましょう。
自分の思考や感情に気づくことが重要です。

ステップ3 共通の人間性を認識する

共通の人間性を認識しましょう。
自分の体験をより広い視野である人類全体で考えて、書き出します。

自分が苦しいときは余裕がなくなり、自分のネガティブな側面だけに注目しがちです。
他人も同じように苦しんでいることに気が付きません。

広い視野で考えられるようになると、人は誰でも不完全であり、失敗したり、苦痛を感じたりすることがあることを考えられるようになります。
視野が広がれば、ミスをしてしまっても、「誰でも失敗することはある。人間だもの」と気づくようになります。

自分一人の狭い視点ではなく、広い視野で考えるとネガティブなことも冷静に受け止められ、自分や他人にも優しくすることができます。
多角的で広い視点で日記を書いてくださいね。

ステップ4 自分に優しくする

最後に自分に優しくします。
自分自身に思いやりの言葉をかけます。

自分自身を本当に大切に思っていることが伝わるように書きましょう。
「大丈夫。失敗するのは挑戦している証。次に上手くやれるようにして成長につなげよう」というように書き出します。

言葉が思い浮かばないときは、友達が同じ状況だったらどのような思いやりを持った言葉をかけるのかを考えてみてください。

自分自身を厳しく批判するのではなく、優しくしましょう。

セルフコンパッション日記は、苦痛の原因となった出来事について、マインドフルネスに思考や感情を書き出し、共通の人間性を認識し、最後に自分に優しくします。
ステップ2〜4はそれぞれ「マインドフルネス」、「共通の人間性」、「自分への優しさ」というセルフコンパッションの主な3つの要素が入っていますので、セルフコンパッションの理解も深まります。

セルフコンパッションの手法で厄介な感情や思考に対処しましょう。
毎日、寝る前に日記を書いてみてくださいね。

3、日常生活におけるマインドフルネス

日常生活にマインドフルネスを取り入れましょう。
マインドフルネスは今この瞬間に注意を払うため、あらゆる活動をマインドフルネスにすることができます。

最も基本的な呼吸瞑想をベースとして、日常の活動の中からマインドフルネスにやることを選びましょう。
日常の活動は、歩行、歯磨き、食事、シャワーなどが考えられますね。

呼吸瞑想とは、ただ呼吸に集中することで、息を吐いたり、吸ったりするときに生じる身体の感覚に集中します。
身体の感覚として、空気が鼻孔を行き来する感覚、お腹が膨らんだり縮んだりする感覚に意識を集中することが多いですね。

マインドフルネスというと静かなところで座ってやるものと思われがちですが、いつでもどこでも実践できます。
日常生活の活動をマインドフルネスにやってみてくださいね。

まとめ:セルフコンパッションは自分への優しさ

セルフコンパッションは自分への思いやりの心を育みます。

人は自分の過去の行動を厳しく責めすぎてしまいます。
ただ自分を批判しても意味がないことを分かっていても、ずっと批判し続けてしまいます。
セルフコンパッションは、この批判の繰り返しをやめて、自分を心から思いやり、自分がしたい行動をする道しるべとなります。
そして、以前よりも自分に優しくなります。

私も以前は失敗しては自分を責めることに長い時間を費やしていましたが、セルフコンパッションを実践してからは読書、ブログ、友達と交友をする時間に充てられるようになりました。
今でも自己批判する気持ちがこみ上げてきたら、自分に優しい言葉をかけるようにしています。

自分を批判したくなったら、セルフコンパッションをしてみてくださいね。
ネガティブな思考や感情を受け入れて精神的な回復力を高めて、前向きに行動することができますよ。

セルフコンパッションのおすすめ本

セルフ・コンパッション[新訳版]
こちらの本は、セルフコンパッションの概念とエクササイズをバランスよく教えてくれます。
この本を読めば、セルフコンパッションの概念を学んだ上にエクササイズを実践できるようになります。
著者の過去のストーリーも綴られており、興味深い内容となっているので、読み物としても楽しいですよ。

マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック
こちらはセルフコンパッションのエクササイズに特化した本となっています。
実践形式で具体的なエクササイズを通してセルフコンパッションを理解することができます。
すぐにセルフコンパッションを使いたいという方におすすめの本ですよ。

参考文献
・ セルフ・コンパッション[新訳版]
・マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック

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