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人間関係はシグナルの積み重ねで決まる『ゴットマン式コミュニケーション術』

2023年2月6日

「人間関係が上手くいかない」
「知らずのうちに嫌われる」

このような悩みを抱えている方は、コミュニケーションにおける感情シグナルの発信、反応の仕方」を意識できていないだけかもしれません。人間関係は感情シグナルの積み重ねで形成されています。

ワシントン大学の心理学の名誉教授であるジョン・ゴットマン先生著作の『ゴットマン式コミュニケーション術』から「より良い人間関係を作るための感情シグナルの扱い方」を紹介します。ジョン・ゴットマン先生はカップルの結婚生活が上手くいく方法を長年研究していまして、人間関係のプロフェッショナルなんですよ。

私はこの本を読んで、人間関係のシグナルの送受信、カップルや集団で行う儀式の大切さが理解できました。シグナルを上手に発信・反応することに意識すればいいので、コミュニケーションの仕方を改善しやすくなりましたよ。

人は感情をシグナルで伝えあっている

夫婦や友達、職場でも、自分の気持ちを相手に伝えないと人間関係は上手くいきません。

人は絶えず信頼できる相手に自分の気持ちを分かってほしいと思っています。相手の気持ちを言葉や行動でちゃんと受け止めていることを示すことで心がつながります。

感情を伝えるシグナルは会話だけでなく、頷き、アイコンタクト、ボディタッチなどのボディランゲージでも表現できます。様々な方法で相手に対して「仲良くなりたい」と伝えることが大切です。

人間関係はシグナルの積み重ね

人間関係はシグナルの積み重ねで出来ています。

人間関係は貯金のようなもので、普段から相手と気持ちのふれあいを積み重ねておくことで信頼残高が増えていきます。相手と軋轢が起きたときにはこの貯金が役立ちます。

もしパートナーと喧嘩になったとしても、「彼女は感情的になってたけど、いつも自分のことを心配してくれている」「彼のさっきの態度は冷たかったけど、普段は優しい」と日常のやりとりのおかげで心に余裕が生まれて、二人の問題を解決しやすくなります。普段から信頼の貯金を増やすことでトラブルに対処しやすくなり、さらに問題を乗り越えた経験が貯金を増やすことになるのです。

人間関係の貯金は複利のように増えているんですね。逆に普段から赤字になっているような関係は赤字に利息がついて借金が膨れ上がり、あっという間に破綻してしまいます。人間関係はポジティブなふれあいの積み重ねが重要です。

シグナルに注意を払うことでコミュニケーションが上手くなる

シグナルは様々な形があって中には分かりにくいものもあります。コミュニケーションが下手な人は相手が発するシグナルに気づいていません。つまり、相手の感情的なニーズに応えられていないのです。

コミュニケーションはシグナルの双方向のやりとりです。自分がパートナーに話しかける場面を考えると、自分が会話したいという「シグナル」を発し、相手がその反応として「シグナル」を出します。相手から無視する、素っ気ないなどの好ましくないシグナルが返ってきた場合、自分のシグナルが不適切だったのか、相手の機嫌が悪かったのか、などのように相手のシグナルをフィードバックとして活用することができます。

自分と相手のシグナルに注意を払うことでコミュニケーションを向上させられます。ただし、何気ない仕草や表情などもシグナルの一種であるため、相手の反応を注意深く観察することが大切です。「今日は仕事どうだった?」という他愛もなく見える質問でも、相手からすると愛情を測っているのかもしれません。

シグナルの反応の仕方には主に3種類あり、

  1. 関心を向ける
  2. 逆らう
  3. 無視する

となります。良好な関係を築くためには発信よりも反応の仕方が重要です。特に相手に対して関心を向けましょう。

シグナルを好意的に発信して、応えることで人間関係は好転していきます。シグナルに注意を意識的に向けて、改善していきましょう。

人間関係の梯子を登る

人にはそれぞれの人間関係の優先順位があります。優先順位は親しさの度合いによって決まっており、一般的にはトップに家族や親友が置かれます。そして、どれくらい親しいかによってコミュニケーション方法も変わります。

親しい間柄であればあるほど、感情シグナルの深さや頻度が増します。他方で、初めて会う人に対しては、感情シグナルはリスクの少ない当たり障りのない会話から始めます。そして、徐々に親交を深めるにつれて、会話も深いレベルになっていきます。

会話の深さの順序としては軽いものから並べると、

  • 軽いおしゃべり、雑談
  • 冗談
  • 好意的な表現
  • 支え合い
  • 問題解決
  • 将来の目標、悩み、価値観、いきがい

となります。徐々に深い会話にすることで相手の反応を見ながら会話内容を調整してみましょう。

最初は職場の知り合いでも、シグナルを積み重ねることで冗談を交わし、仕事の相談をするようになります。何年か経つうちに相手と一緒に遊びに出かけたり、悩みを相談したり、最終的には相手と家族ぐるみで交流する間柄に変化して、親友と呼ぶようになります。良好な関係を築くためには、人間関係の梯子を登り続けることが大切です。

夫婦関係の分かれ道

夫婦関係の行く末は、パートナー同士のシグナルに対する反応で決まります。

ジョン・ゴットマン先生によるワシントン大学の調査では、離婚寸前の夫婦では夫が100回中82回も相手のシグナルを無視していましたが、安定している夫婦ではわずか100回中19回の割合でしか無視していませんでした。夕食時の様子では、険悪な夫婦は相手のシグナルに対して10分間に65回しか関心を向けていませんが、仲の良い夫婦は100回も関心を向けています。日常的に相手のシグナルに好意的に反応し、関心を向け続けることが仲が良い夫婦の秘訣です。

ジョン・ゴットマン先生がとりわけ興味を惹かれたのが「結婚の達人」と呼ばれる方々です。パートナーとの摩擦に上手に対応し、夫婦喧嘩まで楽しいものに変えてしまうんですね。結婚の達人特徴はどんな時でもユーモアを忘れないことでした。ユーモアは相手を気にかけているというサインになりますので、喧嘩も愉快な思い出に変えてしまいます。

夫婦の良好な関係にするには相手のシグナルに関心を向けることが大切で、ユーモアや問題解決力があると「結婚の達人」の領域まで達することができます。

儀式は絆を深めるのに有用なツール

儀式は相手との関係を深めて維持するのに役立ちます。ここでの儀式の意味は、象徴的な意味を持たせた習慣になります。

家族みんなで夕食を食べる、夫婦だけで年に一回旅行するといったささやかなものでも儀式となります。これらの儀式には、家族を大切にし合う気持ちの共有、パートナーへの愛情を深めるといった象徴的な意味合いを持っています。

儀式は絆を深めるために実行しやすく、対立しているときでも絆を保つ効果があります。喧嘩したとしても一緒にご飯を食べたり、映画を見たりする儀式が根付いていれば、仲直りするチャンスはいくらでもありますよね。一緒に過ごしているだけで「相手を大切に思っている」というメッセージを伝えることになるからです。

夜ご飯は夫婦一緒にドラマを見るといった簡単な儀式でも構いません。相手と共有しやすい儀式を選ぶと仲良くし続けられますよ。

まとめ:コミュ力を高めるにはシグナルをマスターしよう

シグナルを送受信する力を磨きましょう。シグナルの量と質が相手との関係性を決めます。

ゴットマン式コミュニケーション術」では性格タイプが違う人に対処する方法、自分の子どもとどのように接するべきかなども紹介してくれています。コミュニケーション全般に役立つので、読んでみてくださいね。

個人的には相手と仲を深めるために儀式は役立つというところが納得できました。決まった儀式を作ることでお互いに仲を深めるルーティンになるんですね。

人は存在するだけでも何らかのシグナルを発していることになるという点にもハッとさせられました。見た目や立ち振る舞いもシグナルになることはあまり意識していなかったので自分でも気をつけよう…

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