研究手法によってエビデンスの質があり、個別的研究ではランダム化比較試験、統計的研究ではメタ分析が最高レベルのエビデンスと言われています。
エビデンスレベルは以下のようになっています。
ランダム化比較試験は、研究の対象者を2つ以上のグループにランダムに分けて、治療法などの効果を検証することです。
メタ分析は、複数の研究結果を統合して分析することです。
メタ分析で統合する研究は質の高いものが望ましいので、ランダム化比較試験を対象にしたものがエビデンスが最高レベルとなります。
エビデンスレベルでメタ分析を超える統計研究手法「アンブレラレビュー」を紹介します。
アンブレラレビューとは?
近年は多くのメタ分析があって、「どのメタ分析を参考にすればいいか分からない!」というのが問題となっています。
そこでアンブレラレビューの出番となります。
アンブレラレビューは、複数のメタ分析を統合した研究となっています。
メタ分析は個別の研究結果を統合したのに対して、アンブレラレビューはメタ分析を統合するんですね。
アンブレラレビューは医学分野で大きな影響力を持つようになりました。
実際、アンブレラレビューの数が大幅に増加しています。
以下の図はアンブレラレビューの論文の数を示したものとなっています。
注意点は、アンブレラレビューの中に質の低い研究が入るとアンブレラレビュー自体の質も低くなることですね。
これはメタ分析、統計的レビューでも同じことが言えます。
アンブレラレビューのポイント
アンブレラレビューを実施する際のポイントも研究(R)によって示されています。
以下の10個がポイントとなります。
- アンブレラレビューが本当に必要であるのかを確認する
- プロトコルを事前に規定する
- 対象となる変数を明確に定義する
- 共通の効果量を設定する
- 異質性(研究間のバラツキ)と潜在的なバイアスを報告する
- エビデンスのランク化を行う
- 感度分析を行う
- 透明性のある結果を報告する
- 適切なソフトウェアを使用する
- 限界を認める
これらのポイントを守ることで質の高いアンブレラレビューができるんですね。
メタ分析よりも信頼できるエビデンスとして、今後、期待できますね。
科学論文、エビデンスのある本を読んでみてくださいね。
科学的な手法を生活に取り入れることで、人生の質をより良くすることができますよ。
科学論文を読むためのおすすめ本
・心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門
現代の医療治療などがどのような根拠(エビデンス)を元に実施されているのかを知ることができます。
エビデンスは研究により生み出されます。
こちらの本を読めば、どのような研究が優れたエビデンスとなるのかが分かります。
科学論文の研究について興味がある方におすすめです。
・完全独習 統計学入門
科学論文の研究にはほとんど統計学が使われています。
こちらの本は統計学の基礎を難しい数式や数学記号を使わずにとても分かりやすく紹介してくれています。
統計学を初めて学ぶ方や統計学を挫折した方におすすめの本です。