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ストーリーテリングは人を動かす!『心に刺さる「物語」の力』

「マーケティングで大切なのは、あなたがつくるものではない。あなたが語るストーリーだ。」

マーケティングの作家 セス・ゴーディン

ストーリーというと小説やドラマなどのエンタメをまず思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実はビジネスにもよく取り入れられています。

ストーリーには人の行動を変化させるとても強い力があります。大人気CMのソフトバンク「白戸家」シリーズ(白い犬がお父さん役をしているCM)では家族でスマートフォンを使ってコミュニケーションを取ることで、家庭内の絆を強くするというストーリーが描かれています。このCMのインパクトだけでも会社が記憶に残りやすくなり、良いブランドイメージが定着しました。

このようにストーリーを使うことでブランドイメージ、商品、サービスを他社と差別化させることができます。

プロのストーリーテラーのキンドラ・ホールさん著作の『心に刺さる「物語」の力 ──ストーリーテリングでビジネスを変える』はストーリーテリングを解説していまして、「これは実践しやすい!」と思ったテクニックを紹介します。キンドラ・ホールさんは数々の企業がストーリーをビジネスに使えるようにアドバイスもしている方なんですね。

今回は「ビジネスにも使えるストーリーの作り方と語り方」をお伝えします。

ストーリーの3部構成

あらゆるストーリーは、始まり、展開、結論でできています。プロのストーリーテラーであるドナルド・デイビスはこれらを分かりやすく表現して、始まりを「日常」、展開を「爆発」、結論を「新たな日常」の3部構成としています。

  1. 日常:当たり前の日常
  2. 爆発:物事が変化する出来事
  3. 新たな日常:変化後の日常

優れたストーリーには変化があります。ストーリーの変化前を「日常」、変化後を「新たな日常」、その変化を引き起こすのが「爆発」なんですね。この3部構成は1つでも欠けてしまうとストーリーの魅力が損なわれてしまいます。

日常がなければどのように物事が変化したのか分かりませんし、爆発がなければなぜ物事が変化したのかわかりませんよね。とある大学生が大ヒット商品を作り出して(爆発)、リッチな生活(新たな日常)を送ったというストーリーを見ても面白くありませんが、爆発前の日常であるお金がない状態、他社の競争、仲間との団結、家族の心配を描くことで爆発と新たな日常を魅力的にしてくれます。

それぞれの構成について、解説していきますね。

1部:日常

日常では変化が起こる前はどんな状態なのかを語ります。聞き手が共感できるように親しみを感じさせるキャラクター、エピソードを盛り込みましょう。

日常のパートで「このキャラクター、ストーリーは仲間だ」と聞き手の警戒心を解くことで、感情移入できるようにします。日常はこの先を知りたいという気持ちを高める重要な場面ですので、省略されるとつまらないストーリーになってしまいます。。

聞き手が気にかけて感情を注ぎ込みたくなるようなストーリーを作るには、戦略的に日常を設定していく必要があります。

2部:爆発

爆発は変化するポイントを示します。爆発はケガ人が出るような実際の爆発ではなく、変化を起こすものであれば何でもかまいません。

爆発の役割は日常を変えることです。それは良い方向でも悪い方向でもいいですし、出来事の大小は問いません。ストーリーの分岐点となる出来事を起こします。

物語は爆発で急展開します。物事の変化を引き起こすことで、聞き手を「この先がどうなるんだろう」とハラハラ・ドキドキさせ、惹きつけることができます。

3部:新たな日常

新たな日常では爆発後の変化を描きます。エンディングの部分ですね。

爆発があったことで生活がどう変化したのか、学んだこと、強くなったところ、教訓、改善点などを述べます。新たな日常はメッセージを最も効果的に伝えられる部分でもあります。エンタメだと人を楽しませる、ビジネスでは購入を促すことが多いですね。

新たな日常で聞き手に「こうなってよかった、こんな風になりたい」と思わせることで新たな行動のきっかけになります。

偉大なストーリーの4つの要素

強い訴求力を持つストーリーには以下の4つの要素が含まれています。

  1. 共感できるキャラクター
  2. 本物の感情
  3. 拡大された瞬間
  4. 具体的なディティール

それぞれを詳しく見ていきましょう。

共感できるキャラクター

ストーリーに必須なのは、共感できるキャラクターです。

共感できるキャラクターとは読み手が気にかけることができ、つながっていると感じられる人物です。ヒーローのように大きなことを成し遂げている必要はありません。人々が共感できればいいのです。

完全無欠に見えるスーパーマンでもクリプトナイトというスーパーマンの力を吸い取る石や精神的な弱さ、人を守るヒーローという使命、普段のドジっぷりという弱点があり、共感を生むようになっています。登場人物に共感できなければ、見る気が失せてしまいますよね。

ストーリーには共感できるキャラクターを登場させましょう。複数の共感できるキャラがいると多くの人から共感されますよ。

本物の感情

ストーリーを通して、本物の感情を伝えましょう。この感情はストーリーを見る人の体験のことでなく、キャラクターやストーリーの中で生まれる感情のことです。

感情は喜び、悲しみ、幸せといったありふれたもので構いません。本物の感情がストーリーの中で存在しているということが大切です。

映画やドラマでも登場人物が見せる素直な感情に思わず共感したり、応援したくなったりすることがありますよね。本物の感情がないと見る人はストーリーに共感できなくなり、人を動かすことができなくなってしまいます。

拡大された瞬間

拡大された瞬間とは、特定の場面に焦点を当ててクローズアップすることです。ストーリー構成の「爆発」と重なることも多いです。

抽象的で広大で一般的だとメッセージがあいまいに感じられ、うまく伝わりません。細部を拡大することでどこに注目すればいいのかが明瞭になります。

ビジネスでは性能やスペックをただ箇条書きで羅列するのではなく、特定の場面にフォーカスして機能性があることをアピールすることが多いですよね。スマホで写真や動画を撮影したときにどれだけ綺麗に撮れるかを宣伝して、所有した時の理想のイメージを共有しているんですね。

特定の場面を上手くクローズアップすることで狙い通りにメッセージを伝えて、訴求力を上げることができます。

具体的なディテール

具体的なディテールとは、ターゲットに応じたエピソードやイメージを具体的かつ詳細に語ることです。

聞き手にとってなじみ深い場面を作り出し、具体的なディティールを描写することでストーリーに引き込むことができます。ディティールは細かいほど高い効果を発揮します。ただし、効果的に細かい描写をするためには聞き手をよく知る必要があります。

ストーリーの話が具体的で自分に近いと感じられるほど、親しみを抱き、共感できるものになります。

ストーリーの見つけ方

ストーリーを語るときの一番の障害は、自分にはストーリーがないと考えることです。

誰もが何らかのストーリーを持っています。ストーリーの探し方を知れば、語るべきストーリーを発見できます。

ストーリーのおすすめの見つけ方は次のとおりです。

  • 初めてを考える
  • 不満点や改善点をリストにする
  • 自分に様々な質問を投げかける

ストーリーの見つけ方に正解はありません。色々な方法を試してみて、自分に合うものを採用していきましょう。

ストーリーの作り方

ストーリーを見つけた後は、人々にメッセージが届くように仕立て上げます。

ストーリーは3部構成で日常→爆発→新たな日常の順番で語ります。この構成は優れたストーリーに必須である「変化」を際立たせる方法なんですね。

ストーリーは爆発から始めると作りやすくなります。爆発は日常から新しい日常に変化させる決定的な瞬間だからです。ストーリーを探すときに真っ先に思い浮かぶのが爆発である可能性が高いです。

ストーリー構成の日常はその名前のとおり、普段の日常のために意識されることはありません。爆発があってこそ、気づかれる存在となります。そのため、忘れられやすい日常からストーリーを仕立てるのは困難です。

ストーリーは爆発→日常→新たな日常の順番で作りましょう。爆発はストーリーの変化の分岐点となるので、日常と新たな日常を対比させやすくなります。爆発から始めることでスムーズにストーリーを作り上げられますよ。

ストーリーの語り方

ストーリーを語るときには相手に合わせて正しいものを選びます。いくら良いストーリーでも相手に合わなければ効果が激減してしまいます。

ストーリーを選ぶ際は、自分のニーズ、ビジネス、聞き手を常に考えてください。プロのストーリーテラーのドナルド・デイビスのように、様々な場面や相手に応じて、複数のストーリーをストックしておいて使い分けるといいでしょう。

ストーリーテリングは、練習すれば上達していきます。自分や他人からフィードバックを受けて改善することで優れたストーリーテラーになることができます。

まとめ:ストーリーはメッセージを伝える魔法のツール

ストーリーは先祖の言い伝え、おとぎ話、聖書など昔からずっと存在してきました。ストーリーは娯楽に限らず集団内のルール、役立つ知識を人々の記憶に残し、特定の行動に導くための強力なツールです。

まずはストーリーの3部構成である「日常」→「爆発」→「新たな日常」を意識してストーリーを作ってみるといいですよ。旅行の体験談、日常の体験のような普段の会話でも相手が興味を持って、イメージや感情を共有しやすくなります。

私は普段のコミュニケーションやブログ執筆でストーリーテリングをもっと使おうと思いました。ストーリーテリングは複雑なものが多かったんですが、3部構成ならシンプルで活用しやすいですからね。

ストーリーテリングのおすすめ本

心に刺さる「物語」の力 ──ストーリーテリングでビジネスを変える

心に刺さる「物語」の力 ──ストーリーテリングでビジネスを変える
こちらの本はストーリーのメリットと作り方を教えてくれます。
ストーリーの「日常」→「爆発」→「新たな日常」の3部構成、偉大なストーリーの4つの要素を知ることで簡単にストーリーを作ることができるようになります。
ストーリーは私生活やビジネスでも役立つため、すべての人におすすめの本ですよ。

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